G1周年記念競走展望

【下関G1競帝王決定戦】長州秋の陣 円熟の今村が魅せる

[ 2014年10月22日 05:30 ]

キャリア33年のベテラン、地元の御大・今村豊
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 還暦周年に精鋭50選手が集結する。ボートレース下関G1開設60周年記念「競帝王決定戦」はあす23日に初日をオープン。28日に優勝戦が行われる。“熱い夏”若松でのボートレースメモリアルの光景が甦ってくる。そのシリーズでベスト6に名を連ねた寺田祥、谷村一哉。地元の御大・今村豊も顔を揃える。紅葉が彩りを増して深まってゆく秋に再び地元勢が熱さを取り戻す。初日と2日目の最終12RでWドリームも行われる今回の周年記念。来月、チャレンジカップの舞台もここ下関。その出場権も懸かる選考期間のG1レースはこの周年が最後。V争いはなお一層加速する。

◇久々の下関周年Vなるか

 ダービー(とこなめ)が終わったと思ったら、今度は下関周年。ダービーが台風で1日延びたため“中1日”で前検日を迎える。ただ、今村にとって下関は純地元。通算127Vのうち36回が下関。その中にはG1 7回、G2 1回が含まれている。ダービーの疲れは残っているだろうし、ダービー前の住之江(高松宮記念)で前検日にリタイアした原因となった右足首痛も気になる。

 「病院で診てもらったら関節痛ということでした。薬をもらって飲んだら、もうなんともない。心配していた痛風でなくて良かった」

 ダービーでは前検日から最終日までピット内を走り回る姿も見せて報道陣を安心させたものだが、そのダービーでは右足はなんともなかったが、肝心の“足”が頭痛のタネだった。

 「出足、回り足、道中の乗り心地はいい感じだったけど、前検から最終日まで伸びが弱かった。スリットで前にいても内から伸び返されるので捲るのは難しかった」

 それでも初日ドリームを3着で滑り出すと2日目以降を41335と粘り強く走って予選を17位で通過。準優にコマを進めてみせた。準優は足負けして4着ながら存在感は十分だった。

 ダービーが終わった時点の賞金ランクは11位。グランプリ(賞金王決定戦)は今年から出場枠が昨年までの“12”から“18”に増えている。かなり有望と言えるが「年末(グランプリ)は関係ない。ダービーでも下関の周年でも“今節”に集中するだけ」と、キャリア33年5カ月の大ベテランらしく目の前のレースに集中している。

 今年、下関は2月の中国地区選手権、3月の59周年、5月のGW開催、8月の一般戦と4節走っているが、優勝はない。G1は地区選が準優3着で59周年は準優で妨害失格と優出できなかった。意外にも12年前の48周年V以降、下関周年のタイトルから見放されている。そろそろ今村に女神がほほ笑んでもいいだろう。

◇展望

 若松での熱い戦い再び!?第60回ボートレースメモリアルでは山口勢の躍進が目を引いた。白井がSG14回目の優出にして初Vの栄冠に輝いたそのシリーズ、寺田に谷村も優出。谷村はインから07のS。寺田は3カドで同じく07のタイミング。しかし白井は00のタッチSでスリット通過。寺田は3着、谷村は6着に終わった。

 場所を下関に変えて再度、地元・山口勢がぶつかり合う。寺田は前回の下関59周年の覇者。3コースから差し切って3年前の下関56周年以来2回目でG1では通算4Vとなった。毎年のように気温が下がる秋口から冬場にかけてペースを上げてくるタイプだ。谷村は年頭に11月当地で開催となるチャレンジカップの出場を目標にすることを口にした。9月の徳山周年で準優1枠をモノにできなかったのは心残りだが直前の徳山G3で優勝し今周年はチャレンジカップのラストチャンスとなる。

 今年、ベテラン健在をアピールしているのが今村。6月の福岡オールスターで優勝戦2着。浜名湖のグランドチャンピオンでは優出3着とSGでの最年長優勝記録更新は後一歩で逃してはいるものも勢いは加速している。

 近年のボートレース界をけん引している池田も注目しなければなるまい。前期、東海地区選手権で2本目のF。休みを消化して6月の浜名湖グラチャンでまたしてもFとややリズムを乱しているのが気がかり。ただし、直前の地元とこなめダービーで優出し。これは池田自身にとって復調への大きな起爆剤となりうる。この勢いにあやかりたい。

 毎年、冷え込む季節を迎えると必ずペースを上げて来るのが田村。今年は年頭のからつ周年でG1優勝の先陣を切った。チャレンジカップ出場に向かって気合が入る。前回の当地59周年の優勝戦で2着だった吉田はその前の58周年記念の覇者だ。先月の下関一般戦では優勝戦で4着。相性もいいプールで活躍は必至だろう。

 田中、太田の大阪69期両者の存在も大きい。田中は賞金王決定戦で最多である3Vの強豪。SGでは5V。太田も賞金王に輝いたこともありSGで6V。2人でSGの勲章はなんと11個を数える。当地の周年を制した実績を持つのは今垣、市川、重成、吉川。

 若手では毒島がいち押しだ。昨年の9月に丸亀で開催されMB記念でSGウイナーに名乗りを挙げた。G1で2V、G2で1回の優勝。近況も乗れている。

◇モーター診断

 現在使用されているモーターは今年2月の中国地区選手権競走でおろされた。すでに20節がすぎてモーター相場もクッキリと色分けされてきた。勝率No.1は6・73の64号機。6・48の37号機。6・30の55号機がそれに続き、この3基が下関強力機のクリーンアップトリオと言えそうだ。

 64は2月・60周年記念で寺田祥が優勝。3月に川北浩貴、8月に山本修一、9月には川口貴久で4V。優出も8回を数えるエースモーターだ。37は7優出で3V。優勝者の顔ぶれは2月の今泉和則、4月のオールレディーの海野ゆかり、同月の平尾崇典と乗り手にも恵まれている。温水パイプが外れた5月からは優勝こそないものの4優出。温水パイプの影響も見られない。取り付けは跳ねて乗る選手が多く特徴的には伸び型のイメージを受ける。

 55はエース64と並び優出は8回と最多。ただ、不思議と優勝はない。2月の地区選では茅原悠紀が優勝戦で2着。その節には新ペラ基準となって最速の1分44秒1をマークしている。

 かつてのエース機候補だった36号機はやや下火。5月に守屋大地が初の準優入りを果たし、次節には本多宏和が優勝したが、先月に守屋大地が再びこのモーターを手にした時は勢いがなくなっていた。2日目のエンスト後に新ペラと換わっているのも不安材料。

 温水パイプが外れてからグンと機首を持ち上げて来たのが38に40。38は7月に大賀広幸と吉村正明の地元両者で2V。8月からも清水攻二、水摩敦が優出と加速している。40は温水パイプが外れてから5優出と勢いづいてきた。2月の井内将太郎と合わせて6優出。優勝はないものの優勝戦での5、6着もない。

 今周年から温水パイプが着用された多少の相場変動が見られるかもしれない。

◇初日ドリーム

 今村にとっては雪辱のドリームとなる。と言うのは前回下関の周年記念のドリームでは2コースの池田に差されて3連単は万舟券となったからだ。当地周年でのドリームは3連勝でストップした。巻き返しの先勝だ。太田は枠なりからツケマイか差しで自在戦。吉川は徳山の周年でFを切って当地チャレンジカップの出場資格を失った。その分も奮起したい。地元の寺田もカドで気合が入るところだ。毒島、田村はコースを動けばおもしろい。特に瓜生正義の欠場で繰り上がり出場となった田村は、大胆な進入から見せ場を作る。

◇2日目ドリーム

 池田は前回の当地周年でのドリームを差し切った。その時は事故点も高くて不安材料もあったがさすがだった。今回のドリームは1枠。ここ7カ月でインからの2連対率は90%を超える。この数字を信頼したい。インモンキーで押し切る。2コースで今垣が追撃。出足の仕上がり次第では池田に肉薄できる。坪井は自在の立ち回りが持ち味。1着とは言わずとも3着以内には顔を出しそうだ。下関59周年と中国地区選手権のどちらも優出4着と当地が好相性の山口も見せ場は作るか。カドなら森高も軽視はできず。繰り上がり出場の田中は進入次第になる。

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