矢野燿大氏　阪神・青柳の投球の幅を広げる取り組みは奏功

セ・リーグ   阪神1―3ヤクルト （ 2023年4月7日    甲子園 ）

＜神・ヤ＞球場を訪れた矢野前監督（撮影・岸　良祐）
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　【矢野燿大　視点】青柳は高めのゾーンをこの日もうまく使えていた。特に左打者は外に沈むツーシームを必ず意識するため、内角を突いてからのツーシーム、高めで誘ってからのツーシームと左右も高低も駆使。どれほど武器となる球種でも一つだけではなかなか1試合を抑えきることは難しいので、投球の幅を広げる昨年からの取り組みが奏功しているようにみえた。

　右打者に対しても、6回1死で山田をフルカウントから見逃し三振に仕留めたインスラ（内角スライダー）も見事な1球だった。四球もイヤ、もちろん長打されるのもイヤという場面。直前のツーシームをファウルにさせており、甘くなれば怖い球だが、要求した梅野も、そこに制球した青柳もさすがだった。

　5回1死一、二塁で二塁へのけん制も抜群だった。練習でやってきたことが、青柳はしっかりと試合の中でもできている。遊撃・小幡が絶好のタイミングでサインを出し、ギリギリで判定はセーフだったが、ヤクルトにも、そして他球団にも報告は必ずいくし、効果は大きい。7回にオスナに初球スライダーを同点弾にされて勝利投手にはなれなかったが、この日の青柳は責められないだろう。

　攻撃では初回、近本の幸運な三塁打で相手から無死三塁をもらい、2番中野は中犠飛。振り返れば最後までこの1点だけで、小川を落ち着かせてしまった。内野は極端な前進守備を敷いていたので、中野は安打でさらに好機を広げて2点、3点と一気に取れれば展開も違ったが、これは結果論になってしまうだろうか…。　
　　（本紙評論家）