日本ハム・松本剛 11年目での初タイトルへ 高い打撃技術に加わった西武主砲・山川の助言

[ 2022年9月7日 08:00 ]

日本ハム・松本剛
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 西武・山川の球界全体のレベルアップを願う度量の広さには感服せずにはいられない。今季、日本ハム担当として、新庄監督を介して万波や清宮が敵軍の主砲に打撃理論を伝授される姿を毎試合のように目にしてきた。「敵だから教えないというのはない。12球団の良い打者を見るのは楽しい」という信念があるという。

 8月31日の西武戦(ベルーナドーム)の試合前には初の首位打者獲得を狙う松本剛と山川が打撃談議を交わす場面があった。松本剛は「本当に素晴らしい打者。打撃の話をしてくれるのはありがたい」と感謝。その上で「(打者としての)タイプは全然違いますけど、逆にああいうタイプ(長距離砲)の人がどうやって打っているかが凄く気になる。だから、ああいう打球が打てるんだって。深く考えているけどシンプルに立っているなっていうのは凄く感じました。調子が悪くなった時にそういう気持ちを持っていくと変わってくるのかなっていう引き出しが増えた」と新たな発見があったという。

 7月19日のオリックス戦で左膝に自打球を当てて左膝を骨折。17年以来自身2度目の規定打席到達へ試練が訪れた。だが、8月16日の復帰後も変わらず安打を量産し、8月の月間打率は・325。9月2日の楽天戦の走塁中に左膝の状態が悪化するなど、現在も不安を抱えながら9月6日終了時点で打率・355とブランクを感じさせないバットコントロールを披露している。

 対戦相手に指導することには少なからず否定的な意見があるかもしれない。それでも山川の姿勢には、目の前の戦いを超越した球界全体の発展を願う器の大きさを感じる。プロ11年目での初タイトルへ。もともと秘めていた高い打撃技術に敵軍主砲の助言も加わり、安打量産のペースはこのまま落ちることはなさそうだ。(記者コラム・東尾 洋樹)

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