羽生 現役続行前向き「大好きなフィギュアスケートを大切にしながら極めていけたら」

[ 2022年2月15日 05:30 ]

会見をする羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 北京五輪フィギュアスケート男子4位で超大技クワッドアクセル(4回転半)を世界初認定させた羽生結弦(27=ANA)が14日、北京市内の「メイン・メディア・センター」で会見を行った。3度目の五輪を終えた率直な思いを明かし、現役続行に前向きな姿勢を見せた。4回転半の挑戦継続などは今後考えていくが、羽生にしかできない理想の滑りを追い求めていく。

 羽生には、新たな感情が芽生えていた。フリーの激闘から4日。「いろんなことを考えた」。夢の続きとして描いた4回転半挑戦の道のりや、その価値について。そして、この先の未来も。体を休めながら、静かに自問自答していた。

 フリーの演技後には競技活動継続については保留としていた。改めて問われると、羽生は言った。「どうなんでしょうかね。まだ自分の中でまとまってはないです」。4回転半を完璧に決める思いも、自らが選んだプログラムを完成させる思いもある。未知への探究心は尽きない。「これからも羽生結弦として、羽生結弦が大好きなフィギュアスケートを大切にしながら極めていけたらいいな」。偽らざる本音を明かし、現役続行へ前向きな姿勢を見せた。

 夢舞台はクセになる。「このオリンピックが最後かと言われたら、分からないです」。4回転半挑戦の先にあった最高峰のリンク。いざ立ってみると、どれだけ多くの人に支えられているかを知った。「やっぱオリンピックって特別。ケガしてても立ち上がって挑戦するべき舞台」。まだ次の五輪について全く知らないが「また滑ってみたい気持ちはある」とも言った。約2万通の手紙やメッセージも届き、「凄く幸せな気持ちになった。羽生結弦で良かったな」と実感を込めた。

 4回転半を世界初認定できたのも、この舞台だったから。フリー前日の9日に右足首を再び捻挫。医者に10日間は滑らないことを勧められた。痛み止めを服用し、演技直前の6分間練習前には注射も打った。「いろんな気持ちが渦巻いた結果としてアドレナリンが凄く出て、自分の中で最高のアクセルができた」。後悔はない。

 孤高の挑戦を駆り立て続けたのは、9歳の自分という。「あいつが跳べってずっと言ってたんですよ」。何千回も氷に叩きつけられても、自信の塊だった頃の自分が問いかける。「お前、下手くそだな」。さまざまな角度から検証し、助言を受け、難攻不落の壁に何とか手を掛けた。たどり着いたのは、あの頃の原点のフォーム。「最後に壁の上で手を伸ばしてたのは9歳の俺自身。最後にそいつと、そいつの手をとって一緒に登ったなっていう感触があった」。自らが誇れるアクセルを完成させた。

 五輪2連覇の称号が色あせることはない。3連覇はついえたが、「とても重かった」重圧が自らを高みへ連れて行ってくれた。「これからもフィギュアスケートで2連覇した人間として胸を張って、後ろ指をさされないように、明日の自分が今日を見た時に胸を張っていられるように、これからも過ごしていきたい」。羽生は全てを受け入れ、これからも進む。自らが信じる道を。

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2022年2月15日のニュース