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こだわり旬の旅

【北陸】酒巡りの旅、まずはワインから…世界も認めた至極の味わい 「地元に恩返し」の情熱から生まれた

[ 2023年12月2日 15:00 ]

金賞受賞の「アロマシャルドネ…」(右)など受賞ワインを前に、笑顔を見せる中山安治社長
Photo By スポニチ

 来年3月16日に迫った北陸新幹線金沢~敦賀駅間開業。福井、石川、富山の北陸3県に注目が集まるが、北陸は水、米、技などに恵まれた日本有数の酒どころ。左党にはうれしく、これからはもってこいのシーズン。金賞受賞のワイン、UFOゆかりの日本酒、そば粉が原料のビールと話題の醸造酒もいろいろあり、“北陸酒巡りの旅”へ出かけた。

 ワインといえば山梨県、長野県が思い浮かぶが、富山県南砺(なんと)市立野原に両県に負けないワイナリーがあった。JR城端(じょうはな)線城端駅からタクシーで約10分の「ドメーヌ・ボー」(仏語で美しいワイナリーという意味)。18年に会社トレボーを設立して5年、20年にワイン醸造を開始してわずか3年の今年、国産ぶどう100%使用の「日本ワイン」対象の日本ワインコンクールで、初出品した白の「アロマシャルドネ2022」が金賞、赤の「ドメーヌボー ルージュ2021」が銅賞を受賞したのだ。

 それだけではない。世界最大級のワインコンクール「IWC2023」では「アロマ…」が銀賞、アジアで日本ワインの認知を高めるためのコンクール「香港和酒アワード」では「ドメーヌボー…」が最高のプラチナ賞を受賞するなど、“ワイン界の大谷”といった活躍ぶりだ。

 MVP級ワインを味わおうと15ヘクタール(東京ドーム3個分)の広大なぶどう畑に建つ醸造棟を訪ねると、「真摯な気持ちと情熱でワイン造りをしたことが評価された」と笑顔で迎えてくれたのが中山安治社長(73)。これまでに40年以上、酒店を経営。約25年前、「しびれるようにうまい」豪州ワインに出会い、ワインに心酔。以来、ヨーロッパを訪ねてワインを買い付け販売してきたが、ガンになったことで一念発起。「残された人生で地元に恩返ししようとワイナリーを始めた」という。

 まずは富山県の酒蔵で10年間杜氏を務めていた男性を採用し、醸造機器などの設備に1億円強を出費。ぶどうは減農薬法で栽培し、元ラガーマンという中山さんの「誰にも負けない情熱」でワインを造り上げた。試飲すると、金賞の「アロマシャルドネ…」は深みがある一方でフルーティー。銅賞の「ドメーヌーボー…」は滑らかでのど越しが抜群。「女房のように死ぬまでそばに置きたいワインを造りたい」という中山さんの思いが込められたような味わいだ。

 至極のワインには極上の味をと、県漁業の中心の新湊漁港がある射水市の寿司店「清寿司」で富山湾鮨を味わった。「天然の生け簀」と称される富山湾で捕れる地魚をネタにした寿司で、シロエビ、ベニズワイガニ、バイ貝、マヨイガツオ、甘海老など10貫。すべて新鮮かつ肉厚でとてもおいしい。寿司に合うという、香港和酒アワードシルバー賞受賞の「立野原シャルドネ」が置いてないのが残念だった。

 ▽行かれる方へ ドメーヌ・ボーではワイナリー見学ツアー(500円、要予約)を実施中。受賞ワインは3000~5000円。清寿司は路面電車万葉線庄川口駅から徒歩9分。問い合わせはドメーヌ・ボー=(電)0763(77)4639、清寿司=(電)0766(84)0151。 

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