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こだわり旬の旅

【秋田】日本酒とどう違う?美酒王国のニューウエーブ「クラフトサケ」を飲み比べ

[ 2024年2月4日 16:00 ]

試飲したクラフトサケ。ボトルもオシャレだ
Photo By スポニチ

 なまはげや竿燈まつりなどで知られる秋田県に、新ウエーブが起きている。日本酒ではない酒「クラフトサケ」と、30年ぶりに復活した「あきた舞妓・芸者」で、ともに新たな観光資源としての期待は十分。折しも同県では、JR東日本秋田支社が今年末からの大型観光キャンペーンに向けたトライアル施策を実施中。新旧入り交じった“気になる秋田”を訪ねた。

 全国有数の米どころで“美酒王国”といわれる秋田に生まれたクラフトサケ。地ビールをクラフトビールと呼ぶことから地酒かと思いきや、男鹿市の醸造所「稲とアガベ」にあるカフェ&レストラン「土と風」を訪れると、女子店員に首を振られた。「日本酒の製造技術をベースに副原料を入れて発酵させ、日本酒にない味わいを目指した新ジャンルの酒なんです」

 JR男鹿線男鹿駅から徒歩5分の旧男鹿駅の駅舎をリノベーションした、オシャレな店内。早速、3種の飲み比べセット(500円)を試飲したが、テキーラの原料というアガベのシロップを入れた醸造所と同名の「稲とアガベ」はさわやかでフルーティー。「稲とブドウ」は甘味と酸味がほどよく混じった飲み口で、「どぶろく酵母無添加水もと」はクリーミーで滑らかな口当たり。アルコール度数は14%で、日本酒というよりカクテルのような感じだ。

 現在、日本では日本酒の製造免許の新規発行が認められていないが、20年4月の法律改正で「その他の醸造酒」という条件付きで免許が発行されるようになったことから、翌21年秋に醸造所が創業。レストランの隣に事務所、その隣に2000リットルタンクが4本並んだ現代的な酒蔵を構え、年間約10種類のサケを製造しているという。

 現在、クラフトサケの醸造所は全国に7カ所あり、22年6月にはクラフトサケブリュワリー協会を設立。「…アガベ」のサケも北海道から沖縄までの居酒屋などで飲めるようになった。代表の岡住修兵さんはHPで「私は福岡県出身。秋田の酒造会社で働くため移住して以来、多くの人に支えられてきた。起業したのは恩を返すため」とコメント。クラフトサケはまさに“恩返しのサケ”で、体が温まったのはアルコール度数のせいだけではなかった。

 クラフトサケを味わったら無性に日本酒が恋しくなり、羽越本線羽後牛島駅から徒歩約30分の、秋田市の秋田酒類酒造へ。1944年(昭和19)、江戸から昭和までの12の酒造家が合併した酒蔵で、こちらはビルながらレトロな雰囲気。係員の案内で4蔵あるうち小さな手作り蔵「仙人蔵」を見学した後、名前が公募で選ばれたという代表銘柄「高清水」を試飲(無料)。純米大吟醸、純米酒など4種類だが、甘口、辛口の違いこそあれ、いずれもまろやかで濃厚な味わい。クラフトサケとともにキャンペーンの核となりそうだ。

 ▽行かれる方へ 車は秋田道昭和男鹿半島ICから約30分。クラフトサケは720ミリリットル税別3000円。高清水は同1300円ほどから。問い合わせは稲とアガベ=(電)0185(47)7222、秋田酒類酒造=(電)018(864)7331。

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