阪神のドラフトを読む 筑波大・佐藤など即戦力左腕獲りが急務 智弁・前川筆頭に次世代大砲もポイント

[ 2021年9月28日 05:30 ]

(左上から時計回りに)西日本工大・隅田、筑波大・佐藤、関学大・黒原、JR東日本・山田
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 10月11日のドラフト会議を2週間後に控えた27日、プロ志望届提出期限を迎えた。スポニチは阪神の投手陣、野手陣の年齢分布(外国人、育成選手除く)を一覧にまとめ、補強ポイントを分析した。投手陣は先発、中継ぎともに即戦力左腕の補強が最優先課題。充実の野手陣は次代を担う強打の高校生獲得の好機と見る。

 【投手編】左腕不足が明らかで先発補強が急務。今季、先発ローテーションで回っている左腕は伊藤将のみ。来季候補として今季は中継ぎ起用された及川が控え、高橋も復調気配だが、まだ計算できる状況とは言えない。

 今年の大学生の即戦力候補左腕では筑波大・佐藤隼輔の総合力が高い。楽天・早川タイプの本格派。1メートル82、80キロの体格から最速152キロを誇り、阪神・和田豊テクニカル・アドバイザーも「内、外に投げ分ける制球力もある」と評価。9月11日の東海大戦で右腹部を負傷したが、各球団の高評価に陰りは見えない。また最速150キロの西日本工大・隅田知一郎はカーブ、スライダー、カットボール、スプリットなど多彩な球種を操る実力派。この2人に最速151キロの関学大・黒原拓未が続く。

 社会人では最速153キロのJR東日本・山田龍聖だ。18年夏の甲子園大会3回戦では高岡商のエースとして、藤原(ロッテ)、根尾(中日)擁する大阪桐蔭打線から11奪三振の高卒3年目左腕。最速150キロの三菱重工West・森翔平は完成度が高い。3月25日の阪神2軍戦で3回1安打3奪三振無失点。阪神・平田勝男2軍監督に「ドラフトの目玉になる」と言わしめた。

 即戦力左腕以外では市和歌山・小園健太、高知・森木大智、ノースアジア大明桜・風間球打、天理・達孝太ら高校生が上位候補だ。

 【野手編】日本人選手30人中27人が30歳以下と充実した布陣を誇る。直近6年間で野手1位指名4人という、ドラフト戦略のたまものだろう。ただ戦力が整っている今こそが、次代の主力野手を育成しておく好機とも言える。今年は昨年の佐藤輝(阪神)、牧(DeNA)のような目玉候補こそ不在ながら、阪神が狙うなら、強打の高校生がターゲットだ。

 今夏の甲子園大会で2本塁打を放ち、チームの準優勝に貢献した智弁学園・前川右京は高校通算37本塁打を誇る左のスラッガー。名門で入学直後の1年春から公式戦に出場し、同夏からは4番を任された。高校の先輩である岡本和(巨人)を目標に掲げる逸材だ。

 高校通算27本塁打の岐阜第一・阪口楽はスケールが大きい。1メートル87、90キロと体格に恵まれ、投げても最速143キロと投打にセンス抜群。憧れの存在・大谷(エンゼルス)の背中を追う。今夏の甲子園大会で本塁打を放った愛工大名電・田村俊介も高校通算32本塁打の打力に加え、投げても最速145キロ。野手として評価が高く、打力と強肩を生かし強打の外野手として大成する青写真が描ける。右のスラッガーなら高校通算70本塁打の千葉学芸・有薗直輝、同56本塁打の昌平・吉野創士が将来性豊かな逸材だ。

 高校生では他にも大型捕手の県岐阜商・高木翔斗、勝負強さが光る大阪桐蔭・池田陵真らも候補に入る。

 《15年オフに戦略転換》阪神は15年オフの金本知憲前監督就任を機に、ドラフト戦略を方針転換。生え抜き野手充実に注力し、昨年までの6年間で野手を4人、1位指名してきた。そのうち16年の大山、18年の近本、20年の佐藤輝が今季も主力として活躍。1位指名以外でも、16年5位の糸原、20年6位の中野がレギュラーに定着し、今季は基本的に助っ人を除く全ポジションを生え抜き野手で構成している。

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