令和の怪物撃ちに見たギータの凄み 五輪のキーマンは間違いなくこの男

[ 2021年6月26日 13:23 ]

ロッテ・佐々木朗からソロ本塁打を放つ柳田
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 野球の日本代表が東京五輪で金メダルを獲得するためのキーマンは、ソフトバンクの柳田悠岐だと思っている。改めて感じたのは24日の「令和の怪物」と呼ばれる高卒2年目右腕、ロッテの佐々木朗希との初対決だった。

 初回。初めて打席に立ち、球筋をじっくり見ていくところだが、この超人に「様子見」など無縁だった。初球、153キロの直球をいきなり強振し、左中間席中段に叩き込んだ。初めて対戦する投手の、しかも初球。タイミングを合わせることは難しく、そう簡単にフルスイングできるものではない。それでも、直球に狙いを定め、完璧に捉えた。佐々木朗は内角を狙ったが、シュート回転して真ん中に入った。その失投を逃さなかった。

 「どんどん良くなっていくんだろうなと。そういう印象です。スケールも」。試合後、柳田は佐々木朗についてそう語ったが、むしろ圧倒的なスケールを19歳に植え付けたのは、柳田だった。

 東京五輪でも、対戦するほとんどの投手と初めて対戦することになる。先発投手の球筋を見極めるため、早打ちは決していいことではない。ただ追い込まれれば、初対戦も含めて不利になることも事実。柳田の徹底した「好球必打」は、プラスに働くと見ている。佐々木朗からは6回にも決勝打。追い込まれた場面で5球続いたフォークを軽打し、中前に運んだ。ソフトバンクを4年連続日本一に導いている主砲。フルスイングだけでなく、巧さや勝負強さもある。

 独特な打撃も国際大会で通用するはずだ。一見、アッパースイングに見えるが、実際は違う。バットを上から振り下ろし、フォロースルーで大きく振り上げている。言わば、「V字スイング」。柳田自身が「体の内側から最短距離でバットを出す」と言うように球を引きつけて打てるから、どんな投手にも対応できるし、振り上げるから長打力もある。

 待望の日本代表入り。柳田は代表の常連と思われがちだが、実は14、18年の日米野球や強化試合しか出ていない。17年のWBC、15、19年のプレミア12はいずれも故障の影響で代表入りしておらず、金メダル獲得を目指す日本代表にとっても「最強の補強」と言える。憧れだったメジャー挑戦を断念している柳田本人も「野球の集大成だと思って、打って、守って、走っての全部、頑張りたい」と燃えている。振り返れば、日米野球で14年にMVPを獲得、18年も初戦で逆転サヨナラアーチを放ったスラッガー。主要国際大会では初出場となる大舞台で「集大成」を見せてくれるはずだ。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2021年6月26日のニュース