G1周年記念競走展望

【戸田G1 戸田プリムローズ】エース桐生不在も 地元タイトル他支部に渡さん!

[ 2018年10月6日 05:30 ]

須藤博倫
Photo By スポニチ

 G1「戸田プリムローズ開設62周年記念」はあす7日、埼玉のボートレース戸田で開幕する。今回は埼玉支部の絶対的エース・桐生順平(32)がG1準優勝戦フライングのペナルティーにより不参加。しかし、地元の周年タイトルを易々と他支部に渡すわけにはいかない。ダブルドリーム戦に選出された須藤博倫(40)と中田竜太(30)を筆頭に、埼玉勢に迫った。

◆須藤 クラシック出場ここで決める

 クラシックの開催が来年3月に控えているボートレース戸田。当地では7年ぶりのSG開催だ。ここに向けて埼玉支部長の須藤が燃えない訳がない。1月の浜名湖一般戦を皮切りに今年5V。地元SGの出場権を得るため急ピッチで優勝回数を重ねている。ただ、理想はG1、G2制覇による一発決定だ。

 「クラシックに出場して選手代表を務めるのは僕に与えられた使命だと思っている。後輩たちに雑用はさせたくない」

 現在、埼玉支部でクラシックの出場権を持っているのは桐生と中田。このままでは先輩である桐生が選手代表を担うことになるだろう。しかし、この2人は共に戸田SGを経験したことがない。支部長として、初めて走る地元の大舞台はレースに集中させたいのだ。

 もちろん、地元周年タイトルに対する自らの思いもある。優勝戦2号艇を獲得した59周年記念。ピット離れでインを奪ったものの、フライングを切ってしまった。「これまで優勝を狙える機会はあった。リベンジしたい気持ちはある」。地元G1制覇は15年の関東地区選手権ですでに達成。しかし、全国区の強豪が集まる周年の方がはるかに価値は高い。狙うは当然、戸田周年初Vだ。

 「ここが下半期1番の勝負レース。ダービーの前に疲れてしまってもいいから気持ちがこもったレースをしたい」

 今年11月で選手生活満20年を迎える須藤。その集大成を見せる舞台は、この地元G1を除いて他にはない。

◆中田「優勝したい!」

 3月の戸田61周年を制した中田だが、現在は4節連続で予選敗退。不調のまっただ中だ。「最近は自分で流れを悪くしてる。メモリアルでは普通に転覆して、多摩川周年では普通にFを切った。気合が空回りした訳ではない。これが自分の実力」と肩を落とした。

 だが、今回は連覇が懸かる地元の周年記念。さらに当地では17年以降、9節に参戦して8優出4V。他を圧倒する成績を残している。「戸田ではいいエンジンを引けることが多い。出来ることなら、お盆と同じ11号機を引きたい」。その当地お盆開催は節一パワーを引き出し、9戦オール連対で優勝。終始、危なげない走りを披露した。

 「正直言って今は周囲の期待に応えられる自信がない。でも地元のお客さんの前で恥ずかしい走りはできない。いいレースを見せたい。埼玉はワントップが前に行き過ぎているけど、いつかはツートップと思ってもらえるようになりたい」

 ワントップとは当然、桐生順平のことだ。しかし、4月からつ周年準優Fのペナルティーにより今大会にその姿はない。迎え撃つ地元勢のエース格を担うのは間違いなく中田だ。「戸田では節間の気持ちが普段と違う。予選は18位でもいいから優勝したい」。調子は悪くても、地元のプライドは誰にも負けない。得意水面から中田の逆襲劇がスタートする。

◆ブランク問題なし

 来年の戸田クラシックに向け、黒井達矢(30)は7月までに一般戦3V。順調に優勝回数を増やしてきた。だが、8月末に住之江でフライング。戸田周年後にはF休みが控えている。4カ月ぶりのG1舞台が勝負の一戦となってしまった。

 しかし、G1で過去に5優出。今年に入ってからも関東地区選、戸田周年、まるがめ周年で準優進出とそれなりの結果を残してきた。実績は申し分ない。「6月の下関からG1を走ってないが一般戦ではイメージした仕上がりになっている」。近況にも手応えを得ているだけに、ブランクがあっても好勝負は可能だ。

 「3月に(中田)竜太が目の前で61周年を獲って、モチベーションを高めてくれた。追いつけるように頑張ります」。いつまでも後輩に水をあけられたままではいられない。G1初制覇で差を縮めると共に、地元SG切符も手に入れる構えだ。

◆佐藤 技術も精神面も大きく成長

 桐生順平、中田竜太と地元勢の優勝が続いている戸田プリムローズ。この2人に続くのは誰か。「最近の中では一番獲りたいタイトル。その流れが今回の戸田G1と合致している」と、のろしを上げたのが佐藤翼(30=埼玉)だ。今期勝率は自己最高の7・15をマークするなどリズムは申し分なし。中田が優勝した前大会では優勝戦3着と結果を出し、今年5月の一般戦では14度目の優出で悲願の地元初V。「何度も優出できているのだから、そのうち優勝できるだろうと開き直れた」と、技術だけではなく精神的にもひと回り大きくなった印象。「地元だし、いい時の調整イメージがあるので特別な対策はありません」。長く続いた足踏み状態から大きく前進。絶好のタイミングで迎える地元G1。大暴れする姿が見られそうだ。

◆平石 原点回帰で粘り強さ復活

 来年戸田で開催するSGクラシックを年初から目標にしてきた平石。だが、いまだ権利はつかめず。それどころか一般戦でも優勝はなし。厳しい戦いを強いられている。

 そんな平石が試みたのは原点に立ち返ることだった。「足を求め過ぎて、(今まで重視してきた)乗り心地とか掛かりまで失っていた。それで大敗が多くなった。最近は悪いエンジンでもそれなりにレースができる乗り心地に仕上げられている」。直近3節計26走で5着以下はわずか1回だけ。持ち味の粘り強さが戻ってきた。

 18年も残り3カ月を切った。狙うは特別競走Vの“一発ツモ”だ。「出るからにはチャンスはあるはず。優勝を目指して最善の努力をする」。長年に渡り埼玉支部を引っ張ってきた平石が地元G1で起死回生を図る。

◆水面特性

 日本一狭い水面として知られる戸田。1Mがスタンド側に振られているにも関わらず、1Mから対岸までは70・5メートルで蒲郡の半分以下。旋回半径が十分に確保できないため、日本一イン受難のレース場だ。逆にカド戦になりやすい4コースの2連対率は全国トップだ。

 今節出走する選手の1コース1着率を、全国と戸田で比較。88・7%で全国トップの峰竜太は、戸田では62・5%と25%以上も下げている。過信は禁物だ。全国で80%を超えるイン信頼度を誇る松田大志郎も、戸田では50%と一気に信頼度が低下。荒川健太も20%以上落としている。最も顕著なのは平尾崇典で、戸田の1コース1着率は50%を割っている。

 逆に戸田のインを得意としているのが山口剛、松田祐季ら。戸田のイン戦を3回以上走って負けていないなら、“巧者”と言っていいだろう。長田、久田も1回負けただけで信頼して良さそう。最もジャンプアップしたのは山口達也だ。

 戸田のSG、G1での勝率トップは今垣光太郎。優勝は09年のグラチャンだ。地元勢では中沢和志がトップ。2回の優勝は05年関東地区選と14年周年。山崎智也の3勝は02年周年、03年ダービー、06年オールスター。7位長田頼宗の健闘が光る。

 では4コースの1着率ではどうだろうか。同様に全国、戸田で比較した。スリット付近の抜群の伸びを武器に、まくり勝ちを量産している星栄爾。全国では驚異の50%の1着率を誇るが、戸田では22・2%に急降下。峰も40→20%と半減。全国10位の秋山直之は10%を割っている。「握って全速旋回」を売りにしている選手は、狭い戸田では威力を削がれるとみてよさそうだ。

 逆に数値を上げているのは吉田拡郎。全国18・8%から戸田60%と大幅アップ。先日の児島周年を制した山崎智也も戸田の4コースを得意にしている。金田諭、佐藤翼、須藤博倫の地元勢も軒並み1着率は上昇している。

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