大谷「勝ちたい」またも10勝ならず…感情爆発 バットを叩きつけた「もっともっと、いい内容で終われる」

[ 2021年9月28日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス1―5マリナーズ ( 2021年9月26日    アナハイム )

<エンゼルス・マリナーズ>マウンドでボールの傷を確認する大谷(撮影・沢田 明徳)
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 三度目の正直も実らなかった。エンゼルスの大谷翔平投手(27)が26日(日本時間27日)、マリナーズ戦に「2番・投手」で出場して7回を5安打1失点10奪三振と好投。しかし勝敗は付かず、1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」到達はならなかった。珍しく怒りの感情をあらわにする場面もあり、試合後にはチームの低迷打破に向けて、切実な思いを訴えた。

 追いつかれた自分への怒り、挽回する打席が回ってこないもどかしさ。二刀流の大谷にしか分からない感情が爆発した。同点ソロを浴びた直後の7回の攻撃。2死一塁で9番・フレッチャーが一邪飛に倒れると、ベンチ前の大谷は珍しくバットをバット入れに叩きつけて悔しがった。

 「7回をゼロで抑えたかった。全体的に考えたら8回無失点で乗り切る内容。もっともっと、いい内容で終われるところだった」

 1点リードの7回1死、新人ケレニックに同点ソロを浴びた。2死後、バウアーズを、この日の112球目に最速99・2マイル(約160キロ)を計測した直球で空振り三振斬り。しかし、裏の攻撃でチームが得点できず、勝敗は付かなかった。

 7回を1失点。前回は8回2失点で、自身初の2試合連続10奪三振だった。降板後の8回に救援陣が一挙4失点し、今季のエンゼルスの低迷を象徴する敗戦。大谷は「勝てなかったのもそうだし、ゲームとして最後に追いつかれるのも自分の責任」と自らを責めた。

 ただ、メジャー4年目も終盤を迎え、ふがいないチーム状況にも言及。「このままでは勝てないんじゃないかな」と7年連続でプレーオフを逃している現状の打破を求めた。自らが選んだ球団への愛着を口にする一方で「それ以上に勝ちたい気持ちが強い。プレーヤーとしてはそれの方が正しい」とも述べた。

 大谷は今年2月に総額850万ドル(約9億4350万円)で2年契約を結んだ。エ軍が保有権を持つのは23年シーズンまで。それまでに勝てるチームになれるのか。地元紙ロサンゼルス・タイムズは「エ軍が大谷に警告された」との見出しで記事を掲載し、大谷の発言に込められた思いを推し量った。

 本来、大谷が闘志をたぎらせるのは、本塁打王やMVPなどのタイトル争いよりも、チームが勝つための戦い。「もっともっとヒリヒリする9月を過ごしたい。クラブハウスの中もそういう会話であふれるように。来年以降、そうなるように願っている」。今季は残り6試合。悔しさを懸命にこらえ、遠征先のテキサスに向かった。(柳原 直之)

 《近代野球で初の150奪三振&150塁打》10奪三振をマークした大谷は、今季156奪三振。打者としては307塁打をマークしており、「150奪三振&150塁打」に到達した。近代野球とされる1900年以降では初の快挙。150奪三振以上は、エンゼルスの投手としては18年のヒーニー(現ヤンキース)以来3年ぶり。また、今季ホームで13試合に登板して6勝0敗だった大谷は、本拠地で10試合以上に先発してシーズン無敗に終わる球団初の投手となった。

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