千葉学芸 82ー0で歴史的圧勝 千葉大会新1イニング33得点 82点は夏の地方大会歴代2位

[ 2022年7月12日 05:30 ]

第104回全国高校野球選手権千葉大会・2回戦   千葉学芸82ー0わせがく ( 2022年7月11日    長生の森 )

<千葉学芸・わせがく>試合終了後のスコアボード
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 第104回全国高校野球選手権(8月6日から14日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は11日、各地で265試合が行われた。千葉大会では千葉学芸が、1イニング33得点など8つの千葉大会新記録をマークするなど17本塁打を含む51安打で82得点。今夏の地方大会最多得点で、わせがくに圧勝した。82得点は、98年青森大会で東奥義塾がマークした122得点に次ぐ、夏の地方大会歴代2位となった。

 相手あっての野球。歴史的「82―0」ゲームを終えて整列した両校を、大きな拍手が包んだ。3時間13分。千葉学芸が、今夏全国最多の82得点で圧勝した。

 初回から7番・斎藤健介(2年)の2打席連続ランニング本塁打など、4本塁打を含む21安打で32点。千葉大会の1イニング最多得点新記録となった。2回は7発、33点でさらに記録更新。斎藤櫂慎(1年)は2回でサイクル安打達成、3発含む6安打9打点の斎藤健は「集中力を高めて相手を圧倒できた」と胸を張った。

 わせがくは「早稲田予備校」を運営する早稲田学園が03年に設立した広域通信制高校。夏未勝利の野球部員は9人だった。野球未経験の軽音楽部から5人を助っ人に加え14人を登録したが、ベンチ入りは12人。炎天下の長い守備もあり、足のけいれんなど初回から体調不良者が続出した。

 早くも全選手が出場した2回の守り。二塁手の田中里空(りく=1年)が熱中症となり、治療で中断した。「交代する選手はもういません。没収試合になるんでしょうか」。田村勇樹監督は審判団に問いかけたが、ベンチで回復気配の田中を前田陽亮主将(3年)が必死に鼓舞。その姿に試合続行を決意し「あと1人欠けたら、試合を諦める」と選手に告げ再開した。

 「3番・捕手」で先発した前田主将は、初回途中から救援登板し4回1/3、225球の熱投。昨秋の東部地区大会は富里に0―76で敗戦しており「100点差負けを覚悟した」としたが「自分たちのできることはやった」と満足げ。指揮官は「この学校の生徒は9割が不登校を経験している。そんな選手たちが笑顔で野球をやってくれたのは教員冥利(みょうり)に尽きる」と言った。

 千葉学芸は昨秋の日本ハムドラフト2位・有薗を擁し、昨春の千葉県大会を制した。没収試合ならスコアは9―0。高倉伸介監督は「よく最後まで守ってくれた。僕らも失礼のないように最後まで戦いました」とわせがくナインに最大級の敬意を示した。(伊藤 幸男)

 ≪05年創部で未勝利≫わせがくの野球部は05年創部で、春秋ブロック予選、夏の大会含めて未勝利。昨夏は旭農・下総・銚子・八街との連合チームで出場し、1回戦で敗退した。夏は19年に松戸向陽との1回戦で3―20、17年は銚子に5―15、16年は日大習志野に0―19といずれも大差で敗れている。

 ▽没収試合 公認野球規則で定められているフォーフィッテッドゲーム(没収試合)では「一方のチームが競技場に9人のプレーヤーを位置させることができなくなるか、またはこれを拒否した場合、その試合はフォーフィッテッドゲームとなって相手チームの勝ちとなる」と定められている。この場合のスコアは9―0となる。

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