練習苦痛で失踪騒ぎ、太りやすい「自分の体が嫌い」…村上の母・英子さんが明かす秘話

[ 2021年8月3日 05:30 ]

東京五輪第11日 体操女子種目別床運動 ( 2021年8月2日    有明体操競技場 )

3歳の時の村上(村上家提供)
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 女子の個人種目で初メダルとなった村上は、幼少時から高い運動能力を見せていた。保育園に通っていた時は「茉愛ちゃんはみんなが転ぶようなところでも絶対に転ばない」と保育士も驚くほど。母・英子さんは「高いところでも怖がらずに喜んで、飛び降りたりしていた」と明かす。

 村上は思春期に、女性アスリートにはつきものの体重管理に苦しんだ。英子さんは「ご飯を食べても太るし、水を飲んでも太るって言って。自分の体が嫌いって言っていた」と明かす。汗をかいて体重を絞るため、5時間も風呂から出てこなかったことがある。中学時代は練習が苦痛で失踪騒ぎを起こしたことも。「大捜索してマンションの陰で発見された。どうしようってパニックになった」と英子さんは振り返った。

 日体大で学年が上がるにつれ、練習すれば体重はきっちり減るようになり、中高時代ほど悩まされることはなくなった。実家に戻ると、甘いおやつを口に運ぶことも。かつて日記に「体操が嫌い」、「もう無理だよ」と書いた村上は日本の不動のエースとなり、リオに続く2度目の夢舞台を全力で舞った。

 実家には、過去の国内大会などのメダルや賞状が飾られているが、世界選手権の2つのメダルは村上が自分で保管しているという。「世界選手権のメダルは持ってきてくれない。見せてくれてもちょっとだけ。こっちはじっくり見たいのに」と英子さん。村上は念願の五輪メダルを持って、家族の元に帰る。「今までありがとう」の感謝を添えて。

 ≪日体大・瀬尾監督「完璧な出来」≫村上を指導する日体大の瀬尾監督は、会心の演技を終えた24歳を抱きしめた。普段は厳しく、ハグは床で金メダルを獲得した17年世界選手権以来。「完璧な出来だった。いろんなことがあって、よく耐えて頑張ってきた」と称えた。H難度「シリバス」などのアクロバチックな技だけでなく、ダンス系も高評価を得た。「表現を自分流に追求できる年齢になってきた」とメダル獲得の要因を説明した。

 ≪戦友・寺本に「喜んでもらえる演技できた≫村上は戦友の思いも背負っていた。長く日本代表をともにけん引してきた寺本は、昨年2月の左アキレス腱断裂の影響もあって東京五輪は補欠に。選手村に入る前には寺本から手紙をもらい、この日の試合前は村上から電話をかけた。「(寺本)明日香に喜んでもらえるような演技ができた」と村上が言えば、寺本は自身のツイッターに「まい本当にかっこよかった」などとつづった。

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