G1周年記念競走展望

【宮島G1 宮島チャンピオンカップ】村松&大上&船岡 広島支部のタナ・キク・マル

[ 2018年5月9日 05:30 ]

“花の114期”広島支部の村松修二
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 SGウイナーが25人も参戦する。開設64周年G1「宮島チャンピオンカップ」は10日に開幕だ。この超豪華決戦にも、やはり地元「赤ヘル軍団」がヤル気に満ちている。今やプロ野球セ・リーグの王となった広島カープ。ボートレース界も真っ赤に染めたい!今回G1のスポニチ本紙予想担当は柳澤元紀記者。昨年はカープ番記者として駆け回っていた。期待を込めるのは村松、大上、船岡の若手3人。きみたちが広島支部のタナ・キク・マルだ!

 ◎村松修二 田中広輔に重なる向上心の強さ

 「花の114期生」から飛び出してみせる。全国的な知名度はまだ高くないが、村松修二の名前は覚えておくべきだ。「自分の武器は、展開が向いたときに、しっかり突けるところと安定感」と分析する若手は、記念出場が今回で2回目。だが、初出場だった今年3月の蒲郡周年記念では2走目に早々と水神祭を挙げると、安定感を発揮し続けて準優4着と健闘した。自信を深めた節となったが、今回の大舞台も平常心で臨む構えだ。

 「自分の力を出し切れれば、いいところにいけるのではと思っています。テンパったり、今までどおりのことができないのは避けたい。技術的な反省点をしっかり持ち帰れるようにしたいですね」

 前節の宮島ゴールデンウイークシリーズでも優出。大きな刺激を同期から受けながら成長の途をたどっている。同期の114期生は、すでにグレードレースを制している羽野直也、中村桃佳など人材が豊富なのだ。

 「松尾拓や西野雄貴もいますよ。『銀河系軍団を超えよう』ってみんなで言っているんですよ。意識が高く、本当に刺激になります。よく会いますし、会えないときでも情報共有をしたりしています」

 特に昨年10月の大村周年記念を制し、SGにも出場している羽野は大きな存在。追い付け追い越せの精神を示す。「早くあそこの立ち位置に行きたい。彼が見ている景色は違いますから。僕もその目線で見られるようになりたいです」

 今回の出場選手中で最も登録番号の若い村松は、向上心のかたまりともいえる男だ。その姿はプロ1年目からレギュラーの座を確保した田中広輔の姿に重なる。広島支部の若き切り込み隊長として、今大会を盛り上げる。

 ◎大上卓人 菊池涼介ばりの美技を

 優勝候補の大穴として若手の大上が急浮上してきた。広島支部のそうそうたる面々が集まった前節の宮島GWシリーズで、エース42号機を味方に優勝を飾って見せたのだ。1号艇で迎えた優勝戦は、好スタートを切ったダッシュ勢に対してスリットでやや後手を踏んだ。それでも1Mでしっかりと攻めを受け止めると、そのまま独走態勢。先頭でVゴールを決めた。

 「優勝戦は自分のターンがしっかりできました。あのスリット隊形ですから、100点満点のターンです。このメンバーで優勝できて、自信になりました。次の宮島周年記念でも同じエンジンは引きたいけど、そう甘くはない。しっかりと他のエンジン相場も頭に入れて、あとは自分のレースをしっかりとしたいです」

 定評のあったスタート力に関しては一皮むけた感がある。昨期は序盤の昨年12月1日にフライングを切って、5カ月間F持ちだった。その中でも平均タイミングはコンマ13と出色もの。「1本持っている中でのスタートの仕方を考えた上で、しっかり行けていた。いい勉強になった」とタダでは転ばなかった。とりわけ当地では、スリット攻勢で優位に立つシーンが目立った。

 「宮島はスタートの難しさを訴える他支部の選手が多いですが、自分はそんなことはない。そこはアドバンテージを感じますね」

 自信を示すのは当然か。当大会出場は初となるが、初1着、初優出、初優勝を挙げているように宮島水面との相性は抜群。ここで、さらに自信を深めたいところだ。

 生粋のカープファンで、宮島工高の野球部出身。ポジションは遊撃手だったが「好きなのは二塁手。菊池(涼介)選手は見ていて楽しいですよね」と笑顔を見せる。菊池ばりのスーパープレーを見せてくれ!

 ◎船岡洋一郎 丸佳浩のような存在感を

 船岡が着実な成長を見せつける。新期の勝率は自己最高となる6・80。一般戦で常に優勝候補に名を連ねるだけではなく、2月の児島中国地区選でも予選を突破した。

 「飛び抜けて活躍した節はなかったけど、成績がすごく悪いということがなくなった気がします。コンスタントに準優には行けていますしね。展開を突けるようになったし、ちょっとずつでも進歩できていると思います」

 2大会ぶりの出場となる宮島周年記念は実は好相性。3年前は準優3着で、2年前も予選を突破した。目指すところはもう一歩上だ。「まだまだ実力は足りていないけど、何とか、しがみついて優出したいと思っています」

 地元戦にはアドバンテージを感じている。現在は20歳代のときのようなイチかバチかのスタートは控え、さばきでの勝負に力を入れているが、宮島となれば話は別だ。

 「宮島でのスタートには誰よりも自信があります。全速でコンマ10のタイミングで行ける自信があります」

 あまり大きなことは口にしない謙虚な31歳が、このときばかりは口調を強めた。実際に前回当地出場した3月の一般戦では、平均スタート順位は1・9。今回も果敢な攻めを披露してくれそうだ。ちなみに、その一般戦では、初日ドリーム戦で6コースから捲り差して3連単5万円超えの高配当を演出した。穴党は要注意だ。

 中学生までは野球少年で、最も多くこなしたポジションは中堅手。当然、カープファンで、旧広島市民球場には幾度となく足を運んだ。昨年のセ・リーグMVP・丸佳浩ばりに、不動の記念レギュラーとなるべく、ここで存在感を大きくアピールする。

◎先行予想

 SGウイナー25人が大集結。強豪が多数ひしめくが、市川、前本、辻の「地元勢SG覇者トリオ」がV戦線の中心になる可能性は高いだろう。

 ゴールデンウイークシリーズからの当地連続あっせんとなる利点は大きい。市川は優出3着、辻は同4着、前本も準優3着と結果もしっかり残しており、一定の手応えをつかんだに違いない。エンジン出しにおいても間違いなく優勢。序盤でエンジンを仕上げての、予選上位突破をもくろんでいることだろう。

 遠征陣では新勝率で8点を超えている峰、桐生の両者がベスト6の最有力候補か。周知のように、ともにターンスピードは別格級。結果だけでなく、そのレースぶりでも盛り上げてくれるはずだ。

 当競走の後には尼崎SGオールスターが控えている。前哨戦ともいうべき戦いで、ドリーム戦組の松井、菊地らも、ここで気持ちよく優勝を飾りたいところだろう。ダークホースとして名前を挙げたいのは、今年すでにG1を制している金子(2月江戸川関東地区選)と中田(3月戸田周年記念)。特に中田は昨年のグランプリに出場するなどSG常連となっている。大きな注意が必要な存在だ。

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