G1周年記念競走展望

【G1戸田プリムローズ】地元最強軍団・戸田十勇士いざ見参!

[ 2016年3月2日 05:30 ]

地元周年タイトルへ燃える埼玉支部長の須藤博倫
Photo By スポニチ

 ボートレース戸田のG1「戸田プリムローズ開設59周年記念」はあす3日、開幕する。昨年のMVP・山崎智也(41=群馬)、王者・松井繁(46)ら強力大阪勢を迎え撃つのは、地元の“埼玉十勇士”。頼れる支部長・須藤博倫(38)、中田竜太(27)の師弟コンビや若きエースの桐生順平(29)らがタイトル防衛への強い意気込みを示した。

 ◆須藤 今度も俺が獲る
 ~地元周年タイトルへ燃える支部長~
 埼玉支部長が地元周年制覇に燃えている。須藤博倫(38)は、昨年2月の関東地区選で戸田G1初V。「結果が出なかった時も応援してくれた人に、少しは恩返しできたかな」。当時は感慨深げに語った。だが、あの優勝から1年が経過。現在は、さらなる高みを目指している。「地区選の次は、やはり戸田の周年記念を優勝したい。インでも簡単に勝てない戸田だからこそ、予選トップ、準優1着、そして優勝戦に1号艇で乗って勝ちたい」。狙うは最も価値が高い王道Vだ。

 当地では15年8月から4節連続で優出。地区選以降も結果を残し続けている。「一時期は優勝戦に乗れないことも続いたが、最近は良く仕上がる雰囲気が出てきた。もらった時よりもエンジンを良くして帰ることができている」と地元の調整に手応えをつかむ。

 ただ、14年は7節でわずか1優出。スランプに陥った。「戸田では何度も悔しい思いを経験してきた。ここの難しさは痛感している。でも悔しさがあるから次はという気持ちが沸いてくる」。挫折を味わったからこそ、いまの須藤があるのだ。

 最近のリズムは申し分なし。1月に出場した戸田一般戦2節は共に準優勝。2節前の関東地区選(多摩川)では予選4位と活躍した。直前の住之江周年でも優出4着。調子は確実に上昇カーブを描いている。埼玉支部をまとめる男が、地元周年タイトルを貪欲に獲りにいく。

 ◆中田 今度は俺が獲る
 ~長男誕生 父の自覚「頑張らないと」~
 「G1優勝したい!」。貪欲にタイトル奪取を掲げるのは彩の国のドラゴン、中田だ。昨年は5Vと稼いだが、現時点でSGクラシック(16~21日、平和島)の選出順位は予備。「(グランプリの)18人はまだ遠いが、記念で勝ってチャレンジカップに行けるように頑張らないと」と意気込んだ。

 頑張る理由は一つ。妻で選手の浜田亜理沙と昨年11月に誕生した長男の瑛仁(えいと)くんの存在だ。仕事の合間はすっかりイクメンになったと明かし、「奥さんにはゆっくりしてもらっていいと思っている。一馬力で頑張らないと」と一家の大黒柱としての自覚をのぞかせる。「目指しているのはいいスタートを行ける選手。勝負どころで頑張りたい。ただ、休みたくはない」。スタートを張り込めば当然、事故のリスクは避けられないが、そのジレンマを克服してSGにふさわしい選手に登り詰める。

 勝率7点レーサーとして記念ロードをまい進する。2月は多摩川地区選手権、住之江周年記念と準優勝戦進出。一時封印したSGカッパが似合う選手になってきた。ドカンと一発、そろそろ爆発の予感を漂わせる。「好き」という地元水面は2度のオール埼玉制覇を含めて優勝3回。正月のスポニチ杯は桐生や須藤を抑えて王道Vを飾った。“昇竜伝説”の幕開けはすぐそこまで来ている。

 ◆黒井 地元出身闘志
 ~エンジン出しに自信~
 SG覇者22人。超強力メンバーがそろっても、黒井達矢(27)が気後れすることはない。「僕は戸田で生まれて、戸田で育った。やはり他のレース場とは違う。相手は凄い人たちだが優勝するつもりで行く」と言い放つ。

 その証拠に最近の成績は振るわないが、戸田に限れば連続優出中。「正月は良くないエンジンだったが、整備士さんと相談して何とか優勝戦に乗れた。収穫はあったし自信にもつながった」と手応えを得ている。ここは誰が相手でも譲れない舞台。近況を覆す走りで、地元の牙城を守り抜く。

 ◆桐生 関東王者気合
 ~「日進月歩」王道歩む~
 G1ヤングダービー、SGクラシック…。「日進月歩」の言葉通り、着々と埼玉の、関東のエースの道を歩んできたのが桐生だ。G1復帰戦となった2月の関東地区選では、優勝戦でタッチスタートを決めてまくり差し一閃。関東チャンプを襲名した。初出走、初1着、初優出、初優勝、G1初優勝と全てホームプールで達成。「戸田でデビューしてずっと練習しているので、ここに対する思いは強い」と自然と気合が入る。次は初の周年記念のタイトルに照準を定める。

 ◆佐藤 鋭発まくりだ
 ~“大物食い”は任せろ~
 「戸田は全部まくる気持ちでいく」と気合をみなぎらせるのは、若き速攻派の佐藤翼(27)だ。前回大会は初戦転覆と空回り。A1級に定着したものの、ここら辺でもう一皮むけたいところだ。「(地元G1は)楽しみですが、考えすぎると不安になるので準備していきたい」とプロペラのイメージや体幹トレーニングに余念がない。通算優勝6回だが、地元水面は過去8回優出して0V。「早く優勝したいし、それがG1なら最高。まずは準優に乗りたい」と鋭発から大物食いを狙う。

 ◆平石 復活のノロシ
 ~優出でSG戦線復帰~
 戸田周年で流れを変えようとしているのが平石和男(49)だ。今年は5節に出場して優出ゼロ。ここ4節は全て予選落ちを喫している。「最近はどこのレース場に行っても良くない。気持ちに余裕がないからレースが消極的になっている」とメンタルを原因に挙げた。

 ただ、記念11Vの猛者がこのまま衰退していくわけにはいかない。「SG戦線に戻るためにも優出したい。戸田の調整はこんな感じかな、というのは正月で分かった」。走り慣れた水面で復活の糸口をつかみ、地元ファンの声援に応える。

 ◆飯島 一走入魂貫く
 ~好印象で決戦舞台へ~
 好調キープのまま飯島昌弘(42)が地元周年に乗り込む。今年に入ってから出場した4節で2優出。関東地区選は優出こそ逃したが、予選6位で準優に駒を進めた。「F持ちの割に(来期勝率)7点台を残せているし、リズムはいい方だと思う。この冬はペラでまあまあ対応できていた。いいエンジンを引けたのもあるが、1月の戸田も仕上がりは良かった」。好印象を持って決戦の舞台に臨めるのも大きい。「まずは準優。目の前のレースに集中していく」と一走入魂の姿勢で挑む。

 ◆石塚 久々晴れ舞台
 ~当地水面光る安定感~
 48周年記念以来の地元G1参戦となる石塚久也(34)。「久々に行って勝てるほど甘いところではない。まずは無事に終わりたい」。11年ぶりの舞台となるだけに、無欲のスタンスを貫く。

 それでも、当地は昨年末の一般戦で準V。途中帰郷したシリーズを除けば、13年11月から8節連続で予選を通過中だ。戸田水面での安定感は目を見張るものがある。「減量して見た目だけは整えておく。いいエンジンを引けるように神社にも行っておこうかな」と準備にも余念はない。久々でも軽視は禁物だ。

 ◆秋元 リズム最高潮
 ~飛躍へ飽くなき挑戦~
 秋元哲(27)が2度目の地元G1に最高のリズムで挑む。年末にF休みが明けてから、前節の大村まで6節で5優出2V。全て一般戦だったが、近況の勢いは何かやってくれそうな気配だ。

 しかし、秋元が一般戦で満足することはない。「僕はまだヘタ。学ばないといけないことがたくさん残っている。記念に行けば得られることは多いはず。地区選に出られなかった分も戸田周年で頑張りたい。一走一走を大切にして走る」。さらなる飛躍に向け、秋元のあくなき挑戦は続く。

 ◆中沢 驚異の回復力
 ~ケガ復帰 いきなり蒲郡一般戦V~
 中沢和志(39)は今年2節目の平和島一般戦で顎を負傷。今大会欠場の可能性もあった。だが、先月23日の蒲郡一般戦で復帰。それも2日目後半戦から6連勝で優勝。驚異の回復力とともに、SG覇者の底力を見せつけた。05年の関東地区選、一昨年の開設57周年と戸田G1は過去2V。水面実績も申し分ない。土壇場からはい上がってきた根性の走りに注目だ。

 【強力遠征陣】
 ~今村、茅原、中島、井口、吉川…SGレーサー大挙参戦~
 地元埼玉支部勢を包囲する遠征陣も豪華な顔ぶれ。まずは、昨年SG3Vで最優秀選手に輝いたの山崎智也。当地実績も申し分なく、シリーズをけん引する存在として常に注目を集めるはずだ。

 松井繁、田中信一郎、太田和美、石野貴之の大阪支部4強がスクラムを組んで戸田水面を席巻する可能性は非常に高い。今年に入っても記念戦線で輝きを放っている面々。鋭い決め手を発揮して優出を見据える。

 今年こそ待望のSG初優勝を成し遂げたい峰竜太もV候補の中心グループだし、グランプリV経験がある茅原悠紀、中島孝平、吉川元浩、井口佳典も軽視できない。

 数々の伝説を築き上げてきた今村豊が熟練さばきを披露すれば、コースを問わない柔軟な立ち回りが持ち味の平本真之も争覇圏内。さらに、前回大会(14年11月)の覇者である丸岡正典はプリムローズ連覇を目指す。

 7月のSGオーシャンC(鳴門)へ出場権を持っていない地元エースの田村隆信も注目を浴びそう。何が何でも優出を果たしてポイントを上積みしたい状況だ。

 【戸田の水面傾向】
 ~イン受難!4カドの威力抜群!!~
 ほぼ東西に長いコースで1Mが東側、2マークが西側に位置する。1Mを結ぶスタンドから対岸までが107・5メートルと、全国一狭い独特のレイアウトで知られる。水質は淡水。全国屈指のイン受難水面と呼ばれるのは、ターンマークを10メートル以上も内側に振っているから。1コースは起こしから右斜め前方に進む軌道を強いられ、かなりスタートを張り込まないと逃げられない。一方、カド4コースの威力は抜群だ。さらに、道中でも他場とは異なるターンのタイミングが求められる。

 【戸田のエンジン】
 ~2連対率50%超え「21」「54」注目~
 現行のエンジンは昨年7月3日から使用、約8カ月が経過した。機によっては20節以上も登場しており、相場はかなり固まっている印象だ。2連対率が50%を超えている機は、正月開催で桐生順平が優出3着の「21」と、3節前に大須賀友がVを飾っている「54」で、この2機が注目を集めそう。「30」は近況こそ乗り手に恵まれていないが存在感十分。5節前に須藤博倫が優出2着の「40」、7節前に川村正輝がVの「37」も実績上位。「16」「41」「45」「57」なども活躍しそう。

 【ドリーム戦展望】
 ◆初日12R ウィンビードリーム
 ~昨年MVP山崎人気の軸~
 昨年MVPの山崎が1枠に座れば人気の軸となるのは確実だ。対抗は2枠の松井。主力両者を脅かすのは地元で燃える須藤か、4カドを生かす井口か。平石と太田は井口が強引に攻める展開なら上位争いに加わってくる。

 ◆2日目12R ウィンクドリーム
 ~エース桐生負けられない~
 地元エースの桐生が1枠で負けられない一戦となる。2枠の峰と3枠の茅原が強敵となりそうで、桐生はインから「まくらせず差させず」のターンが要求される。波乱なら4カド石野。気迫あふれる攻め込みに警戒。

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