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こだわり旬の旅

【秋田】言うこど聞がね子はいねが〜「男鹿真山伝承館」でリアルなナマハゲとご対面

[ 2018年11月1日 15:00 ]

家に上がり込み、主人と酒盛りするナマハゲ
Photo By スポニチ

 フィギュアスケート・ザギトワ(ロシア)の秋田犬や高校野球・金足農で話題の秋田県。JR東日本などと協力して大型観光キャンペーンを展開中だが、人気は男鹿地方のナマハゲ。大みそかの夜に行われる民俗行事だ。国の重要無形民俗文化財指定に続き、今年12月にはユネスコ無形文化遺産に登録予定。“世界のナマハゲ”を現地に出掛け、一足お先に拝見――。

 古来、怠け心を戒め、無病息災、五穀豊穣をもたらす神の使い(来訪神)として大みそかの夜、男鹿の家々に現れるナマハゲ。その様子が間近で見られるというので、環境保全技術の「エコステ」モデル駅として新しくなったJR男鹿線男鹿駅からバスで約15分の「男鹿真山(しんざん)伝承館」を訪ねた。

 男鹿地方の典型的な曲家(まがりや)民家を移設した伝承館。習俗学習講座として開催しているナマハゲ行事の実演を見学したが、鬼のようなお面をかぶり、蓑(みの)をまとったナマハゲ2体が「ウオー」と奇声を上げてシコを踏んだり、居間に上がり込み「親の言うこど聞がね子はいねが〜」などと叫びながら家中を探し回るサマはインパクト十分。家の主人と酒盛りした後、また奇声を上げながら「子どらのしづけ(躾)がりっと(ちゃんと)しろよ」などと言って出て行くまで約20分。ガチにリアルで、まるで大みそかの夜の地元民家にいるようだ。

 ナマハゲとは、囲炉裏に長くあたっていると手足にできる火型を「ナモミ」と呼び、怠け心を戒めるための「ナモミ剥(は)ぎ」がなまったもの。江戸後期の1822年(文政5)、旅行家の菅江真澄が記した「遊覧紀」の中に「ナモミハギ」という言葉が初めて出たとされるが、なぜ男鹿に生まれ、受け継がれてきたのか、謎は多い。

 そんな歴史のミステリーとナマハゲのすべてにふれられるのが、隣接する「なまはげ館」だ。男鹿産出の寒風石による石積み造りの外壁と、秋田杉をふんだんに使った内装が雰囲気を感じさせる館内には、男鹿各地で実際に使用されていた150枚もの個性豊かなナマハゲ面が勢ぞろい。圧巻の迫力だ。

 迫力といえば、男鹿駅からのりあいタクシーで約25分の男鹿温泉交流会館五風(ごふう)で午後8時半から行われる「なまはげ太鼓ライブ」も負けていない。男鹿のナマハゲと日本古来の和太鼓を融合させた郷土芸能で、地元の若者たちが結成した和太鼓団体「恩荷(おんが)」のメンバーがナマハゲ面をかぶるなどして打ちつける太鼓の音は、まさに鬼気迫るほど。終了後、興奮度マックスの体を、宿をとった「結いの宿 別邸つばき」のお湯(ナトリウム塩化物泉)がやさしく癒やしてくれた。

 ▽行かれる方へ 車は秋田道昭和・男鹿半島ICから約45キロ。入館料は伝承館税別700円、なまはげ館同500円(共通入館料同800円)。太鼓ライブ入場料同500円(11月30日まで)。キャンペーンは11月末まで。問い合わせは伝承館=(電)0185(33)3033、なまはげ館=(電)同(22)5050、五風=(電)同(33)3191。

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