ビックエア女子・鬼塚冬季日本史上“最南端”表彰台へ 大技封印で5位通過

[ 2022年2月15日 05:30 ]

北京冬季五輪第11日・スノーボード女子ビックエア予選 ( 2022年2月14日    首鋼ビックエア競技場 )

演技をする鬼塚(AP)
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 男女予選が行われ、女子は日本勢出場全3人が上位で突破し、5日の決勝進出を決めた。大会前半に行われたスロープスタイル(SS)では予選落ちに涙した鬼塚雅(23=星野リゾート)は、計154・25点をマークし5位突破に笑顔。決勝で解禁予定の逆スタンスから斜め軸2回転に横回転を加えた大技「キャブダブルコーク1260」への手応えもつかみ、冬季五輪では最南端記録を更新する熊本出身者初のメダル獲得を目指す。男子は大塚健(たける、20=バートン)ら2人が予選を突破した。

 前日と打って変わって晴天に恵まれた北京で、鬼塚も笑顔の花を咲かせた。1回目に斜め軸2回転に横回転を加えたバックサイドダブルコーク1080で80・75点を出し、残る2回は余裕を持って70点台を連発。1番滑走の重圧もはね飛ばし、悠々予選突破を決め「とりあえず予選を通れて良かった。1番滑走が多いので、慣れていると言えば慣れていた」と声のトーンも明るかった。

 予選はあくまで予選。決勝は技のレベルもグンと上がった争いになるが、鬼塚も昨年2月の冬季Xゲームで女子で世界初成功したキャブダブルコーク1260を温存している。3回目には同じ動作で入る回転を1段階抑えた技に成功。“予行演習”もバッチリで「キャブダブル12のための3本目。明日は12に合わせたい」と手応えを得た様子だった。

 “勝負服”にもこだわった。日本の他の選手が着た赤い競技用ウエアではなく、前日練習でも着ていた黒色のウエアで本番にも臨んだ。動きやすさを重視したとみられ、「こっちの方がパサパサ音が聞こえない」とお気に入りの様子。関係者によれば日本選手団に提供されている他の公式ギアを流用しているといい、決勝での着用も支障はない見込みだ。

 雪はめったに降らない熊本県の出身。「暖かいところでも他県に行って(スノボに)挑戦したいと思ってくれる子供が出てくれれば」と競技者や愛好者が増えることを願う。SSは19位、BAは8位に沈み、「オリンピック、嫌いだなと思った」と涙した平昌から4年。最南端メダル記録を更新し、今度こそ笑って五輪を終える。

 ▽冬季五輪の最南端出身メダリスト 鬼塚は熊本市出身。日本オリンピック委員会(JOC)が発表している今大会の日本選手団名簿によれば、唯一の九州出身者。これまでの最南端出身メダリストは、92年アルベールビル大会ショートトラック男子5000メートルリレーで銅メダルを獲得した佐賀市出身の石原辰義。鬼塚がメダルを獲得すれば、記録を約70キロ、南に更新する。

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2022年2月15日のニュース