【大谷MVP投票記者の証言・中地区】「来年以降再現される保証はない。歴史的な事件」「三刀流選手だ」

[ 2021年11月19日 18:30 ]

満票でMVPに選出された大谷
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 大リーグ機構(MLB)は18日(日本時間19日)、今季のMVPを発表し、投打二刀流による歴史的な活躍をしたエンゼルスの大谷翔平投手(27)がア・リーグMVPに選ばれた。満票選出は15年のハーパー(当時ナショナルズ、現フィリーズ)以来、6年ぶり19人目の快挙となった。

 満票での快挙。30人の記者たちは、どのような考えによって今シーズンの大谷の活躍を評価したのか。他の選手と迷った記者はいたのか。二刀流の数字の捉え方は。東、中、西3地区の投票記者それぞれの「証言」でひも解く大谷満票MVPの裏側――。

【中地区】

 ▼ラモンド・ポープ=シカゴ・トリビューン(ホワイトソックス担当)
 「最も大事なのは、誰が最高のシーズンを過ごしたのか。最終候補3人とも素晴らしいプレーで、選考は簡単ではなかった。一つ言えるのはブルージェイズの方がエンゼルスより良い成績だった点は、選考の決め手にはなっていないということ」

 ▼ジェームズ・フェーガン=ジ・アスレチック(ホワイトソックス担当)
 「大谷は打者、あるいは投手として最高だったわけではない。ただチームへの貢献度はどの野手や投手よりも上だった。決める上では勝利への貢献度を示す指標・WARが役立った。投手と打者の比較は難しいが、WARは手助けしてくれる」

 ▼ポール・ホインズ=ザ・プレーン・ディーラー(インディアンス担当)
 「対抗馬がゲレロと言う人もいるが、競争になっていない。すぐに決めた。大谷は不可能だと思われたことをやった。体が持たないと言われていたのにやり通した。右翼を守ったり、バント安打や盗塁技術など、二刀流どころか三刀流選手だ」

 ▼ザック・マイセル=ジ・アスレチック(インディアンス担当)
 「9月になって、ゲレロがMVP争いで大谷に勝つとすれば何をしなければならないかと考えた。答えはローテーションに入って完封を続けることだった。大谷の偉業は近年の野球史では考えられなかったこと。彼に1位票を入れることにした」

 ▼クリス・マッコースキー=デトロイト・ニューズ(タイガース担当)
 「個人成績がほぼ同じ場合は、チーム成績が良い方を選ぶ。しかし今回はほぼ同じではなく、大谷が圧倒的だった。伝説上の生き物、ユニコーンのような存在だった。今後同じような活躍を続けたら、投票者はどう判断すべきか、悩むだろう」

 ▼エバン・ウッドベリー=MLiveメディアグループ(タイガース担当)
 「大谷の二刀流は有利だからこれから毎年MVPだと言う人もいる。もし本当にそうなったら、ゆくゆくはMVPは「大谷賞」と改名されると思う。しかし21年に起きたことは特別で来年、再来年に再現される保証はない。歴史的な事件だ」

 ▼ジェフ・パッサン=ESPN(ロイヤルズ担当)
 「記者の中にはMVPと年間最優秀選手は別で、MVPはチーム成績を考慮する人がいるが、私は同じものという考え。プレーオフを逃しても、一番活躍した選手に入れる。トラウトも3度のMVPのうち、2度はチームが大きく負け越した」

 ▼リン・ワージー=カンザスシティー・スター(ロイヤルズ担当)
 「私はその選手の活躍がどれだけそのチームに不可欠だったかで決めている。大谷のチームに与える価値は他の選手にないユニークなもの。彼がマウンドに立った時、一球一球チームにもたらす守備面での貢献度は他の野手とは比較にならない」

 ▼ドヤング・パーク=大リーグ公式サイト(ツインズ担当)
 「MVP投票は初めてでしっかり考えたが、チーム成績に関係なく、最高の野球選手に贈られるべきと判断した。仮にゲレロが3冠王、あるいはペレスが捕手で50本塁打なら、それも偉大な物語。3人とも達成し悩むならさぞ面白かっただろう」

 ▼ダン・ハイエス=ジ・アスレチック(ツインズ担当)
 「大谷はオールスター戦の活躍だけでも素晴らしい。本塁打競争であれだけ大きな打球を飛ばし、翌日に先発でナ・リーグ上位打線を抑えた。凄く価値あるものを見たと思った。投打走と超一流で総合的に素晴らしく、WARに反映されている」

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2021年11月19日のニュース