悪夢の10・8 自力V消滅 でも阪神・矢野監督は信念貫く「どういう状況になっても、俺たちの野球を」

[ 2021年10月9日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1-4ヤクルト ( 2021年10月8日    神宮 )

<ヤ・神>ヤクルトにマジック点灯を許し、足早に引き揚げる矢野監督(撮影・大森 寛明)
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 阪神は1、2位直接対決となった8日のヤクルト戦に1―4で敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。矢野燿大監督(52)が必勝を期して中5日で投入した先発・高橋遥人投手(25)が、初回に自身28イニングぶりの失点で先制されるなど5回4失点。土俵際に追い込まれた指揮官は「どういう状況でも俺たちの野球を見せていく。明日以降を全員で変えにいく」とネバーギブアップの姿勢を強調した。

 勝利への願いは、はかなく消えた。3点劣勢の9回。ブルペンではスアレスが投球練習を開始し、ベンチでは佐藤輝がヘルメットをかぶってスタンバイしていた。しかし出番が訪れることなく敗れ、自力優勝の可能性が消滅。矢野監督は目の前の現実を、努めて冷静に受け止めた。

 「終わったことは、変えられない。明日以降、自分たちが変えられるところにチャレンジにしていく」

 悔しさを押し殺すのが精いっぱいだった。1、2位直接対決の第1ラウンド。その決戦の舞台に、最も信頼の置ける高橋を送り込んだ。9月18日の中日戦から3連勝。同25日の巨人戦、前回2日の中日戦と2試合連続で完封勝利を挙げていた。その左腕を、今季初めて中5日で先発起用。しかしチームの命運を託した「勝負手」は無情にも不発となった。

 「中5日というのもあるし。こっちも勝負に行っているんでね。奥川もいいだろうというので、(勝負に)きてるんで。前半ちょっと粘ってくれたらな、というのはもちろんあるけど。ハルトも勝負に行った結果。それはしっかり受け止めてやるしかないかな」

 立ち上がりから苦しんだ。初回2死一塁、村上に浴びた右中間への長打で一塁走者・山田が一気に生還。本塁でのクロスプレーに対して矢野監督は迷わずリクエストを要求したが、判定は覆らず先制点を献上。実に28イニングぶりの失点だった。

 1点を追う2回は5球で2死を奪ったが、直後に8番・西浦にソロを被弾。5回にも1死二、三塁から塩見に右前2点打を許した。5回7安打4失点。わずか58球で降板。頼みの左腕が精彩を欠き、首位浮上を狙うチームからも勢いが消えた。

 「どういう状況になっても、俺たちの野球を。その姿を見せていく。何とか変えられる明日以降を全員で変えにいく努力をします」

 今季130試合目にして自力優勝の可能性が初めて消滅した。悪夢の「10・8」…。V逸した08年も10月8日の巨人戦に敗れて優勝マジック点灯を許した。ただ、それは過去の出来事。決して16年ぶりの優勝が消えたわけではない。奇跡の未来へとつなぐ――。その唯一の方法は、勝利を重ねることだ。(山本 浩之)

 《M11点灯許す》阪神はヤクルトとの直接対決に敗れ、自力優勝の可能性が今季初消滅。ヤクルトの優勝へのマジック「11」の点灯を許した。これは阪神が残りの13試合に全勝した場合の勝率・610(83勝53敗7分け)をヤクルトが阪神戦以外の残り12試合で11勝すれば勝率・614(78勝49敗16分け)で上回るため。

 《7差逆転された》ヤクルトには6月19日時点の最大7ゲーム差を逆転された。10月に入っての初消滅は08年、巨人に最大13ゲーム差からの逆転を許して以来13年ぶり。今回も前回と同じ“10・8”の屈辱となった。

 ▽10・8とは
 ★94年 69勝60敗で並んだ巨人と中日による、史上初の同率首位同士のシーズン最終戦決戦。巨人を率いた長嶋監督は「国民的行事」と称した。試合は巨人が2回の落合の先制ソロを皮切りに本塁打攻勢で計6得点。投げては槙原―斎藤―桑田の先発3本柱のリレーで中日の反撃を封じて6―3で勝利し、4年ぶりの優勝を決めた。

 ★08年 阪神と巨人が81勝56敗3分けの同率首位で迎えた東京ドームのカード最終戦。勝利チームにマジックが点灯する大一番は、阪神が巨人に終始先行される展開で1―3の敗戦。阪神戦7連勝の巨人はマジック「2」を点灯させ2日後の10日に優勝した。開幕から140試合、首位の座を守り、7月8日時点で巨人に最大13ゲーム差をつけていた阪神はまさかのV逸。岡田監督は引責辞任した。

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