G1周年記念競走展望

【多摩川G1ウェイキーC】注目のW山田 ともに今年5V

[ 2015年9月2日 05:30 ]

(左から)G1初優勝を目指す山田哲也と今年5Vと急成長を遂げる山田雄太
Photo By スポニチ

 ボートレース多摩川のG1「ウェイキーカップ開設61周年記念」は3日、開幕する。今年3月の開設60周年記念に続いて今年2回目、出力低減エンジン導入後初の祭典。スポニチ本紙のイチ押しは山田雄太(33=静岡)と山田哲也(32=東京)の“W山田”だ。今年はともに優勝5回と充実一途。是政の頂点へ一気に駆け上がる!

 ◆デビュー14年目 減量効果で大ブレーク
 ~地元ダービー出場~
 デビュー14年目、33歳にして急成長を遂げた男がいる。静岡の山田雄太だ。通算18回の優勝のうち、5Vが今年に入ってから挙げたもの。今期勝率は自己ベストとなる7・50をマークした。10月には地元・浜名湖のダービーでSGデビューも果たす。レーサーの階段を猛スピードで上昇中。この成長の裏には先輩や同期の存在がある。

 ~「攻めの気持ちで」~
 「最近、ケガや成績不振で同期が何人も選手を辞めていった。できることをやっておこうと思って2月から減量を始めた。それに伊藤将吉(36=静岡)さんが減量して結果を出していることも刺激になった」

 かつて55キロ前後あった体重は、食事制限とサウナで52キロにダウン。わずか3キロだが、1メートル73とレーサーの中では長身の部類に入る山田にとっては楽なことではなかっただろう。だが、減量効果はすぐ結果に表れた。

 2月から5月にかけて9節連続で優出。負傷帰郷で記録は途切れたが、すぐに6月の多摩川一般戦で優勝を飾った。そのシリーズ以来となる当地参戦。もちろん、水面イメージも良好だ。

 「以前は苦手意識があったが、昨年2月と今年6月に優勝して印象が変わった。6月はエンジンも出ていたし、良いイメージを持って臨めると思う。減量とか、しっかり準備はして行く。それに攻める気持ちだけは忘れないでいたい」

 直前の徳山でFを切ってしまったが、積極果敢な走りで今大会も盛り上げてくれるはず。山田哲也にも負けない鋭いレース運びに期待したい。

 ◆屈指のスタート巧者が道中戦に磨き
 ~「記念を獲りたい」~
 ヤマテツといえばスタート。スタートといえばヤマテツ。しかし、今の山田哲はひと味もふた味も違う!

 来年3月に地元・平和島で開催されるSGクラシックを視野に入れ「常日頃から思っているが、記念を獲りたい」とねじを巻いた15年。2月の平和島を皮切りにコンスタントに優勝を重ねて大舞台を射程に捉える。

 ~新エンジン大丈夫~
 早々と出力低減エンジンに順応。「僕には低出力の方が合っている気がする。足負けしないというか、プロペラの調整が合っているのかも」と胸を張る。多摩川の新エンジンは未経験だが、問題はなさそうだ。

 もうひとつは代名詞のスタートだ。「控えるではないが、無茶なスタートをしないように心がけている。平均STは下げたくないので、いつもコンマ11、12なのが13くらい」。それでもトップクラスであることに変わりないが、その分磨きをかけているのが道中戦だ。「スタートを行かないところから展開をつくることや、突くことを意識している」とSGや記念でレースを模索中だ。

 15年後期から7点レーサーに返り咲き、再び記念戦線へ。多摩川は記念すべきG1初優出したプールだ。「嫌いではないし、地元なのでいいレースをしたい。もちろん勝負どころでは行くつもり」。スタートだけではないニューヤマテツのお披露目だ!

 ◆笠原 今年5V 底力発揮だ
 ~当地SG覇者~
 当地SG覇者が好リズムで乗り込んでくる。05年の多摩川クラシックでSG初出場Vを達成した笠原亮(35=静岡)は、今年ここまで5V。来月20~25日に開催される浜名湖ダービーの出場権を手に入れ、3年ぶりのSG復帰も決まっている。

 「結果が出ているから良いように見えるが、現在のペラ制度になってから調子はずっと良い」

 こう語ったように昨年も年間4V。相次いでスタート事故を起こしたためA2級に降格し、記念戦線の出場機会を失っていただけだ。今年に入ってから参戦したG1、G2計3戦では全て優出。それも優勝1回、準優勝2回の好成績だ。記念級の底力は衰えていない。

 「多摩川は結果が出ているし好きな水面。あとは自分のエンジンとスタートと精神状態。僕は相手のことを気にしないので」。その能力をフルに発揮できれば、7年ぶり4度目のG1制覇を果たしても不思議はない。

 ◆長田 ベスト6は最低限目標
 ~愛称“是政王子”~
 いよいよやりそうな雰囲気を漂わせる。ホーム水面は13年5月から15年5月までG1を除いて9節連続優出の長田頼宗(30=東京)。“是政王子”の愛称が定着してきたが、ウェイキーカップは4回出場して予選通過ゼロ。気合が空回りし、歯がゆい思いをしてきた。

 年始は関東地区選手権(戸田)、三国周年記念と連続優出。1つ上の舞台で通用することを証明したが、出力低減エンジンの調整をつかめず、それ以降は低空飛行を続けた。転機となったのが当地前回のお盆シリーズだ。

 まさかの初日ゴンロク発進となったものの、2日目以降は機を立て直して怒涛の快進撃から優勝戦1号艇を獲得した。「誰よりも1番走っているレース場。勝つ」とプレッシャーをかけ、見事15年初V。優勝戦の連敗を「9」で止めた。「自信になった」と大きなアドバンテージを得た様子。ベスト6は最低限の目標だ!

 ◆中野 連覇でGP出場射程に
 ~当地水面好相性~
 中野次郎(34=東京)がウェイキーC連覇に挑む。今年3月に行われた60周年記念は予選をトップで通過。準優と優勝戦を共に逃げ切る王道Vで、自身5回目のG1制覇を飾った。「そこまで優勝を考えていたわけではないが、得点率1位が狙えるくらいから気持ちが入った。僕は意気込むと駄目なタイプなので、そういう意味では3月はリズムが良かったと思う」。肩の力を抜いて臨めたことを勝因に挙げた。

 当地ではG12Vを含む通算7Vの実績。平和島3V、江戸川2Vと地元3場の中でもダントツの優勝回数を誇る。それだけにイメージは良い。「よく練習もしたし、もともとは多摩川が一番好きな水面。休み明け初戦のメモリアルで活躍できるほど甘くないし、2節目の多摩川から盛り返したい」。現在の居住地は大阪市住之江区。“第二の地元”で開催されるグランプリへ向け、ここで賞金を加算する構えだ。

 ◆浜野谷 “魅せるレース”は健在
 ~1500勝達成~
 当地前回のお盆シリーズ4日目。浜野谷憲吾(41=東京)は節目の通算1500勝を達成した。92年のデビューから5165走目。近年は古傷の左肩と付き合いながら走り続けるが、「ケガしないように乗っていければいいね」。まだまだ通過点だ。

 偉業達成の節は次点の予選19位でまさかの予選落ち。続くSGメモリアル(蒲郡)はエース機候補最有力のエンジンを引いたが、準優勝戦に進めなかった。浜野谷は終わったのか。否。

 6月の江戸川周年記念を2Mの逆転差しで制した。3年半ぶりの記念V。ファンタジスタにしかできない魅せるレースは健在だ。今年から禁煙した。「(妻から)“愛してるならやめて”と言われればね(笑い)。G1を勝ったし、ストレスはないよ」。多摩川G1は99年に連覇の実績。まだまだやってくれるはずだ。

 ◆注目のニュージェネレーション
 昨年のGPから一気に注目を集めることになったニュージェネレーション。今回はボートレースメモリアル優勝戦1号艇からSG初Vのチャンスを逃してしまった峰竜太が中心になりそうだ。その峰からタイトルを奪ったのが篠崎元志だが、その弟・仁志が参戦。兄に続けと自然と力が入るはず。メモリアルでは予選落ちに終わった毒島誠もV候補の一人だ。

 ◆層が厚い地元勢 長岡&三角&角谷
 地元勢の層が厚い。中でも98年メモリアル覇者の元祖・是政のプリンスこと長岡茂一を筆頭に三角哲男、角谷健吾といった多摩川巧者に注目。近況では角谷がリードしている印象だ。今年、地元の強豪がそろった当地正月レースとGWシリーズを優勝。多摩川最強の男と言っても過言ではない。三角、長岡の攻撃力も健在だけに当地巧者のプライドが火花を散らす。

 ◆賞金争いもし烈
 今年も5つのSGが終了し賞金レースが気になる時期に突入。出場メンバー中、今年の獲得賞金トップは峰竜太。前回のSGメモリアルで準優勝し5位へジャンプアップ。17位の中野次郎、18位の丸岡正典、20位の中沢和志、21位の笠原亮らが今後、僅差の戦いを見据え1万円でも多く稼いでおきたいところ。現在25位の浜野谷憲吾も1戦1戦が勝負になる。
 
 【水面&エンジン分析】
 東に1マーク、西に2マークが設置された完全プール型で水質は淡水。かなりの強風でも波立つことが少なくキャッチフレーズは“日本一の静水面”。その名の通り全速ターンの競演が期待できる。樹林とスタンドに囲まれているせいか季節に関係なく風向きがころころかわるのが特徴でスタートに苦労する選手が続出する。また8月4日の開催から出力低減型エンジンが導入されたばかり。機力差に拍車が掛かることは歴然。いち早く相場を把握することが高配当ゲットにつながる。

 【初日ドリーム戦展望】
 東都のエース・浜野谷が堂々のファン投票1位。強烈な旋回テクニックを誇るライバルを振り切り何としてでも逃げ切りたい一戦だ。6月の江戸川周年を制した勢いでぶつかりたい。スロー枠に池田と峰。この2人は艇界屈指のハイレベルなターンの持ち主。浜野谷にとって怖いのが池田の鋭い差し、または峰の強ツケマイになるだろう。中野はカドからスタート勝負。当地は07年の関東地区選、前回の60周年覇者でもあり水面相性は抜群。白井、篠崎もスキあらば全速技で突き抜ける。

 【2日目ドリーム戦展望】
 DR第2弾の主役は瓜生。今年1月に芦屋正月開催、からつG1を制し幸先のいいスタートを切ったが、勢いに乗れず現在賞金ランキング41位。軌道修正のためにもすっきり逃げて予選を突破したい。毒島は差しの一手か。カド井口は攻めたいところだが、石渡の仕掛けも早くスリット合戦が見もの。レースをかき混ぜるのが5号艇の熊谷。攻撃力も怖いが、ただでは終わらぬ奇襲作戦も頭に入れておきたい。ピット離れに要注意だ。展開を突くレースを得意とする辻も軽視は禁物だ。

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