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こだわり旬の旅

【長崎&佐賀】JR九州「或る列車」念願かなって乗車、ラグジュアリー空間で満喫

[ 2020年2月14日 19:00 ]

千綿駅に停車する或る列車。ゴールド色主体の車体が大村湾に美しく映える
Photo By スポニチ

 15年(平27)8月に運行開始されて以来、大人気のJR九州スイーツトレイン「或る列車」。念願かなって長崎から佐世保に向かう長崎コースに乗ったが、「ななつ星in九州」にも引けを取らないラグジュアリーな空間で味わうスイーツや景観は豪華観光列車ならではのもの。3月からの運行コース沿線の佐賀県有田町などにも寄って、西九州の魅力を満喫した。

 ゴールドと黒を基調としたロイヤル風なデザインに「SWEET TRAIN」のゴージャスな文字。華麗に彩られた「或る列車」は、長崎駅3番ホームに2両編成の優雅な姿を見せていた。

 1906年(明39)、九州鉄道が米国の会社に発注したものの、国有化で活躍する機会がなかったため「或る…」の名が付いたという豪華客車がモデルで、鉄道模型の神様といわれた故・原信太郎氏が作成した模型を元に、「ななつ星」と同じ工業デザイナー・水戸岡鋭治氏がデザイン。100年の時を超えて蘇(よみがえ)る幻の列車に、テンションアゲアゲで乗り込んだ。

 列車名はそのまま残ったが、車両は大きく進化した。席を取った1号車は2人用、4人用のテーブル席。「仏ベルサイユ宮殿をイメージした」(水戸岡氏)そうで、車内は白漆喰(しっくい)の格(ごう)天井、メープル材の壁で演出され、明るくロマンチックな雰囲気だ。2号車は落ち着いた色とウォールナット(クルミ)材に囲まれた個室席になっており、仕切りには福岡県の伝統的な大川組子を使用。こちらは「神社仏閣をイメージした」(同)という。

 列車は午後3時37分に出発。30分ほどすると自慢のスイーツコースが女性乗務員の手で席まで運ばれてきた。演出するのは東京・南青山のオーナーシェフ・成澤由浩氏。木箱に鹿児島県首折れ鯖や佐賀県みつせ鶏など3種の料理が入った軽食弁当、鹿児島県沖田ポトフから始まり、熊本県やまえ栗などのスープ仕立てに佐賀県ミカンのカクテル、福岡県リンゴのキャラメル風味などのスイーツ4品まで、九州の素材にこだわった豪華ラインアップ。フリードリンクでワインも飲み放題というのもうれしい。

 車窓に流れる大村湾の風景も負けていない。途中、海が見える駅で知られる千綿(ちわた)駅で停車。ホームからは柵一つ遮るものがなく、マリンブルーの海はすぐ目の前。昭和の面影を残す木造駅舎には小さな千綿食堂もあり、時間があれば人気の日替わりカレー(税別1000円)を味わいたいところだ。

 佐世保駅には午後6時37分に到着したが、ラグジュアリーな車内、至高のスイーツ、途切れることのない絶景を楽しんで、アッという間の3時間。「或る列車」は、強烈な存在感の「ある列車」だった。

 ▽行かれる方へ 長崎駅には長崎空港からバスで約40分。「或る列車」は現在、長崎コースと大分コースを定期的に交互に運行。3月14日~5月6日はハウステンボス―博多コース、5月15日~6月29日は佐賀―長崎―佐世保コースが新たに運行される。料金は1人2万6000円(税込み)から。問い合わせは或る列車ツアーデスク=(電)092(289)1537。 

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