「全身つっても」球児の思いは分かるが…高校野球、求められる早急な猛暑対策

[ 2018年7月20日 13:00 ]

<浦和実・山村学園>捕手の佐藤舜に肩を借りながらベンチへ引き上げるエースの英
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 全国各地で繰り広げられる高校野球地方大会の熱戦もいよいよ佳境に入ってきた。

 各地の球場をまわる中でやはり気になるのは強烈な暑さだ。11日の南埼玉大会ではこんな場面があった。山村学園―浦和実戦で、浦和実のエース左腕・英(はなふさ)真太郎投手(3年)が8回の投球中、2度足がつってベンチで治療した。顔をゆがませながらなんとかその回を抑え、捕手・佐藤舜に肩を貸してもらってベンチへ退いた。その英に9回先頭で打席がまわった。

 代打かと思いきや、そのまま打席へ。今にも倒れそうになりながらバットを振り、空振り三振。球場に待機していた看護師からは「もう1度治療で退くようなことがあったら交代を出すべき」と意見も出されたが、意地で乗り切った。浦和実の土居健太監督は「英はエースで4番。あいつのチームなので。状態も聞いたが本人も行くというので行かせた」。英も「最後は全身つっていたが、エースなのでそういう姿は後輩に絶対見せたくなかった」と振り返った。

 相手の山村学園のエース和田朋也投手(2年)は試合前から左足がつり、さらに試合終盤にも右太腿がつったまま完投。山村学園(埼玉)の岡野泰崇監督は「お互い、相手というより天気と戦っている感じだった。暑さ対策でサプリとかは飲んでいたが、まったく効かなかった」。

 名将たちも今年の強烈な暑さには戸惑いを隠せず、40年以上指導する帝京の前田三夫監督も「今年は特に暑い」とため息をつけば、日大三の小倉全由監督も「敵は相手と暑さ」と言った。

 経口補水液や塩飴などを試合中にとって対策しているチームが多かったが、温暖化で今後ますます暑さは厳しくなってくるだろう。しかし、特に3年生にとっては最後の夏だけに、選手はどうしても無理をする。心情は理解できる一方で、命を落としてしまっては元も子もない。もはやその場の判断だけでは対応しきれなくなってきている印象だ。大会期間に余裕を持たせるなど早急な対応が求められる。(記者コラム・松井 いつき)

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2018年7月20日のニュース