G1周年記念競走展望

【児島G1 児島キングカップ】平尾崇典 地元記念に燃える!

[ 2016年12月2日 05:30 ]

平尾崇典
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 今年の児島周年は12月3日に開幕する。来春のSGクラシック(3月15日~20日)を控えるボートレース児島。出場権を持たない選手には熱い勝負となる。特に岡山勢の気合はハンパではない。今のところ、出場権を持つ地元からは茅原悠紀のみ(F休み中)。地元ファン、関係者は1人でも多い地元勢の出場を望むことか。今節はエースの平尾崇典、今年好調の妹尾忠幸ら8人衆。何が何でもの気持ちで挑む。

 ◎地元エース平尾
 茅原悠紀がいない。吉田拡郎もいない。でも平尾崇典がいるっしょ!! 地元勢ラインナップを見れば、地元エースの称号は平尾のもの。これには異論なしか。ただ、ここ最近はピリッとしない。今年走ったG1は3節のみ。SGも昨年のメモリアル以来、ごぶさただ。

 「フライングとかケガでなかなかリズムに乗れませんね。ここ2年はけっこう苦しかった」
 
 事故を重ねて苦しい時期を過ごした。ケガとフライング。種類の異なる苦境はさすがにつらい。
 
 「一昨年に腰の骨を折ってからは、1年ぐらい痛みを抑えてレースをしてたし、それを考えればしのいでいる方だと思いますよ。奇跡的にA1もキープできてますし」
 
 苦しくたって悲しくたって水面の上では平気なの、というわけではないが、数字の上では復調を印象づける。前期は3期ぶりに7点台の勝率を回復。一般戦に限れば、ここ10節で7節の優出を数えた。長身から繰り出す本来の華麗なレースが絶賛復活中? それはさておき、今回の地元G1でもやってくれそうな気はする。意気込みのほどは? クラシックの権利にアタックしますよね?
 
 「そりゃあ、地元でクラシックがあるんで、1月1日には年間5Vをノルマに、頑張る気持ちはありましたけどね。でも、今回の周年は出られてラッキーで、別にクラシックの権利を取るために走るわけじゃないです」
 
 素っ気ないというか、これがいかにも平尾らしい。ひょうひょうと、そして自然体。変な気負いは似合わないし、眼光ギラギラというタイプでもない。ただ、クラシックという言葉はハートに響かなくても、児島というワードには鋭く反応。児島育ちの平尾にとって聖なる崇高な水面なのだ。
 
 「児島では常にファンが見てるんで、いつも以上に一生懸命になりますよ。児島育ちはボクと(山本)寛久だけと思うんでね。あっ、あと黒明(良光・元選手)さんと」
 
 児島のスタンド、広大な風景を目にすると、穏やかなハートが揺さぶられる。モチベーションは大盛りから特盛りにアップ。熱き思いは誰にも負けない。だからこそ、今大会も期待するのだ。
 
 「もし優勝することがあれば、オマケみたいなもんですよ」と最後まで“らしい”コメントを貫いた。オマケでも褒美でもいい。児島のファンは祈る。児島SGにアナタがいてほしい、と。水面に女神がいるのなら、きっと平尾の背中を後押しする。優勝すれば感動的な表彰式となるだろう。

 ◎妹尾忠幸も期待大
 今年は一つステップアップした。真夏のメッカG1太閤賞。好モーターを背にG1初優出を決めた。準優5号艇から2着に奮闘。ファイナルは6号艇で優勝を逃したものの3着に入った。この舟券絡みこそ価値がある。
 
 「自信というか、G1で優出すれば“稼ぎ”がいいことがよく分かりました。グレードレースでのモチベーションは上がりましたよ。いい成績を残して稼げるようになりたいと思いました」

 プロの値打ちを測る上で、賞金は重要なバロメーターとなる。ましてボートレースは賞金ランクの持つ意味はでかい。これで“欲”が出たというなら、もうワンランク上の階段を目指せるというものだ。実際に住之江後は優出ラッシュ。2回の優勝も飾っている。今、間違いなく調子はいい。
 
「夏場はエンジンの引きが良くなくて四苦八苦しました。でも9月から調整がいい感じでできるようになりましたね」
 
 悪いエンジンに乗り、悪戦苦闘することで調整の“引き出し”が増えたのか。9月以降はエンジン出しに苦労することはないと言う。ならば地元の児島ならなおさら期待は大きい。ですよね?
 
 「実は児島の調整は苦手なんです。他の場は3日目ぐらいに方向性が定まるんですけど、児島は5、6日目に分かることが多いんですよね」
 
 意外な答えが返ってきた。地元だからといってスパスパ調整がハマるものではないのだ。

 「前回の児島(お盆シリーズ)の方向性に決めて調整するつもりです」
 
 現状の調子を思えば、よほどのオンボロエンジンでも引かない限り、調整を合わせてくるのではないか。バチッと仕上げれば期待大。優勝=クラシック切符に向かって走らなければならない。
 
 「SGには出てみたいですよ。簡単ではないけどそれが地元なら…」
 大言壮語は妹尾に似合わない。ただチャンスがあれば穫りに行く。地元で輝いてもらいたい。

 ◎荒井輝年、A2落ちを奮起材料に
 地元勢で誰よりも奮起を期すのが荒井か。来年1月からはA2。思うように物事が進まないもどかしさに浸かっている。

 「A2に下がるし、最近はモチベーションを維持するのが難しいです」
 
 さすがに苦悩の色は隠せない。ただA2落ちが発憤材料となり、次の期に稼ぐ選手は多々いる。笠原亮などはかつてA2に落ちながら今の地位。最近では鎌田義はA2陥落後に奮起して、先の福岡ダービーに高勝率で出場するに至った。荒井もその可能性はある。

 「ペラはまあまあですよ。乗り心地重視で調整はしています。冬場になればいい方ですし、最近はエンジン勝率以上に出せていると思います」
 
 どうやら得意シーズンに差し掛かっているようだ。さあ、稼ぐぞ! そういう意味でも地元周年で奮起したいところか。
 
「地元で走る回数は多いけど、記念だし難しいでしょう。ペラもうまくたたけないと、すぐに置いて行かれますから」
 
 景気のいいコメントは出なかった。自らの置かれた状況を鑑みればやむなし。謙虚な気持ちで大仕事を狙うスタンスか。
 
 「欲を出さず、1走1走やれることをやっていくだけです。気負わず、無理せず行きますよ」
 
 荒井にはキレ味鋭いハンドルと、意外性という魅力がある。何とか地元G1で存在感を―。クラシック切符に少しでも接近してもらいたい。

 ◎2年前の覇者、川崎智幸
 2年前の覇者が背水の思いで地元の周年を迎える。「何としても出たいんですよ」と昨年の段階から語っていた地元SGクラシック。川崎はここまで一般戦での優勝もなく、出場権はない。次にいつ児島でSGをするか分からないし、自身も年齢を重ねて、出場権利獲得は正直、厳しくなっていく。まさにこの周年は川崎にとって総決算の6日間。失う物はないとまでは言わずとも、それに近い気迫で挑むのではないか。まだまだファンを魅了できる。一世一代の大駆けを期待したい。

 ◎先行予想
12月のG1というのは選手のモチベーションは下がりがちとみる向きもある。ベスト18が決まった後。さらに、そのベスト18組は次なる大舞台を目前にして、目イチの勝負をかけることはない。スタートしかり、道中で競った場合もしかり。万全の状態でグランプリに向かいたいものなのだ。
 
 逆に来春のクラシック出場権がない選手たちはモチベーションが高くなる。それが逆に12月のG1をおもしろくしていると言えないか。ベスト18に決まっている選手は自然と人気を背負うもの。彼らを軽視し、クラシック出場権がない選手を狙えば、思わぬ好配にありつけるかもしれない。
そんな中から注目したいのがドリームに選出されながら、クラシック出場権がない守田であり、原田であり、今村だ。クラシックの権利を狙うチャンスはもう少ない。ビシッと仕事をするか。

 もちろん地元8人のモチベーションも“激高”である。まずはいいエンジンを引くこと。あとは番組マンに“誘導”してもらい、そして最高のパフォーマンスを見せて、地元SGの出場枠を誰かが勝ち取ってほしい。

そうは言ってもベスト18組、特に松井と菊地のネームバリューはいかんともしがたい。大舞台を控えながらスタートをビシッと行き、レースでも攻めるのなら、まさにあっぱれ。そんなベスト18組が優勝するようなら、リズム良く挑む本番でも好結果を残すだろう。

 ◎エンジン診断
 現行モーターは1月から使用されて11カ月。相場は完全に固まっている。中国地区選手権、マスターズチャンピオン、周年記念と「児島3冠」をすべて優勝した昨年の46号機のようなスーパーエース機は、今年は存在しない。

 主な使用者がB級選手でも2連対率50%近い17号機が最も好素性。温水パイプ装着後初戦の10月末一般戦では、若狭奈美子が抜群の実戦足を見せていた。優勝も最多の3回を誇る。

 64号機は夏場の中だるみを脱して秋口から再浮上。10月末の混合戦で山崎義明が、軽量級の女子選手を相手に伸びで圧倒していた。15号機は10月のオールレディースで守屋美穂が優勝。温水パイプ装着後も北村征嗣が上位級に仕上げるなど、リズムは上位2基を上回っている。伸び型の38号機は温水パイプ装着後は出足、回り足も強化された。

 2連対率は高いが下がり目なのは59号機。直線に威力を発揮していたが、事故などもあって「ストライクゾーンが狭くて、何をしても出るという信頼感は置けない」という選手評だ。47号機も数字を考えると優出は少ないし、目立った気配もない。中堅上位級だ。  
 
 直前の上昇機は13、46、68号機の3機。13号機は回った後の出足と行き足で他を置き去りにする迫力。46号機はパンチの効いた直線がウリだ。2節前V機の68号機は、出足関係が抜群になった。今節は干満差は小さいが、レース中盤から後半戦にかけて満潮が来る潮回りでレースが行われる。

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