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こだわり旬の旅

【北海道・旭川&夕張】動物が人を見ているんです――旭山動物園 人気の秘密は自然体

[ 2019年3月1日 15:00 ]

旭山動物園の1番人気、ペンギンの散歩。とにかくかわいいんです!
Photo By スポニチ

 パンダでにぎわう東京・上野動物園だが、動物の行動や生活を見せることで人気なのが北海道旭川市の「旭山動物園」。アザラシのマリンウェイ(円柱水槽)の泳ぎ、ホッキョクグマのもぐもぐタイムなどの「行動展示」は日本中の動物園に影響を与えており、ペンギンの散歩もその一つ。特に冬季しか見られないもので、「一見の価値あり」と聞いて北の大地に向かった。

 「ウァー、かわいい!」「こっち向いて〜」。旭山動物園の南側にあるぺんぎん館。その前から「ペンギンの散歩」がスタートすると、通路に群がった入園客から歓声が飛び、スマホやカメラのシャッター音が響く。

 主役は約20羽のキングペンギン。往復500メートルを約30分かけて歩くのだが、飼育員の後をついてヨチヨチ歩きながら入園客に目線をくれたり、立ち止まって珍しそうに見つめたり。中にはルートを外れたり、飼育員にちょっかいを出すのもいて、かわいくほほえましい。冬のペンギンの運動不足解消を目的に、キングペンギンが集団で海に餌を捕りに行く習性を見てもらおうと始めたそうで、姿形ではなく行動や生活習慣を見せることが人気を呼んでいる。

 旭山動物園が「行動展示」を導入したのは、来場者が落ち込み閉園の危機に陥ったためで、97年(平9)に正門近くに完成した「ととりの村」が第1号。樹木が生い茂る施設全体を網で囲み、水鳥たちが自由に飛び回れるようになっているのが注目され、入場者数はV字回復。04年、アザラシがマリンウェイの中を上下に泳ぐ姿が見られる「あざらし館」が登場して、人気は確固たるものに。上野動物園を抜いて月間入場者数日本一を記録したこともあるほどだ。

 見逃せないのが食事時間の「もぐもぐタイム」。日本のカーリング女子チームで話題になった言葉の“本家”ともいえ、毎朝動物ごとに時間が発表される。この日は時間が合わず見ることができなかったが、ホッキョクグマが水槽の中にまかれた餌の魚を泳ぎながら食べる姿は大人気という。

 一方、かば館では深さ約3メートルの水槽の中をカバが鼻を出すのでなく潜ったまま泳ぐ珍しい姿を真下から眺められ、感動もの。同館には自然界でカバと同じ環境で生息しているダチョウなどが過ごしており、隣のきりん舎にもアミメキリンとともに同じ環境で暮らすペリカンなどが生活。生息地域が同じ動物を一緒のスペースで飼育展示する「共生展示」も旭山動物園の展示手法だ。

 「100種600匹の動物がいるんですが、すべて自然体で暮らしているのが特徴。だから人間に見られているのでなく、動物が人間を見ているんですね」と板東元園長。人気の理由が分かるような気がした。

 ▽行かれる方へ 旭川空港からバス約40分。入園料820円。冬期開園は4月7日まで、ペンギンの散歩は3月末まで。JR北海道では札幌発の電車などと入園券がセットの旭山動物園きっぷ(6130円)などのお得な切符を発売中。問い合わせは旭山動物園=(電)0166(36)1104、JR北海道電話案内センター=(電)011(222)7111。

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