G1周年記念競走展望

【住之江G1 太閤賞競争】“ピカピカ”ナニワ3人衆が強豪に挑む

[ 2017年6月9日 05:30 ]

“地元若武者トリオ”の(左から)小野達哉、木下翔太、山崎郡
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 ボートレース住之江の開設61周年記念「G1太閤賞競走」は明日開幕(10日〜15日)。豪華ダブルドリーム(初日・千成賞、2日目・関白賞)を含め各地から強豪が出そろった。今回はそんな強豪を相手に真っ向勝負を挑む木下翔太、小野達哉、山崎郡の“地元若武者トリオ”をズームアップ。

◎木下翔太 戦闘能力はG1でも十分通用

 今回取り上げた“地元3人衆”の中でも木下は実力的にも実績的にも明らかに抜けた存在。5期連続でA1をキープしているのも実力の証明だ。現に予選突破が目標の小野、山崎に対して木下は「最低でも準優」と求めるレベルも違っている。

 「最近はG1でも仕事はできてると思ってます。別に焦りじゃないんですけど、SGにも出たいし早く優勝せんとアカンなって意識して走ってますよ」

 今年のG1レースで惜しかったのは2月三国の近畿ダービー。予選をオール3連対、得点率第3位で突破すると準優も危なげなく押し切りファイナル進出。最後は3コースからコンマ07のスタートで今垣光太郎、松井繁のインラインを脅かしたが勝ちきるまでには至らず。祝杯はおあずけとなってしまった。

 「狙える足はあったんですけどね。スタートを少し放ってちょっと寄りすぎたのが失敗でした」

 それにしても木下、デビュー当初から大物感はずっと漂っていたが、ここ2、3年でさらに進化を遂げているのは確か。いったい何が変わった?

 「最初のころはうぬぼれてたところもあった。でも何が足りないって思った時にやっぱり努力やな〜って。もちろんまだまだですが、そういう自覚が芽生えたのはレース内容にも反映してると思いますよ」

 コメントの一つ一つを取っても記念レーサーの風格が漂ってきた。太閤賞出場はこれが3度目。過去2回は昨年、いずれも予選を突破できず力不足を痛感しているだけに今回ばかりは意気込みも違う。

「住之江はあまり結果が出せてないんで設定は優出です。まあそれよりもG1レースとかに関係なく地元でアピールしていきたいですね。引きたいエンジンですか?オール大阪(5月ラピート)で乗った10号機。出足が抜群でしたね。あとは調整力。とにかく上を目指すにはエンジンのポテンシャルも上げていかんとダメですから」

 豪華キャストの中に入っても勝負できる戦闘能力は十分持っている。ショウタ、いざ出陣!

◎小野達哉 開き直ってスランプ抜け出す

 デビュー当初からレースセンスは光るものがあった。ただ同期、同県に“大物ルーキー”として常に取り上げられていた木下翔太の存在があった分、周りの評価はそれほど高くなかったか。そんな小野もデビュー6年目に突入。安定したスタートと的確なハンドルさばきで徐々に実力が開花。2期前には自己最高勝率の6・97をマークして初A1に昇格。このまま記念戦線に定着するかと思われたが、前期はまさかのA2陥落。いったい何が原因だったのか。

 「(1月の)戸田周年でフライングしてから3節連続で転覆ですからね。悪いリズムの切り替えができてません。それにレースも完全にヘタになってます(苦笑い)。締められる展開が多くて早く落として回るクセがついた気が…。とにかくハンドルを切る位置が浅すぎます。リプレーを見ててもまたやってるわって感じで、自分でもわかってるんですけどね」

 頭の中ではわかっていても体が思うように反応してくれない。こんな状態がずっと続いているようで5月の住之江戦はラピートC、ルーキーシリーズいずれも予選落ち。以前の巧妙なハンドルさばきが完全に影を潜めているのだ

 「技量もあると思うけど、気持ちの面が一番大きいと思うんで、そこを軌道修正しないとアカンっていうのはずっと思ってます」

 “役者”がそろった今回の太閤賞はかなり厳しい戦いになるか。いや、逆に開き直っていければ案外好結果が生まれることだってある。

 「まずは太閤賞までにスランプを脱出しときます。記念レースは何回か走ったけどエンジンさえ出てればやれそうな感じはあったんでね。ラピートで浜本裕己がメッチャ良かったやつ(39号機)を引きたいですね。ボク自身、あきらめは悪いほうなんで道中はしつこく食らいついていきますよ」

 どちらかというとネガティブな“オノっち”だが、今回ばかりはポジティブ思考で「いい結果が出せるように最低予選突破を目指す」。思い切り暴れてもらいましょう。

◎山崎郡 気負わずに思い切って走る

 ロードレーサー(2005年鈴鹿選手権GPチャンピオン)からボートレーサーへ“転職”してからもレースセンスに陰りはない。昨年あたりからその名の通り“ぐんぐん”頭角を表してきた。

「デビュー当時はこの世界でもやれるって思ってたけどアタマを叩かれました。その厳しさがわかった時にポンッと一気に上がる感じ。意外と早くA1になれたんで自分ではビックリしてます」

 現在は“住之江のフレッシュルーキー”として注目度も高い。2期連続でA1キープ。昨年10月の唐津MB大賞(G2)では優出5着など記念メンバーが相手でも好勝負を演じている。

 「A1キープは良かったんですが、今年に入って記念で結果を残せなかったのが心残り。まあ実力不足なんで仕方ないんですけどね。記念ではけっこうもまれましたよ。とくにエンジン出しが全然違ってました。でも条件さえそろえばG1でも戦える感じはしましたよ」

 機力互角ならある程度の勝負はできる。気になるのは抽選運。これが近況芳しくない…。

 「ホント“引き”が悪いですね。特にここ2、3カ月はまったくで」

 確かに5月ラピートCの時は凡機に大苦戦。何をやっても効果が出ず、あげくの果てには4日目落水で大事をとって帰郷するほど。前回のルーキー戦も2連対率21%のエンジンが思うような仕上がりにならずまさかの予選落ち。それでも前向きにコメントしてくれた。

 「悪いエンジンをどうやって仕上げるかも勉強と思ってるんで。そこはポジティブにとらえてやってますよ。でも太閤賞はいいエンジンを引きたいですけどね(笑い)。39号機かもしくは初下ろしで興津藍さんがメッチャ出てた8号機を引きたいですね」

 地元の大舞台、周りも猛者ばかり。経験値の低い山崎にとっては無欲で臨んでもらいたい。

 「地元やからといって気負う感じじゃなく自分をコントロールできればいいなって思ってます。楽しみにしてたんで気持ちが空回りせんようにしっかり走りたいです」

 やったれグンちゃん!

◎先行予想

 地元“住之江軍団”は精鋭10人がスタンバイ。初日ドリーム千成賞1&3号艇の松井と田中、2日目ドリーム関白賞3&4号艇の太田と石野に加えて湯川、丸岡とSGウイナーを擁している。なかでも5月のSGオールスター(福岡)Vで賞金ランク2位にジャンプアップした石野はグランプリ出場にメドが立ったのが大きい。5年ぶりの地元周年Vが有力だ。ほかにも田中が10位、松井が13位、湯川が18位とモチベーションが高くなる賞金ランクにつけている。

 遠征陣ではクラシック(児島、優勝)→オールスター(福岡、転覆)と今年のSGで連続優出するなど賞金トップに立っている桐生が最有力だ。住之江は昨年夏の太閤賞→高松宮記念→グランプリと3連続優出中と水面相性も良くなっている。

 あと、今年ここまで好調なのが原田で1月・下関周年、4月・大村ダイヤモンドカップと優勝している。また、菊地が2月・浜名湖周年Vなどで原田(7位)の上を行く賞金5位。優勝から見放されているもののG2以上で6優出の峰が賞金8位。この中では峰が住之江実績◎だ。

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