G1周年記念競走展望

【大村G1 海の王者決定戦】下條 地元で待望タイトル奪取狙う

[ 2017年10月1日 05:30 ]

下條雄太郎
Photo By スポニチ

 ボートレース大村のG1「開設65周年記念・海の王者決定戦」が2日、いよいよ開幕を迎える。大村と言えば“イン天国”。今年は9月20日までのイン1着率は62%を誇る。ただし、そこが高配ゲットへの糸口。インが飛べば当然配当面も跳ね上がるのだ。そこで本紙は、各選手の大村限定コース別成績をピックアップ。巧者を狙って高配をせしめてもらいましょうか。大村と言えば下條雄太郎に熱視線が注がれる。初タイトルへの心境をうかがった。

 壱岐の星・下條雄太郎が今回、一気に一流への階段を駆け上がるか。豪快なレース運びでファンを魅了し続ける男。待望のG1、SGタイトル奪取は時間の問題だ。育ってきた大村で栄冠をつかむなら、それに越したことはない。

 「大村で獲れたら一番いいかなと思っています。ただ、気合を入れたらベストパフォーマンスができない。今まで失敗してきました。自然体で行きたいです」

 今大会で4年連続4回目の出場となる。昨年は、優出3着。惜しくも頂点には届かなかった。注目したいのは“海の王者決定戦”での平均スタートタイミング。元来スタート力には、定評はあるが、14年はコンマ09。15年はコンマ12。16年はコンマ10とスタートのキレは抜群だった。今回も快ショット連発は必至だ。

 「スタートにこだわってるわけではないです。いい感じで集中できているんでしょうね。1Mで勝負できるようにしようってくらいで、抜け出してやろうとかの気持ちはない。入ってると思えば行きますけどね」

 メンタル面の心配もない。誰しもが生きて行く上で浮き沈みはあるが、沈んだ時をいかにコントロールできるか。それが成長へとつながってくる。

「リズムとかは気にしてないです。毎節ごとにエンジンの力を引き出してやれるかどうかですね。なぜ良かったのか、悪かったのかを考えます。節ごとで、しっかり切り替えるようにしています」

今年6月、鳴門グラチャンの準優勝戦が印象深かった。3番手を航走していたが、3周2Mでのド肝を抜く旋回で茅原悠紀を逆転。2着で優出切符をもぎ取ったシーンには恐れ入った。

 「魅力あるレースをしたいなとは思ってます。結果も大事ですけど、最近はプロセスも大事にしてます。それが結局、結果につながってくるのかな…と」

 9月の住之江周年では、ドリームにも選出された。多くの人に認められつつある。今節も2日目のカステラドリームに選出。力あるレースを展開すれば、おのずから優勝という最高の結果につながってくる。

◎各選手の大村限定コース別成績

 【イン任せんしゃい】10打数10安打、まさに大村での打率10割男がいた。芝田浩治。まさに大村でのイン戦では“コウジ100%”。規定打席不足メンバーでは8戦8勝の石田政吾、4戦4勝の笠原亮だった。

 芝田はオールラウンダーのイメージが強いが、とにかくイン戦では、信頼が厚いことが判明した。インなら即、買い。あとは相手探しが焦点だ。

 2位にランクインしたのは19戦17勝の川上剛。“芦屋ん大将”のイメージが強いが、大村でも確実に仕事をしてくれる。3位は上野真之介。SG覇者・峰竜太の師匠でもある豪快な攻めが魅力の男は23戦20勝。出走回数も多いだけに実はかなり安心できる。

関東エリアからは、ひょうひょうと走るタイプの中沢和志が4位にランクインした。埼玉・戸田から最南端のレース場に来る回数こそ少ないが、15戦13勝。まずSで後手を踏みそうにない。5位は中・四国地区からの使者・市橋卓士だった。14戦12勝。イン最強水面での、イン戦での安定感は比較的伏兵の強さが目立った。5人が1枠時は手堅く勝負だ。

 【2コースならば】4月から愛知支部から長崎支部に移籍した原田幸哉がトップに立つ。「大村は大好き」と公言しており、コース不問だが26戦14勝。鋭角ハンドルでの2連率80・7%は、かなり信頼が置ける。

 原田に続くのが大村と同じ児島水面で育った妹尾忠幸。16戦8勝の野球で言う“打率5割”はなかなかのもの。そつなく絡んでくるタイプなだけに外せない存在となる。辻栄蔵、吉川元浩が戦績互角で3位タイ。特に辻はシャープ差しの印象が強い。5位はベテラン服部幸男。2コース実績は少し意外だった。

 【3コース戦に期待】ランクトップは、今年SG覇者の仲間入りを果たした峰竜太だった。10戦6勝、1着率は60%。3コース戦は、2コース選手の動きを見ながらの捲り差し、迷わず行くツケマイ策があるが、峰は大胆な捲り差しで確実に絡んでくる。大村ではインが逃げた場合に3コースが絡みやすいと言われている。峰なら安心感がある。あとは原田幸哉、坪井康晴、吉川元浩が続くが意外性だと片岡雅裕。Sの思い切りは、もともと定評がある。片岡のセンター強攻に期待してみる手もありだ。

 【4コースから急浮上】青のカポックと言えば桐生順平が真っ先に思い浮かぶ。デビュー以降、タイトルは4枠、または4コースから奪った実績が多い。11戦6勝。スリットのぞけば捲る、同体ならば捲り差しで急浮上。さらに桐生には全速ターンでの道中逆転という選択肢もある。2位の妹尾忠幸は2部門目のランクイン。大村での信頼度は厚くなる一方か。3位の新田泰章はインでも好実績を残していた。“インとカドの新田”。伏兵扱いとはなるが、穴党は覚えておいて損はない。4コース以降の出走回数が減ってくる中、原田と前田も好実績だった。

 【5、6コース部門】SG、G1覇者は大村を走る回数も限られる上に外コースの出走回数も、やはり少ない。数値化しても差は出なかった。ただ、当然、地元長崎勢が多く走っている。5コースでの勝率トップは9戦3勝の中村亮太。2連率44・4%もトップだった。6コース戦は、1着回数を紹介する。大外から2度勝ったことがあるのは3人いた。吉田拡郎、赤坂俊輔、榎幸司の両長崎勢だった。地元勢の外枠戦、“カクロー”の6コース戦は、期待してみる手もありだ。

 【下條のコース別成績】今紙面でイチ推しする“地元の雄”こと下條は大村でどうなのか。信頼を置けるのが、やはりイン戦だった。1着率は81・8%で(77戦63勝、2連対90・9%)。77走は選手中最多の出走回数だった。次が36戦11勝の2コース戦で2連率61・2%。そして3、4、5、6とコース順の勝率だった。5、6コース時の2着回数「9」「8」と、他の地元勢に比べて多いのも特徴。特に大村では、コース不問で下條は、狙える。

【総展望】初日、2日目とWドリーム戦が組まれた。初日の発祥地ドリームには地元の原田幸哉が登場する。今年の4月1日付けで愛知支部から長崎支部へと電撃移籍し、移籍直後のG1ダイヤモンドCでは優勝。獲得賞金(9月24日現在)は9位につけている。「グランプリ優勝」を目標にやっている1年だけあって、気迫のレースで会場を沸かせる。 

辻栄蔵は、9月のとこなめ周年で優勝。約5年ぶりにG1制覇を果たした。当地前回戦の8月に優勝しており、調整のアドバンテージもある。吉川元浩は当地で10年4月、16年8月と2度の完全優勝を成し遂げている。ドル箱水面だけに活躍は必至だ。

 2日目のカステラドリームには松井繁が登場。SG12回、G154回を含めて通算122回の優勝を誇るボート界の王者。今年はオールスター、まるがめ周年、近畿地区選で優出。12年連続グランプリへ出場も視野に入れた。峰竜太は7月のまるがめオーシャンCで悲願のSG初優勝。15年、16年と連続で年間勝率1位と輝いた。トップレーサーの中でも、ズバ抜けた旋回力は見逃せない。

 他では、前田将太、4月まるがめでG1ウイナーの仲間入りし先日のヤングダービーも制した中田竜太、当地初出走の山崎郡、近況イケイケの羽野直也らヤングの活躍にも期待したい。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る