G1周年記念競走展望

【尼崎G1 尼崎センプルカップ】芝田浩治 個性派ぞろいの兵庫支部引っ張る

[ 2016年11月8日 05:30 ]

芝田浩治

 今年の周年は賞金バトルが佳境の11月に行われる。ボートレース尼崎開設64周年記念G1「尼崎センプルカップ」は9日に開幕。全国から52人の強豪が尼崎に集結する。

 ◎芝田 ダービーでSG初優出 
 地元・兵庫支部から8人が参戦する。強豪支部ゆえに、周年に出ること自体が難しい。選ばれし8人は兵庫支部でもっとも輝いている精鋭だ。吉川、魚谷の二枚看板、尼崎を走りまくっている藤岡、吉田もキバをむく。今年好調の芝田、いつもレースを熱くする金子&鎌田もスタンバイ。山本も2年ぶりに尼崎周年に帰ってきた。まさに個性派がズラリ。  
 中でも今年は芝田が輝いている。すでに6V。9月の多摩川周年で久々のG1優出を決め、さらに先月のダービーではSG初優出。なかなかのブレークぶりである。特にダービー準優で太田和美、魚谷を競り落とした走りは熱かった。ただ芝田自身は周囲の“喧騒(けんそう)”とは一線を画している。
 
 「なんで調子がいいかってよく聞かれるけど、自分としては何も変えたつもりはないです。ペラのゲージも1年、同じものだし、何か新しい形があるわけでもないです」
 
 あくまでも自然体を貫く。芝田ほどのミドル世代となると、自らのペースは簡単に崩さないし、簡単に崩れないものだ。
 
 「安定した成績を残してダービーに出られたというのはやっぱり嬉しいです。しいて言えばエンジン抽選はいい方だと思います。まあ、今までやってきたことの積み重ねってことにしといて」
 
 職人・芝田らしいコメントである。そうは言ってもダービー優出後に迎える地元周年。周囲の視線も違ってくる。知らぬ間に予選上位で準優出、ダービーでも見せた芝田らしい足取りで尼崎もかっ飛ばしてもらいたい。

 ◎藤岡俊介 兵庫が誇るイケメン
 かつてイケメンレーサーベスト100という企画があった。今や男子のビジュアルも注目? 今節もイケメンがズラリと登場する。松井はまさに王道の男前。重成の端正なマスクも見逃せない。若手では岡村、深谷、佐藤あたり。韋駄天・桐生もベスト100に選ばれていた。レース場に足を運んで、ナマの彼らに声援を送る価値は大だ。
 
 そして兵庫が誇るイケメンと言えば藤岡の名前が挙がる。「顔をホメられたらそりゃ嬉しいですよ」と笑う顔は実にまぶしい。剛というより柔の男前。クリッとした瞳が生み出す優しい雰囲気にクラッとくる女性ファンは少なくないと聞く。
 
 もちろん顔が最大のウリではない。今、全国区へ飛び出しつつある有望株だ。何せスタートが早い。スマートなロケット砲とでも言えばいいか。特に尼崎だとキレ味は増す。ここ1年の平均スタートタイミングはコンマ13で、平均スタート順位は2・0位とはまさに強烈。先月の尼崎ではコンマ01で優勝を射止めた。
 
 「尼崎はファンの方もスタート行くと思ってくれてるやろうし、頑張って行きますよ。走る回数も多いので、どこのコースからでも大丈夫です」
 
 では、SG、G1でバンバン活躍するには何が足りないのか。本人いわく、旋回力に磨きをかけたいとのこと。「吉川(元浩)さんなんか、3コースからでもズバッと割って来ますから」と藤岡は言う。そこが身につけばG1でも好勝負は間違いない。まあ、今でもそれなりの旋回力はあるのだが。
 
 「今年は(優勝戦の)1号艇でしくじったこともあったし、もうちょっとやれたのかなと思います。でも、まだグランプリシリーズ(12月20日~・住之江)に出るチャンスはあるので、何とか尼崎で稼いで出たいです」
 
 まだ見ぬSGの舞台を空想する。さあ、勝負。まずは“イケてるレース”でファンを魅了してもらおう。その後の勝利者インタビューで、イケメンをとくとご堪能あれ。

 ◎“乗れてる男”赤岩善生 
 やはり“乗れている”選手の舟券は買いたくなる。近況勝率が高いということは、ペラ調整を心得ているということ、レースが見えているということ。今節の赤岩がそうだ。ここ3カ月、6カ月ともにほぼ8点勝率を残す。3カ月で6優出2V、6カ月で11優出4V。非常にコンスタントに走れていると言えよう。来年1月から適用される新勝率は堂々トップに輝いた。
 
 期待するのは4年半ぶりのG1制覇しかない。赤岩の実力を思えばG1を勝てないあまりに“空白”は長すぎる。今年前半までは確かにピリッとしなかった。それが最近は猛ラッシュ。8月の桐生SGメモリアルにおいて、蒲郡代表に選ばれなかったことが発憤材料になったのかもしれない。今年1月から5月までの勝率は7・16に対して、メモリアルのメンバーが発表された6月から10月までの勝率は8・10。その差は明白だ。好調な今、久々の歓喜をつかみとっておきたい。
 
 他では鎌田も好調だ。ここ3カ月で8点を超える勝率で、4優出3Vと勝負強い。それゆえにダービー準優Fがなければ…と思ってしまう。西島、松井、吉田俊、桐生が最近は8点前後の勝率。覚えておきたい。

 ◎F2深谷にあえて注目
 G1だけにスタート自慢がズラリ並ぶ。たとえば平均タイミングがコンマ17なら遅い部類。コンマ13、さらにコンマ12の選手も少なくない。吉田拡、若林、藤岡らがコンマ13(今年1月以降。以下同様)。原田、深谷、山田はコンマ12という極限の領域に足を踏み込んでいる。その中ではあえて深谷に注目したい。

 あえてと言ったのは、深谷は“隠れF2”で登場するからだ。先月のびわこで2本目のF。「期末なのをもっと頭に置いておかないといけなかったですね…」と反省した。11月に新期を迎えて足かせはとれたものの、60日のF休みを残している。次にFを切ると、休みは90日に延びる状況だ。それでも深谷ならきっとやってくれる。マスコミが隠れF2と騒いで人気が落ちれば、むしろおいしい。深谷のスタートに対する“一家言”を聞いてもらおう。
 
 「スタートタイミングもそうですけど、全速でスリットを通過できる方が大事だと思ってます。あと(レース合間の)スタート練習には必ず参加します。展示と本番での誤差を修正するのは本当に感覚なんです」
 
 感覚という言葉に力を込める。何走もした上でコンマ12という数字を残す深谷は、まさに研ぎ澄まされた感覚の持ち主。その感覚は60日の休みを残すという苦境をも凌駕(りょうが)する。平均スタート順位も2・4位と抜群に早い。若きスタート王のド派手なパフォーマンスを楽しもう。

 ◎先行予想
 エンジン抽選前に優勝争いの原稿を書くなんてナンセンス、との批判には目をつむってV争いを占っていこう。尼崎と言えば松井。松井と言えば尼崎、とは言わないが、やはり優勝候補の筆頭に上がってくる。勝てば今年の1月に続いて、尼崎周年5V。地元選手以上の強さは何なのか。もはや地元住之江をしのぐ強さを誇る水面で、確実に王者は輝きを見せる。
 
 さあ、地元勢は王者の進撃を黙って指をくわえて眺めるのか。もちろんそうではない。二枚看板の吉川、魚谷が敢然と立ち向かうし、ダービー優出で今年絶好調の芝田もシブい働きを見せるに違いない。尼崎を走りまくる男・藤岡ら層の厚い地元軍団は舟券作戦においても必須の存在。彼らが好モーターを引けば、評価は3倍増になる。
 
 遠征陣では賞金ランク上位に付ける桐生、井口が有力となる。2人とも尼崎ではSG制覇の経験あり。得意水面などという陳腐な言葉で片付けるのは失礼なほど相性は悪かろうはずはない。さらに毒島、原田も尼崎では手堅い走りをいつも見せてくれる。若手からは岩瀬、木下、丸野にご注目を。伸び盛り、働き盛りなので、ビックリの大仕事、大穴を開けるシーンを楽しむことができるかもしれない。 

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