中畑清氏 CS見直しでシーズン通して緊張感ある試合を

[ 2022年7月12日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】6月14日付の当コラムで「セ5球団はヤクルト包囲網を」と書いた。交流戦完全優勝で2位・巨人に7ゲーム差をつけたヤクルト優先のローテーションを組み、独走は許さないという気概を見せてほしかったんだ。

 ところが…。どこも勢いを止められず、2日に史上最速のマジック点灯(53)を許した。4週間前は5つあった貯金が0になった巨人が2位のまま。首位との差は13ゲームに広がった。

 選手にそんな意識はないと信じたい。でも、どこかで「無理しないで2位か3位に」と思っているんじゃないか。コロナ禍でみんな我慢してきてさ。やっと観客が無制限になって活気が戻ってきたのに、5球団はオールスター前からAクラス狙いなんて勘弁してもらいたいよ。

 クライマックスシリーズ(CS)の弊害だね。CSはパが2004年にプレーオフとして導入して成功したのを受け、少し形を変えて07年からセ・パで足並みそろえて始めたんだよね。消化試合が激減するなど営業的なメリットは十分承知してるけど、そろそろシステムを見直してもいい時期なんじゃないかな。

 たとえば、こうするってのはどうかな?

 (1)優勝チームが2位以下に10ゲーム以上の差をつけた場合は、CSを戦うことなく日本シリーズに進出できる

 (2)勝率5割未満のチームのCS出場は認めない

 (1)は大独走Vに対して敬意を表すもので、(2)はレギュラーシーズンで負け越したチームが日本一になるのを避けるため。
 CSができなければ、ファーストSでは2位、ファイナルSでは1位に与えられる主催権のメリットがなくなるけど、有料の調整試合を開催してカバーする手がある。ペナルティーとして下位球団に相手をさせてさ。

 とにかく1シーズン通してファンに緊張感のある試合を提供してもらいたいのよ。

 最後になるけど(8~10日の3日間で)高津監督以下27人の新型コロナウイルス感染者が出たヤクルト。「包囲網」を許さないここまでの戦いは見事だった。思わぬ試練に見舞われたけど、持ち前の団結力で乗り越えてもらいたい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2022年7月12日のニュース