G1周年記念競走展望

【福岡G1 福岡チャンピオンカップ】燃える池永「悔しさぶつける」

[ 2016年11月30日 05:30 ]

久田敏之
Photo By スポニチ

 師走の博多水面をトップレーサーたちが駆ける。ボートレース福岡開設63周年競走G1「福岡チャンピオンカップ」が12月1日に開幕する。年末のグランプリに出場する瓜生正義(40=福岡)ら地元勢9人と強力遠征勢が激しいバトルを繰り広げる6日間。地元のホープ池永太(31=福岡)が特に燃えている。得意のドル箱水面で上位陣に風穴を開けたいと決意を語った。

 ◎地元ダービー出場かなわず
 池永にとっては今年最後のG1競走となる。とにかく結果が欲しい。ドデカい花火を打ち上げたい。そんな気持ちを内にため込み、水上で爆発させる時がやって来た。
 「(10月の)ダービーが福岡で開催されるって決まった時から“今年の目標はダービー”って決めたのに、自分の力不足で出場できなかった。すごく悔しかったし、情けなくて…。出られなかった悔しさを周年記念にぶつけたいです」
 
 昨年9月の三国周年でG1初優勝。記念制覇は同期で一番乗りだった。この優勝がきっかけとなり、今年はクラシック、オーシャンカップ、メモリアルと三つのSGにも出場。順風満帆、誰もがそう思ったが、夏場以降、リズムは下降線をたどった。
 
「昨年が良かったので、まぐれと言われないように頑張りたかったし、気持ちは入っていたけど、迷いが成績に表れてしまった気がします。自分の調整を見失うことがありました」
 
 抽選運の悪さも原因だ。結果を求めるがゆえに不調の原因がエンジンではなく、ペラ調整ではないかと悩む時期が続いた。8月桐生メモリアルで良機を手にした際に予選突破(準優4着)と結果がついてきたことで、その疑いは晴れたというが、時すでに遅し。ダービー出場まであと一歩追い込みが届かなかった。
 
 「悪いエンジンを立て直せなかった自分の力量不足でもあるんですけど…。今は不調の原因が分かったので、リズムの方も最悪は脱したと思うし、ここからは上がるだけだと思ってます。いいエンジンを引いて、チャンスが来た時にモノにできるように。その準備はできています」
 
 池永が不調に苦しむ間、同じ福岡支部の同年代である篠崎元志、仁志兄弟、岡崎恭裕は年末の頂上決戦への出場資格を得た。自然とモチベーションも高まってくる。
 
 「もちろんいい刺激になってます。グランプリが決して遠い存在じゃないことを知ることができた。でも、同県の同世代ということは、これから常に戦っていかないといけない存在。みんなに置いて行かれないように頑張りたい」
 
 秘めたポテンシャルと、ここ一番の勝負強さは彼らにも決してヒケを取らない。名前通りの“骨太”なレースで大物食いにチャレンジだ。

 ◎沈着冷静 久田
 イン天国が多い九州地区にあって、福岡だけは全国でも屈指の“イン弱”水面だ。それゆえ、高配当もバンバン飛び出す。本命党は頭を悩ませる一方で、穴党は歓喜の雄たけびを連発。ボートレースのトリコとなるファンも多い。
 
 もちろん、今大会も高配当はあちらこちらで飛び出すだろう。そこで注目の穴選手を紹介してみたい。それが群馬の伸び盛り久田敏之。10月の当地ボートレースダービーが待望のSG初出場だった。まだまだSGやG1では“家賃”が高いと思われている? いえいえ、決してそうではない。スタートは行くし、ターンも的確。だから評価が低いことは大いに歓迎する。オッズとのバランスを考えれば、コストパフォーマンスがめちゃ高いわけだから。来年はSG、G1で名を売りまくるであろう、穴党の味方に直撃インタビューを試みた。レースも熱いが、ハートも非常に熱い男だということがよくわかる。
 
―SG初出場だった福岡ダービーで見事に予選を突破。改めてダービーを振り返って。
 いろいろな感想があるけど、行って良かったというのが一番ですね。江口(晃生)さんが1勝しただけで、あんな笑顔を見せてくれるなんて思わなかったし、普段見られない先輩の姿を見ることができました。SGに1度出れば満足するかなとも思っていたけど、今はもう1回ダービーに出たいなと思ってます。
 
―ダービー出場は1年間安定した成績を残した証明。これだけの好成績を残せた要因は。 今、2人の後輩(金子賢志、中村聡志)の面倒を見てるんですけど、自分がやってるところを見て、何か感じてほしいなと。ボクはあまり、言葉でこうしろと伝える方じゃないから。わりと自分に負けてしまうタイプなんで、そういう“いいところを見せたい”という精神的に頑張ろうと思える部分があったのが大きかったかな。やっぱり後輩にも選手でいる限りは上を目指してほしいですから。
 
―今後の課題と福岡周年に向けた意気込みを。
 地道にやるのが自分らしさだと思うし、一般戦でも常に全力を尽くしたい。そうすればグレードレースに呼ばれる機会も出てくるだろうから。もちろん出るだけじゃなくて、記念でも結果を求めてやっていかないと。博多は正直ウネリもあって苦手だけど、予選は突破はしたいです。ダービーとはまた違うメンバーになるけど、頑張りたい。

 ◎先行予想
 大村チャレンジカップをもって、年末に向けた賞金レースもひとまず終結。グランプリ出場組はどれだけモチベーションを保てるかがポイントだろう。少なくとも大一番を前に危険なスタートは行けない。そういう意味では伏兵にも台頭のチャンスがある大会だ。   

とはいってもグランプリ組がシリーズの中心であることは疑いようがない。中でも地元大将格でもある瓜生は、10月にダービーを制覇し、史上初となる当地SG3勝目を挙げた。グランプリまで福岡→からつと得意水面でのG1が続く。勢いを加速させて大一番に向かいたい。

 対抗1番手には池田を挙げたい。大村チャレンジカップは勇み足に散ってしまったが、当地では今年いずれも数字のないエンジンを手にしながら9月一般戦V、ダービー優出(6着)と好結果を残している。
 
独特のウネリがある当地の場合、遠征勢は水面の得手、不得手が分かれる傾向があるが、山崎、辻、重成、坪井あたりは波を苦にしない。地元勢では篠崎元、岡崎、篠崎仁の勢いに注目したい。
 
 ◎注目エンジン
 6月のエンジン更新から半年が経過し、エンジン相場はほぼ固まった。上位機は似たような雰囲気で飛び抜けた超抜機はない。実績的には6優出3Vの59号機が一番だろう。展示タイムが出るように、直線系がいいエンジンだが、全体的なバランスも悪くない。70%を超える2連対率ほど抜けた印象はないが、直近使用者の三嶌誠司も軽快足で優勝している。
 
 ダービーで石野貴之が抜群足に仕上げた39号機の評判もいい。夏場まで乗り手に恵まれず数字はそれほどでもないが、素性は間違いない。
 
 その他ではダービーで坪井康晴が仕上げた68号機、出足と行き足に定評ある75号機、バランスのいい32号機を注目機として挙げておきたい。

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