【石井一久氏クロスファイア】大谷に新たな試練 変化加えた“左投手の内角攻め”

[ 2018年8月1日 10:30 ]

エンゼルスの大谷(AP)
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 エンゼルスの大谷が、打者として新たな試練を迎えている。相手投手の攻め方が、また変わってきたからだ。オープン戦から開幕直後は内角がメインだったが、そこを攻略すると、今度は外角低めが中心に。そこも対応してくると、また内角に戻り、さらに高めを突いてくるようになってきた。データ分析が進むメジャーでは、前半戦である程度、打者の傾向が出てくるので、後半戦から配球を変えることが多い。

 特に顕著なのが、左投手の内角への対応に苦労していること。それが、対左の打率.160(対右は.301)という結果にも表れている。日本時代は対左は.309と苦にしなかったのに、なぜメジャーでは数字が悪いのか。メジャーの左投手は、日本より球速や変化球の切れもワンランク上だし、クロスステップで投げてくる投手もいる。でも、一番の違いは、左打者の内角球に変化を加えること。ツーシーム、チェンジアップなど、内角球を打とうとした瞬間に、もう一つ内角に食い込む。日本の左投手にはあまりない球筋だ。

 7月27日のマリナーズ戦。左腕ルブランに対し、4球連続の内角球の後、外角を1球挟んで、真ん中やや外寄りの球を空振りしたが、大谷は外角いっぱいの球を振っているようなスイングだった。内角球が一つ変化することで、打者はより内角への意識が強くなる。その結果、右肩から右の骨盤にかけての「壁」が若干、早く崩れている印象を受ける。

 ただ、配球が次々に変わるのも、大谷が一つ一つつぶしてきたから。メジャーの投手が「内角の速球は危険だ」と察知したのは、ヤンキースのセベリーノの160キロ近い速球を本塁打したから。彼の対応力の早さからすれば、左投手の内角をどう攻略するのか注目だ。

 そもそも、左投手が左打者に対する時、外角のスライダーで簡単に打ち取れると踏めば、そこまで内角を意識させる必要はない。内角球に変化を加えているのは、それだけ、投手もいっぱいいっぱいの配球をしているということだ。

 以上が僕の見解。大谷くんが同じように感じているかは分からない。なぜなら、僕は石井だからだ。 (スポニチ本紙評論家)

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2018年8月1日のニュース