【複合個人LH】渡部暁斗が銅 金まで0・6秒差、集大成5度目五輪で3大会連続メダル 1歳長男に届けた

[ 2022年2月15日 19:57 ]

北京五輪第12日・ノルディックスキー複合男子個人ラージヒル ( 2022年2月15日    国家ジャンプセンターほか )

<北京五輪ノルディック複合個人ラージヒル>金メダルを獲得したグローバク(右)と0・6秒差の3位だった渡部暁斗(左手前)(AP)
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 北京五輪ノルディックスキー複合男子個人ラージヒルが15日行われ、5大会連続出場の渡部暁斗(33=北野建設)が銅メダルを獲得した。

  5度目の五輪挑戦。個人ノーマルヒルで五輪過去2大会連続銀メダルを獲得していた渡部暁だったが、9日の同種目では無念の7位。18年平昌五輪5位が最高成績の個人ラージヒルで“リベンジ”を期すことになった。前半飛躍(ヒルサイズ=HS140メートル)で135メートルを飛び、126・4点をマーク。トップとは54秒差の5位で後半距離(10キロ)へ臨んだ。「ここ(北京)にきていいジャンプができていなかったので、一発いいジャンプ出せて良かったかなと思う。(クロスカントリーは)どういう展開になるかは分からないが、いいペースで、いいリズムをつかんで飛ばしすぎないように走れたら」と話し、後半の距離に臨んだ。

 2・5キロの4周の周回で行うコース。1周目の終わりに首位のリーベル(ノルウェー)がコースを間違えるアクシデントもあり、渡部は3・5キロでトップに立った。実は個人ノーマルヒルでは、標高が高く、タフなコースの距離で4位タイのタイムで粘り強さを見せ「いい走りができた」と手応えをつかんでいた。ラスト1周、集団から早めにスパートをかけ、最後はノルウェー2選手との直線勝負となったが、金メダルのグローバク(ノルウェー)までわずか0・6秒及ばなかった。

「金メダルを獲りたい気持ちはどの大会よりも一番強い」。渡部暁はその思いを、よく山に例えてきた。「獲ったことがないから。何度かその山に挑戦したが、まだ山頂手前まで。そこに立ってみたい」と、まだ見ぬ頂上の景色に思いをはせてきた。

 20年11月には長男が誕生。「1人の人間として人生の中で凄く大きな出来事。自分の人生に生きる意味が生まれた」。来季以降は家族との時間を大切にしながら競技と向き合い、「100%自分のために時間を使って、金メダルを獲りに行くのは最後」と今大会を一つの区切りとし、集大成の五輪として臨んだ。

 狙った色とは違うメダルとなったが、ノルディック複合では日本選手初の3大会連続のメダル獲得。さらにノルディック複合個人ラージヒルでは日本勢初メダルとなった。まさに偉業となった。

 ◆渡部 暁斗(わたべ・あきと) 1988年(昭63)5月26日、長野県白馬村生まれの33歳。3歳からゲレンデスキーを始め、白馬北小4年からジャンプを始める。白馬中から本格的に複合を始め、白馬高、早大を経て、北野建設所属。五輪には白馬高2年時の06年トリノ、10年バンクーバー、14年ソチ、18年平昌から5大会連続出場。1メートル73、61キロ。

 ▽ノルディック複合 飛躍(ジャンプ)と距離(クロスカントリー)を組み合わせた競技。ジャンプの瞬発力やテクニック、距離の持久力や精神力など総合的な身体能力が求められることから、本場欧州では王者には「キング・オブ・スキー」の称号が与えられる。個人戦では前半飛躍で1回のジャンプを行い、その得点差をタイム差に換算(1点差ごとに4秒)。後半距離は飛躍1位の選手が最初にスタートし、後続の選手は換算されたタイム差によって順にスタート。10キロを走り、ゴール到着順がそのまま最終順位となる。

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