G1周年記念競走展望

【からつG1全日本王者決定戦】峰 地元周年初V 照準ピタリ

[ 2016年1月18日 05:30 ]

地元周年初制覇を目指す峰竜太
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 16年のG1周年第2弾は、からつだ。19~24日まで「G1全日本王者決定戦 開設62周年記念」が「唐津くんち」で有名な、佐賀の城下町で行われる。15年のグランプリ覇者の山崎智也を筆頭に中堅~若手の実力派が集結する。当然、地元の「がばい軍団」が黙ってはいない。確固たる自信をみなぎらせるエース峰竜太(30)を筆頭に「番長」こと深川真二や古賀繁輝、小野勇作、森永淳、宮地元輝、山田康二、高田明ら計8人が総攻撃で迎え撃つ。

 ◆今年こそSG初Vだ
 ~開幕ダッシュで遠征陣突き放す~
 峰竜太の16年G1戦線は生まれ育った地にある、近所の淡水プールから始まる。前走の平和島一般戦、業界初の試みとなった3日間開催のバトルトーナメントでも「お祭り男」は当然のように優出し準優勝。年を越しても、勝ちまくった昨年の勢い、リズムにまったくのブレは感じられない。

 15年は際立ったタイトルこそなかったがいつも通りにSG、G1のファイナル争いに定着。住之江グランプリにも獲得賞金ランク8位で参戦し1億円バトルの優勝戦進出は逃したが、賞金ランク5位となる9391万円を稼いで終了した。

 稼ぎだけではない。15年の優秀選手タイトルを二つもゲット。勝率8・59で最高勝率、136勝を上げて最多勝利をいずれも初受賞した。終わってみれば「もっとも勝って、もっとも安定した」選手は峰だった。

 当然、本人も手応えを感じ取っている。「いい1年でした。強くなったな~と感じる1年。リズムが良かったというより、地力が上がった。勝率1位は自信になったし狙っていた。S力、調整、旋回とバランス取れて上積みできた。あとはタイトルだけ。周囲の期待もあるし責任もある」。残すは念願、待望の「栄光」を奪うだけと思っている。

 目前で逃したことは絶対に忘れていない。だからこそ、さらに強くなれた。昨年8月末の蒲郡メモリアル優勝戦1枠。道中で篠崎元志に競り負けてSG初制覇を取りこぼした。「初めてのSG優勝戦1枠で期待がすごかった。若い時なら『負けるかも』と周囲も思うけど、あの時は『峰が勝つだろう』というのが伝わってきた。それに負けたのが悔しかった。緊張し過ぎた」。だが時間が解決してくれた。峰はその後、すぐに切り替えて勝ちまくった。

 「すごい自分が変わった。いいのは満足しなくなったところ。もう一丁、タイトルにどん欲になったし精神面が強くなった。もう絶対、誰にも負けない。1走1走じゃなく、トータルで負けないと思うようになった。取った人には栄光がある。でも『やっぱり峰が強い』と思われるように実績を残してきた。最近は足もだいぶ低いところでOKサインが出る。なぜなら自分に自信があるから。第一にメンタル、第二、第三がエンジンとターン。最近の勢いなら、変なエンジンを引かなければ優勝戦に乗れる選手だと自分では思っている」。イケイケのポジティブ思考と“絶口調”は今まで以上に止まらなくなってきている。

 そして迎える16年、地元周年。G1通算15優出3優勝で地元タイトルこそないが「やっぱり流れには逆らえない。だからこそ僕は1走目、初日にかける。勢いづく自分を作るため、仕上げの早さは大事」。初出走、初優勝、G1デビューした地での「開幕ダッシュ」でまず遠征陣を突き放す。

 ただ水面を離れると明るい、ほんわかムードな唐津市在住の良きパパに変わる。「どちらかと言うと早く(家に)帰りたくなる。ほとんど休みは家族といるし、すごく充実している。幸せだし、幸せいっぱいレースをして家族に朗報を届けたい」と笑う。近所にある自宅に思いは届くはず。アットホームな雰囲気を醸しつつ強いのが峰竜太だ。サクッと地元タイトルを取り、足早にマイホームへと帰る。

 ◆「剛」の深川黙ってない
 ~6年ぶり地元周年Vへ自然体~
 「がばい軍団の番長」こと深川真二も黙ってはいない。峰が「柔」なら深川は「剛」。コース取りからいつも通り、かき回してくる。昨年はG1下関周年を含む2優勝だったが今年一発目の正月開催、佐賀県選手権で優勝戦1枠でインからコンマ01の快ショットで早くも優勝。新年から勢いとアドバンテージは十分だ。

 超自然体が、地元での強さの秘ケツだ。10年の56回大会覇者は6年ぶりの地元周年Vがかかるが「水上、陸上とも地元を知り尽くしているし全選手の誰よりもリラックスして臨めると思うよ。まずはいいエンジンを引ければいいけどね。悪ければペラを自分の形に叩く。それでどうなるかやね」と泰然自若を貫く構えだ。

 メンタルに加え、スロー域を狙うスタイルも、どこを走っても変わらないが地の利はかなり働きそう。「何メートル起こしでも大丈夫。80メートルは越えるやろうけど感覚で分かる。ここは佐賀にある、からつやけん、(遠征陣には)暴れさせんよ」と頼もしい。鋭い眼光が見つめる先は、当然、頂点だ。

 【先行予想】
 ~昨年MVP“強い智也”魅せる 石野“充実モード”突入~
  昨年大会はともに不在だった地元の看板レーサー・深川真二と峰竜太が今年は揃って参戦。それだけでもシリーズが盛り上がる要素になるが、峰を除くと遠征陣も昨年のグランプリ出場者が7人参戦と強力メンバーが顔を揃える。

 最優秀選手にも選ばれた山崎智也はグランプリを含むSG3勝と大活躍。昨年の61周年大会は途中帰郷に終わったが、当地は97年ダービーでSG初制覇を飾った思い出の水面。今年も“強い智也”をファンに見せてくれるだろう。

 強力機を背に三国オーシャンカップで2度目のSG制覇を果たした石野貴之は完全に充実期に入った。昨年のSG5優出が証明するように場所、季節に関係なく、今は快足に仕上げられる。間違いなく上位戦線に顔を出してくるはずだ。

 一昨年のグランプリウイナー茅原悠紀にとって、昨年は不完全燃焼だった。それでもグランプリの走りはさすが。当地を走る機会は少ないが、舞台が大きければ大きいほど燃えるタイプだけに気力と機力がマッチすれば、誰にも手がつけられなくなる。

 今垣光太郎が今節の最古参メンバー。ただ、昨年もグランプリ出場を果たしたように、力負けするシーンは見られない。信条とする攻めのレースは魅力たっぷり。広大なからつ水面で“十八番”の3カド攻勢が飛び出すか。

 2日目ドリーム戦に登場する井口佳典、森高一真の銀河系コンビもまだまだ老け込む年齢ではない。いずれも近況は安定したスタートが成績に結びついている。復調気配を感じさせるだけに、ここで完全復活をアピールしたい。

 新鋭世代では頭角を現し始めた下條雄太郎や、ヤングダービー覇者の松田祐季もハンドルが切れる。もちろん古賀繁輝、宮地元輝、山田康二、高田明ら地元ヤング勢も気合は入っているだろう。フレッシュなメンバーが果敢に挑んでいく姿も楽しみにしたい。

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