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こだわり旬の旅

【長野・岡谷&駒ヶ根】織物トンネルに感動、巨大カイコにびっくり…信州シルク回廊を歩く

[ 2023年5月4日 15:00 ]

駒ヶ根シルクミュージアムの入り口の織物のトンネル。その美しさは圧巻だ
Photo By スポニチ

 「信州シルク回廊」――中国と欧州を結ぶ「シルクロード」を連想させる名前に引かれ、“回廊”のある長野県に出かけた。「蚕糸王国」として君臨した同県のシルク産業・文化を観光に結びつけようと信州シルクロード連携協議会が展開している事業で、回廊沿いには博物館や神社、温泉などが点在。製糸業の中心地だった岡谷市や駒ヶ根市など“日本版シルクロード”を歩いた。

 東西約70キロ、南北約130キロにわたり、15市町村が参加する信州シルク回廊。中心となるのが、明治から昭和初期にかけ、世界一の生糸生産量を誇った日本のトップの長野県でNo.・1だった岡谷市だ。世界一の糸の都として「糸都(しと)岡谷」と呼ばれたほどで、まずは長野道岡谷ICから車で約5分の「岡谷蚕糸博物館」(愛称・シルクファクトおかや、入館料510円)を訪ねた。

 昭和23年に建てられた農林省岡谷製糸試験所の実験棟をイメージしたノコギリ屋根のユニークな外観。館内では世界遺産の富岡製糸場で使われ唯一現存するフランス式操糸機や、国産の諏訪式操糸機など日本を世界一の生糸生産国にした製糸機械、絹製品、資料約3万点を展示。近くから移転した宮坂製糸所もあり、製糸の仕事が昔から手作業で行われているのを間近で見られるのだ。うれしかったのは「カイコふれあいルーム」で、実物のカイコが育つ様子や繭づくりを観察できたこと。桑の葉の上で時折もそもそと動く姿は、意外やかわいかった。

 だが、同博物館から車で約50分の、駒ヶ根市にある「駒ヶ根シルクミュージアム」(同300円)では、カイコが巨大でビックリ。実はこれ、カイコの体の仕組みが分かるように特製樹脂で作られ展示された精密模型で、高さ約2・4メートルと実物の約30倍の大きさ。まるで映画「モスラ」の幼虫に出くわしたようだ。

 こちらのミュージアムは、南信地区東部の養蚕業を発展させた組合製糸「龍水社」の名残をとどめる施設で、自動操糸機や生糸検査機器などを中心に蚕具類、機織り道具などを展示。カイコが見られるのは6~10月というが、入り口で“映えスポット”を発見。信州紬や小千谷縮など、絹が素材の日本の織物の反物16種を天井から壁に順繰りに掲げた織物のトンネルになっており、同じ数の異なる色が続くサマは圧巻の美しさだ。

 シルクに触れて気持ちが和んだ体を優しく包んでくれたのが、同ミュージアムから車で約50分の「たつのパークホテル」(辰野町)の天然温泉露天風呂(日帰り600円)。無色透明のナトリウム炭酸水素塩泉で、眼下に広がる池「たつの海」を見ながら浴槽に身を沈めると、肌がすべすべに。“美人の湯”といわれるユエンだが、まろやかさ、柔らかさは“シルクの湯”といってもいいほど。温泉が繭のように感じられ、カイコにでもなった気分だった。

 ▽行かれる方へ 回廊事業は国土計画協会の「高速道路利用・観光・地域連携推進プラン」に採択されたもので、車移動を推奨。明治期から使われていた生糸商標のカード28種を製作し県内30施設で無料配布中。問い合わせは岡谷蚕糸博物館=(電)0266(23)3489、たつのパークホテル=(電)同(41)2001、駒ヶ根シルクミュージアム=(電)0265(82)8381。パークホテルは1泊2食税込み1万1000円から、ミュージアムにはバイキングレストラン「菜々ちゃん」も。

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