エンゼルス・大谷、ルースの魂宿るNYで輝いてこそ“真”ヒーロー 29日から3年ぶりヤンキースタジアム

[ 2021年6月26日 02:30 ]

ヤンキースタジアム
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 エンゼルス・大谷翔平投手(26)が、3年ぶりに聖地ヤンキースタジアムの舞台に立つ。28日(日本時間29日)からはヤンキースとの4連戦。メジャー1年目の18年5月に初めて同球場でプレーしたが、当時とは成績も、注目度も比較にならない。ヤ軍が誇る偉大な英雄ベーブ・ルースの再来とも呼ばれる現代の二刀流が、ニューヨークで活躍することの意味を聞いた。(杉浦大介通信員)

 旧ヤンキースタジアムは「ルースの建てた家」と呼ばれた。09年に新球場が完成したが、ベーブ・ルースの「遺産」は今も残る。球場内にある「ヤンキース・ミュージアム」。断トツのワールドシリーズ制覇27回を示す優勝トロフィーやリング、ルー・ゲーリッグが実際に使用したユニホームなど、伝統を感じさせる数々の展示品が置かれている。中でも1番人気は「神様」ベーブ・ルースの品々で、15点ほどある。

 ミュージアム創設に尽力し、09年4月16日のオープンから館長を務めるブライアン・リチャーズさん(39)は、ルースに魅せられた一人だ。「ルースは一振りで得点を生み出すという点で、ベースボールを変えた。一つのスポーツを超えて世界的な人気を誇り、人間的にも魅力的だった。また、その実力と人気でヤンキースの運命を変えた選手でもあった」。ルースこそ大リーグ史上最大のヒーローなのは疑う余地がない。ただ、100年の時が流れ、ニューヨークの人々がルースと重ね合わせる規格外の選手が再び現れた。それが大谷だ。

 メジャー移籍前から大谷に注目していたというリチャーズ館長も、大谷の3年ぶりのニューヨークでのプレーを心待ちにしている。「大谷はルース以来、誰も目にしていない革命的なことをしている。役割が細分化した現代に、そんな選手が現れたことはとんでもない。ルースと違う意味で野球を変えられる」と期待を寄せた。

 3年前の3連戦は全て打者で出場し、田中(現楽天)からの2三振を含む9打数無安打。力を発揮できなかった。投手では右肘の故障、打者では好不調の波もあり、昨季まではニューヨークでは「二刀流」という話題性が先行していた。だが、今季の投打にわたる活躍でフィーバーは全米に拡大。それは球宴ファン投票でDH部門トップの独走ぶりでも証明している。

 経済・文化の中心で、メディアの発信力も桁違いのニューヨークで実力を示せば、さらなるインパクトを生み出す。「3年前よりも注目度は高い。話題性の高さからくるプレッシャーにも負けない選手だけに、ニューヨークというビッグステージで、これまで以上に大きな注目を浴びても、力が出せるのではないか」。リチャーズ館長は、そう太鼓判を押した。

 現在のローテーション通りなら、4連戦中に初めてマウンドにも上がる。ルースが最後に投打同時出場したのは、1933年10月1日のレッドソックス戦で、場所はヤンキースタジアム。「3番・投手」で完投勝利を挙げ、本塁打を放った。

 「ルース以来、100年間も出てこなかったような選手だから、彼がニューヨーク遠征中、さらにキャリアを通じて、何をやってくれるか予測するのは難しい。一つ言えるのは、これほどの才能がある選手の可能性は無限大だということだ」

 計り知れない可能性を秘める大谷の姿を、目に焼き付けようとしている。

 ▽大谷の前回ヤンキースタジアム 18年5月25~27日の3連戦。3試合全てに打者出場し、9打数無安打、5三振だった。田中(現楽天)とは3戦目にメジャーで初対戦し、空振り三振、四球、空振り三振の2打数無安打。チームは1勝2敗で負け越した。19年は9月に遠征があったが、大谷は左膝手術を受けたため残りシーズンを欠場。昨年はコロナ禍で同地区との対戦に限られた。

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