高木菜那 金メダル直前の転倒に尽きぬ後悔「転ばなければ…。悔しい」

[ 2022年2月15日 18:26 ]

北京五輪第12日 ( 2022年2月15日 )

転倒し肩を落とす高木菜那(AP)
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 スピードスケートの女子団体追い抜き(パシュート)は決勝でカナダに敗れ、銀メダルに終わった。ラスト1週まで強敵をリードしながら、最終コーナーで高木菜那(29=日本電産サンキョー)がまさかの転倒。女子では冬季五輪初の連覇こそ逃したものの、2大会連続メダルとなる「銀」は胸を張れる結果だった。

 「やっぱり、最後、転ばなかったら、優勝できたかもしれないタイムだったので、やっぱり悔しい。(今後の種目については)後で考えます」

 一言一言、かみしめるように、高木菜はコメントを発した。レース直後は呆然としたまま、チームメイトのもとへ。最初に駆け寄ったのが、妹の美帆だった。号泣する姉を抱き寄せ、慰めの言葉を送った。

 菜那にとって、かつては妹への嫉妬心が原動力だった。高校2年の冬。妹・美帆のバンクーバー五輪用の公式グッズが北海道の自宅に届いた。うらやましくもあり、悔しかった菜那は後日、帯広南商の東出俊一監督に「燃やそうかと思った」と打ち明けている。姉妹で出掛けた街中で「美帆ちゃんのお姉ちゃん?」と話しかけられ、イラッとして「菜那です」と答えたことは一度や二度ではない。バンクーバー五輪で最初に妹の滑りを見た時も「転べばいいのに」と思った。だが、その五輪の1000メートルで美帆は最下位。競うべき存在が妹ではなく世界だと気付いた。

 まさかの結末でも、手にした銀メダルの価値は計り知れない。「世界一」のチームワークを証明したレースだった。

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