全国屈指の進学校・灘 たった一人の3年生が完全燃焼

[ 2022年7月12日 13:58 ]

第104回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦   東洋大姫路15―0灘(5回コールド) ( 2022年7月12日    姫路ウインク )

<東洋大姫路・灘>3年生で灘ナインを牽引した杉岡(撮影・岸 良祐)
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 灘のたった一人の3年生・杉岡勇哉は、強豪に敗れはしたが、すがすがしい表情で3年間を振り返った。

 「チームをまとめるのは大変だったんですけど、(1回戦に勝利し)最後に1勝をプレゼントしてくれたのがうれしかった。今日の試合も、高2の段階で高3の強豪と渡り合えた。あと1年あれば、きっと強いチームになってくれると思います」

 灘は中高一貫の全国に名をはせる進学校。中学時代の軟式野球部では同級生が何人かいたが、高校に上がる段階で杉岡以外の全員が続けない、もしくは別の部活動に入部するという選択をした。「一人かあ」と逡巡したが、高校でも続けようと思った。野球が好きだったからだ。

 川西市から毎日1時間以上をかけて通学。火曜日以外は午後6時までの練習があり、疲れて帰っても、どんなに少しだけでも英単語を覚えるなど、勉学との両立にも努めてきた。

 野球の神様は、そんな努力を見捨てなかった。1回戦の東灘戦では1―3の4回2死満塁から左前へ2点適時打を放ち、12年ぶりの夏1勝となる逆転勝利に導いた。「テストが他の学年と終わる時間が違ったりすると、1人だけで練習しなきゃいけないこともあって…。同級生にしかできない悩み相談もできなかったけど、1人であるがゆえに、先輩や後輩との距離も近かった。練習の雰囲気もギスギスすることはなかった」。今となっては、1人でやり遂げたことは誇りだ。この日は「1番捕手」で先発、4回から二塁に回り2打数無安打でも、後輩の成長が頼もしかった。

 東大理科1類志望。あすからはもう一つの戦いに専念する。「この経験は必ず、受験勉強に生きると信じています。人より遅れているのはわかっているので、人一倍やらないと」。野球で培った精神力を、机上でも発揮する。

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2022年7月12日のニュース