G1周年記念競走展望

【桐生G1赤城雷神杯】不屈の闘志見せる毒島 地元Vなるか!

[ 2014年9月9日 05:30 ]

地元G1初制覇へ、気合十分の毒島誠
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 ボートレース桐生のG1「開設58周年記念・赤城雷神杯」は、10日に開幕する。迎え撃つ群馬勢は江口晃生、山崎智也、毒島誠のSGウイナー3人を擁する強力布陣。中でも毒島は、前節のSGボートレースメモリアルで予選1位通過と活躍した。対する遠征チームも今年SG2冠の菊地孝平、当地SG2Vの瓜生正義と豪華メンバーがそろう。6日間の熱いバトルから目が離せない。

 今や全国区。どんな大舞台でも主役を張れるようになった毒島が、満を持して地元G1に登場する。「桐生周年は選手生活の中で一度は獲りたいタイトル。でも僕は地元だからって気合を入れると空回りすると思う。最近は地元の記念でも落ち着いて走れるようになったし、今すぐ獲りたいとかは考えない。まずは楽しみたい」。自然体を貫くことで、持てる力を全て発揮する構えだ。

 ブレイクしたのは昨年の夏。若松オーシャンCでSG初優出を飾ると、続くまるがめメモリアルでSG初Vを達成した。年末のグランプリでも見事、ファイナルに進出。その快進撃は年末まで終わることがなかった。

 今年は賞金ランク6位以内を目標に設定。さらなる高みを目指すことで、勢いは増すばかりだ。年始からG13節を含む5連続優出。6月の尼崎周年では自身2度目のG1制覇も果たした。前節の若松メモリアルではSGで初めて予選トップ通過。準優3着で優勝はできなかったが、その実力は誰もが認めるところだ。2度目のSG戴冠、3度目のG1制覇、どちらも時間の問題だろう。

 長年の努力が実り、この1年で完全に本格化。とこなめダービー(10月14~19日)のドリーム戦にも選出された。ただ、毒島自身は現状に満足していない。
 「今年はグレードレースの優勝戦1号艇で2回も負けている。もっと、しっかり勝ち切れるようにならないと…。それには誰にも負けない武器が必要だが、僕にはそれがない。でも課題があるから頑張れる」。

 敗戦やミスを糧にできる不屈の闘志。これが毒島の原動力だ。「いまだに桐生の調整はさっぱり分からない」。この課題も必ずやクリアしてくるはず。その機会が今大会でも不思議はない。

◇不惑の山崎、8度目の地元Vめざす

 まだ群馬のエースの座は渡せない。こう語っているかのような活躍を見せているのが山崎だ。今年は浜名湖、びわこ、まるがめの周年記念をV。特に浜名湖の優勝戦では1号艇の毒島を撃破し、先輩の意地を見せた。今年の獲得賞金でも毒島を上回る数字をマーク。不惑を迎えても、ボート界の貴公子は健在だ。

 桐生ではSG1VにG17V。通算勝率も8点を超えており、当地での強さは突出している。「若い時に比べたら地元意識は少なくなったが、たくさん走らせてもらってる水面だし頑張りたい気持ちはある」。8度目の地元G1制覇へ向け、静かに闘志を燃やす。

 今年の目標は毒島と同じ賞金ランク6位以内。「常に準優に乗っていれば6位には届く。まずは予選突破を目指したい。もちろんチャンスが来たら勝負を懸ける」。年末の大一番へ、ここで再び弾みをつける。

◇御大江口、8年ぶりのタイトル奪取へ

 地元の御大・江口は赤城雷神杯への熱い思いを「約30年、選手をやっていても最も欲しいタイトルの一つなのは変わらない」と表現。今さら当地実績を持ち出すまでもなく、走り慣れた水面での立ち回りは十分に心得ている。「以前のようにガツガツではなく、とはいえ気を抜きすぎないようにしたい」と平常心を強調しつつ「2、3着ではなく1着を狙うエンジンのセットと作戦で臨まないと赤城雷神杯は獲れない」とレースになれば気合が入ってくるのは確実だ。

 今年は7月のF休み明けに地元を2節連続で走った。「レース勘を取り戻し、ペラの引き出しを増やしていきたい。成績が良くないのを安易にペラの勢にしたくない」と自分を厳しく追い込む江口が、06年以来となる2回目のタイトル奪取へ静かに闘志を燃やす。

◇相性抜群の瓜生

 10年ダービーと12年メモリアル。瓜生は当地SG連覇と、桐生の大舞台にめっぽう強い。「方角が良いのかな」。ちゃめっ気たっぷりに笑ったが、好成績の要因をこう分析する。「桐生は水が硬いせいか乗りづらいイメージがある。でも、皆が乗りやすいレース場だと僕の成績は良くない。深く考えないで、大体で調整するのが良いのかも」。高度な旋回技術と適度な適当さが、見事なコラボレーションを生み出しているようだ。

 今年の賞金ランキングは第8位。SG制覇はないが、コンスタントに活躍を続けている。「結果を出すためには、自分の力を伸ばすことが最も要領が良い。より効率の良い乗り方を探したり、ペラの性能を高めたり。この辺で立ち止まってはいけない。もう一つ階段を上りたい」。常に基本に忠実。抜群の相性を誇る水面でも、瓜生の走りは決してブレない。

◇菊地、苦手意識払拭へ

 オールスター(福岡)、グランドチャンピオン(浜名湖)とSG連覇を達成し、賞金ランキング首位をひた走る菊地孝平(36=静岡)。初日12R「赤城ドリーム戦」に2号艇で登場する。

 「桐生はエンジンを出した回数は少ないイメージ」と苦手意識があるが、今年の菊地なら関係なさそう。「トップ選手は良くないエンジンを引いてもそれなりの足に仕上げてくる。今年はそれを多少はできている」と手応えをつかんでいる。

 SGグランプリ出場が確実の立場だが「まだ先のことは考えていない」。地元のお盆レースでフライング、若松メモリアルは予選落ちとリズムは下降気味だ。「2、3節と結果が伴わなくてもぶれずにやることが大事。自分の仕事をしっかりするだけ」と“淡々”とボートレースと向き合う。

◇好相性の徳増

 悲願のSG初制覇を見据え、積極的な走りが光る徳増秀樹(39=静岡)。今年は3月のボートレースクラシック(尼崎)、7月のオーシャンカップ(まるがめ)とSGで2回優出し、主役級の活躍を見せる。

 インパクトとは裏腹に、徳増自身は「今年はチャンスを生かし切れず、優勝できていなので調子は良くない」と冷静だ。昨年は8Vと荒稼ぎしたが、今年は8月時点で1V。だがここからが凄かった。浜名湖、とこなめ、津と3節連続優勝を飾り、リズムを上げた。
 
 「嫌いではない」と話すように、桐生水面は通算4Vと好相性。昨年は1月と10月に参戦し、連続優勝を飾った。獲得賞金順位は現在、SGグランプリ出場圏内の13位。自身3個目のG1タイトル奪取で、一気に当確ランプをともす。

◇好調キープの浜村

 うずしお軍団の総大将、浜村は02年の当地G1ダイヤモンドカップ競走を制した。昨年7月以来優勝から遠ざかっているが、今年5月以降好調をキープ。10節で8回優出し、7点オーバーの勝率をマークしている。今年初のG1参戦となるが、スロー水域から自在のレース運びは健在。10個目のG1タイトルを獲得した桐生水面で大暴れの予感を漂わせる。

◇篠崎、G1復帰戦に気合十分

 篠崎仁志は昨年9月の当地・新鋭王座決定戦でG1初Vを飾った。しかし、11月の宮島周年優勝戦でF。ペナルティーにより、6カ月間のG1あっ旋停止処分となった。今回は思い出の舞台でのG1復帰戦。それだけに気合は十分だ。「8月でG1の出場停止期間が終わるし、桐生周年に呼んでもらえないか期待していた。開催時期も新鋭王座と同じだし、良いイメージで行けそう。ドリーム戦にまで選んでもらったので頑張りたい」。感謝の気持ちを胸に秘め、上州のファンに成長した姿を見せる。

◇市川&山下 注目の全場制覇コンビ

 広島支部は市川、山下の全場制覇コンビに注目!山下は6月の戸田、市川は8月のからつでそれぞれ史上10、11人目となる全24ボートレース場制覇を達成した。8月の当地G3企業杯で優出4着の山下は「苦手なレース場はないが、桐生は整備士さんや関係者の方々にとてもお世話になっているので楽しみ」と意気込み。「北川(幸典)さんが2000勝を達成したので、次は2000勝を目指して頑張りたい」とモチベーションは高まるばかり。明るく楽しく元気よく存在感を見せる。

◇桐生の水面特徴

 日本最北のボートレース場で水質は淡水。また最も標高が高く体重差が出やすい条件がそろっている。冬に吹く“赤城おろし”と呼ばれる風で荒水面のイメージが強いが、夏場は比較的穏やか。

 ピットから2マークまでが165メートル。これはからつ、下関に続く全国3番目の長さ。ピット離れの仕上がり具合だけでなく、一瞬のタイミングの差でコースが入れ替わることがあるので要注意。
 
 今年のインの1着率は45・7%。平均の47・5%には届かないが、関東5場の中では最もインが強いレース場になる。

◇桐生のエンジン

 今回使用されるエンジンは昨年の年末レースにおろされたもの。半年以上使用されており、素性もだいぶ見えてきた。

 2連対率上位3機は38、42、17号機。この中ではお盆開催で金子賢志が優勝した42号機がエース格。優勝回数では3Vの17号機がトップ。優勝者は若林将、倉谷和信、江口晃生と全てA1級ではあるが行き足から伸びに定評がある優良機だ。

 上昇度で注目したいのが近5節で70%弱の2連対率をマークしている23号機。前節は別格の行き足で益田啓司が4日間をパーフェクトVで飾っている。

◇初日・赤城ドリーム戦展望

 Wドリーム戦の第1弾は「赤城ドリーム戦」。前付けに動く選手は見当たらず進入の方は枠なりで落ち着きそうだ。1M、主導権を握るのは桐生水面を熟知している山崎智也か。待ったをかけるのが菊地孝平。ボート界屈指のスタート力はイン山崎にとってプレッシャー。内2人の激しい攻防戦が楽しみな構成になっている。山崎と菊地がけん制し合う間、攻める機会をうかがっているのが中島孝平と峰竜太。まくり差しのハンドルなら辻栄蔵が天下一品。桐生順平は道中戦で見せ場。

◇2日目・雷神ドリーム戦展望

 第2弾は「雷神ドリーム戦」。地元のニューヒーロー・毒島誠にとって試練とも言えるメンバー構成になった。全ての分野においてトップの座に君臨する瓜生正義が2号艇。その外には浜野谷憲吾、田中信一郎といったターンテクニックで頂点に立った実力派。毒島はそうそうたるメンバーを相手に無心で逃げるのみ。5枠は当地の新鋭王座でG1初制覇を果たした篠崎仁志。自信満々のハンドルさばきでまくり差す。大外枠は新田雄史。ピット離れ次第では思い切った作戦も考えられる。

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