元エンゼルス監督のマドン氏 “フロントが口を出し過ぎる”と批判 メジャーの現状に言及

[ 2022年9月7日 10:55 ]

エンゼルス監督時代のジョー・マドン氏
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 ジョー・マドン前エンゼルス監督(68)が、フロントがアナリティック(データ分析)を重視するがあまり、試合の進め方について現場に口出しする今のMLBのやり方は行き過ぎだと批判している。米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のジェイソン・スターク記者が6日(日本時間7日)に報じた。

 「毎日試合の準備をしている時にペリー(ミナシアンGM)とアシスタントGMがやって来て、今日私がブルペンをどう使うかを話し始める。私が過去40年間、そういうことをした経験がないかのようにだ。私はダグアウトにいて何をしたいかわかっているのに、必ずしも助けにならない情報を置いていく」。

 マドン監督は元々はメジャーのデータ野球の先駆者だった。今でもデータは必要だし、利用すると言う。しかしながらフロントと現場に境界線が必要だと指摘する。フロントはデータをコーチに手渡し、クラブハウスにもダグアウトにも入るべきではない。データの内容は必要な部分だけコーチが選手に教えればいいと言う。「チームによってはフロントの人間にユニフォームを着せたりもしているが、彼らは数学は詳しいがゲームについては知らない。ブルペン投手が狙い通りにうまく投げられたかどうかではなく、スピンレート(回転率)がどうだったかを気にする。野球をプレーする能力、試合の中でアジャストする能力など、本質的な部分が失われている」。

 つい最近までメジャーの野球では監督が一番権力を持っていた。大きな決断は全て彼らがしたし、やりたいように試合を進めた。フロントの人間が監督室に入ってくることはなかった。それが今、監督には同じ権威はないし、自治権もない。レイズ時代は、今はドジャースにいるアンドルー・フリードマン編成本部長と良い関係を築いていた。「アンドルーは私に監督の仕事をさせてくた。議論になることはあったがそれはそれで良かった。フロントの役割は優れた選手を集めてくること。良い選手を集めれば、どんなアナリティックでも良く見える。アンドルーは素晴らしいスカウトで、だからドジャースは強いんだ」と主張する。今この流れは、MLB全ての球団に及んでいる。そしてそれは簡単には変えられない。「各球団のフロントの間でも激しい競争があるからね。どこが最も進んだ、進歩的なやり方をしているかで競い合っている。上手く行ったチームがあれば、他球団がそれをまたすぐにコピーする」。マドンがデータ野球の先駆者だった頃、部下のコーチたちに「アナリティックについて勉強しておかないと仕事を失うぞ」と警告していたそうだ。それは正しかったのだが、彼も予想しないレベルにまで、野球が変わってしまったのである。

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2022年9月7日のニュース