ヤクルト・山田“三百六十五歩のアーチ”首位攻防戦第1R 虎に強烈ワン・ツー・パンチで逆転堅首

[ 2023年4月8日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト3-1阪神 ( 2023年4月7日    甲子園 )

<神・ヤ>8回1死一塁、勝ち越し2ランを放つ山田(撮影・北條 貴史)
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 ヤクルトは7日、ともに1敗同士で迎えた阪神との首位攻防3連戦初戦に3―1で先勝した。いずれも前日に今季初黒星を喫して開幕からの連勝が止まり、仕切り直しの一戦。同点の8回に山田哲人内野手(30)が決勝の中越え2号2ランを放った。これで今季6勝1敗とし、球団初のリーグ3連覇へ向けて、球団では08年(6勝1敗)以来となるロケットスタートを決めた。

 山田が頭に描いた通りの打球がバックスクリーンで弾んだ。「真っすぐをしっかりセンターにというイメージ通りに打てた。1、2、3ではいかずに、コンパクトなイメージでいった」。12球団今季最多4万2465人で埋まった甲子園の阪神ファンを静まりかえらせる決勝2号2ラン。ゆっくりとダイヤモンドを一周した。

 同点の8回1死一塁。代走で俊足の並木を送り、1ボールからの2球目にランエンドヒットでスタートを切っていた。「ファーストストライクからフルスイングするつもりでいった」と浜地の真ん中高め149キロ直球を狙い打ち。強烈なワン・ツー・パンチだった。

 1月2日。今年も地元の大阪・住吉大社に恒例の初詣に行った。絵馬に記したのは「三歩進んで二歩下がる」。水前寺清子の「三百六十五歩のマーチ」に出てくる歌詞を書いた。キャンプ初日。込めた思いを主将としてナインにぶつけた。「一年間、思ったようにいかないこともある。でも確実に一歩進む。日々の積み重ねが大事になる。皆さんも積み重ね、一日一日を大事に、今日から力を合わせて頑張っていきましょう!」と自ら、そして仲間を鼓舞した。

 言葉通り、毎日少しずつ、着実に進んだ。打率・243に終わった昨季。「何か変えないといけない」と3月にWBCを控える中で大幅な打撃フォーム改造に着手した。スタンスを狭めたり、始動時に左足のかかとを浮かせたり。キャンプ中は毎日のようにフォームが変わった。「これはいい悩み。アイデアが出てきてしまったので、それをやろうと」と信念を持ち続けた。

 大会前は14打数無安打で迎えるも、WBC初打席で安打を放ち、準決勝、決勝では二塁で先発出場。MVPに輝いた21年東京五輪に続き、3大会14年ぶりの世界一奪還に貢献してシーズンを迎えた。

 雨天中断20分を挟んだ接戦を制し、2位阪神との3連戦初戦を取った。首位を堅持し、球団では08年以来となる6勝1敗の好発進。前夜に連勝が止まったが、「ミーティングでみんなで、負けることもあるけれど、続けないことが大事と話し合っていた。今日みたいな勝ちにつながるバッティングをしたい」。幸せは歩いて来ない。だから山田は自分で歩いていく。(青森 正宣)

 ▽三百六十五歩のマーチ 「三歩進んで、二歩下がる」とうたう水前寺清子の代表曲で、68年11月10日に発売。歌詞にも登場する「ワン・ツー・パンチ」が副題で、高度経済成長の日本の時流にマッチし、人生応援歌として100万枚を超える大ヒットを記録。69年の春の選抜高校野球の入場曲に選ばれ、日本レコード大賞大衆賞を受賞した。また、水前寺が17、18年に神宮球場で始球式を行った際、マウンドに向かうBGMに使用された。

 ≪球団最速タイ開幕7戦貯金5≫ヤクルトは今季6勝1敗。開幕7試合で貯金5は08年に6勝1敗としたのに並ぶチーム最速ペース。2連覇中のヤクルトだが21年の貯金5は25試合目(13勝8敗4分け)、昨年は29試合目(17勝12敗)で、今季のハイペースが際立つ。

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