北広島市・川村裕樹部長に聞く 人口5万8000人の市がなぜ、プロ野球球団を誘致できたのか
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来年3月に開業する日本ハムの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の拠点となる北海道北広島市に現在、全国各地の自治体から視察が殺到している。誰もが口をそろえて聞くのは「人口5万8000人の市がなぜ、プロ野球球団を誘致できたのか」――。人気球団の本拠地移転に成功した背景と、その裏にあった努力を企画財政部ボールパーク推進室の川村裕樹部長(52)に聞いた。(取材・構成 清藤 駿太)
プロ野球の本拠地はアクセスが良く、集客率が見込める大都市に置かれる。12球団で最も人口の少ない西武の本拠地・埼玉県所沢市は34万人だが、来季日本ハムの本拠地となる北海道北広島市はさらに少ない5万8000人。全国の自治体から、誘致に至るまでの経緯に注目が集まっている。
「スタジアム凄いですね、ではない。なぜこのくらいの町規模でできたのか、そのプロセスを聞きたいと。大学生にも講義に行きますし。でもね、本当に奇跡。さまざまなことがいい方向に重なった」
18年3月、日本ハムの新球場建設候補地が北広島市の「きたひろしま総合運動公園」に決定。最後は現本拠地の札幌市との一騎打ちとなり、誘致策で先手を打ち続けた北広島市が射止めた。同市は固定資産税の減免など条件闘争を制したともいわれるが、誘致成功の鍵となったのは3つのポイントだった。
(1)「ビジョンの共有」 市は総合計画に「希望都市・交流都市・成長都市」のキャッチフレーズを掲げる。日本ハムも企業理念に「スポーツコミュニティー」を掲げており、スポーツを通じて社会的課題を解決するという理念にまさしく合致した。候補地が決定するまで毎週、アクセスや集客の問題と並行しながら、10年後、20年後の未来にどうなりたいか打ち合わせを重ねてきた。
「プロ野球という全国に12しかない日本の文化を持ってくるのは企業誘致にとどまらない。その価値は想像するに無限に広がっていく。『プロ野球=○○』は教育、子育て、環境、観光全てに当てはまる。ただ、お互いに対等な立場でこの場所を選び、街づくりしているので一緒に汗もかけるし、言いたいことも言い合える関係を築けた」
(2)「組織的機動力」 行政や自治体は何かを決定する上で、手続きが必要になるのが通例だ。会議では「課題を整理して次回」も多いが、それでは民間企業のスピードについていくのは困難だった。そこで、上野正三市長(74)に同案件を一任してもらい、スピード感を持って話し合いを進めた。
「うちの市役所の職員は全部で460人。ボールパークをみんなで進めようとなった時にやりやすい人数的な組織でもあった。別の部署に相談するとなれば、フロアを1階上がるだけ。そういう組織的な機動力も、組織一丸となってできるような組織風土だった。それがイコールスピード感につながっていると思う」
(3)「トップのリーダーシップ」 球団が新球場構想を打ち出したのは16年5月。北広島市は上野市長が、翌6月の定例市議会で誘致をすぐさま表明した。その後も固定資産税の減免など優遇策を相次いで打ち出し、球団に「ラブコール」を送り続けた。
「うちの市長が誘致をするんだと明言している以上は、何とか誘致に向けて進める。そこがもやもやしていたら決断はできない。前例がないのであれば、うちが1例目になったらいいと動いていた」
長年、市は少子高齢化問題を抱えていた。過去には市をPRするため石狩管内の市町村でチームをつくり、各地のゆるキャラを連れて東京・有楽町のステージでイベントを企画。地元産の野菜やビラを配り、認知度調査をして衝撃を受けた。
「北広島市を知っているか100人に聞いてね。一人くらい…と思ったら誰も知らない。ゼロですよ。でも、新千歳空港から札幌までのJRで一度は通ったことはある。うちの市長がよく言うんです。“通りすがりの街”って」
ボールパークを通じて気付いたのは「シビックプライド」の向上だった。市への「誇り」「愛着」「共感」を未来を担う若者に感じてもらい、将来戻ってくることに期待。そのため小中学生の総合学習にボールパークを取り入れ、夏休みには新球場見学会を実施している。市民向けに、新球場近隣に建設予定のマンション見学会も行った。
「足元を見ないで外ばかり見ていたのが数年前。よく“家を建てたら安くします、土地をあげます”など、多くの自治体でいろいろなことをやっているが、それは息の長い取り組みとはいえない。ボールパークを通じて今住んでいる人たちに“うちの街はいい街だ、うちの街はこんな特徴がある”と知ってもらう方が効果的だと分かったんです」
開業まで半年。初年度は多くの来場が見込まれ、渋滞やゴミのポイ捨てなどのさまざまな問題も想定される。地元市民にとっては、歓迎できない場面に遭遇する可能性もあるかもしれない。
「住んでいる人たちに“損してない?”と思わせたくはない。我々は、市民がみんなを迎えられる土台をつくっていく半年間。ファイターズは、多くの人たちに来てもらうために展開する半年間になる」
◇川村 裕樹(かわむら・ひろき)1970年(昭45)5月14日生まれ、札幌市出身の52歳。札幌開成3年時の88年夏に4番打者で甲子園出場。卒業後の89年4月に広島町(当時)入庁。15年4月から企画財政部次長としてボールパークの誘致に尽力し、17年4月からは企画財政部部長としてボールパーク推進室長を兼務。家族は妻と2男。
◆北海道北広島市で始まっている「新球場シフト」◆
☆JR北広島駅西口広場 来季からの球場の玄関口。北広島の「顔」となる交流拠点を、球場命名権者でもある不動産開発会社・日本エスコンと官民連携で開始した。ホテルや商業施設が入る14階建てのビル建設を今月4日に着工。24年度完成を予定する。
☆アクセス道路の整備 北広島駅~新球場間のJR線路を越える箇所に310メートルの歩道を新設。国道274号線と新球場エリアを結ぶ1・7キロのバイパス道路を新設する。周辺道路を含めた命名権を新球場運営会社のファイターズスポーツ&エンターテイメントが取得し、「ボールパーク通り」「ビッグボスブリッジ」などの愛称が決まった。
☆北広島駅前に大型ビジョン 駅前「エルフィンパーク」に球団が200インチのLEDビジョン2台を設置。来季から主催試合の中継映像が配信される。
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