G1周年記念競走展望

【からつG1 全日本王者決定戦】峰竜太に続け!地元期待の宮地&武富

[ 2018年4月2日 05:30 ]

エース峰に続きたい佐賀支部の宮地元輝
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 濁点あるなし関係なしに“がばい”の2人が、地元で名前を売る。3〜8日までからつボートで「開設65周年記念 G1全日本王者決定戦」が行われる。全52人中21人がSG覇者と豪華メンズが集結するが地元佐賀勢8人も黙ってはいない。中でも吉野ケ里遺跡のある神崎市唯一の“大物”レーサー、宮地元輝(31)は初の「G1狩り」に気迫十分。1月の64周年で優勝戦1枠でG1初優出も惜敗した武富智亮(29)も再挑戦へ、機は熟している。「ミヤチ」と「タケドミ」は、城下町水面から全国区となったエース峰竜太に続く。

 ◎“邪馬台国”の男 宮地元輝

 宮地が2年ぶりに地元周年に戻ってきた。初参戦となった16年1月の61周年では、3着1本、1着なしで予選敗退。周年での初1着は、持ち越しとなっていた。その後、悔しさをぶつけるかのように同年7月一般戦で8戦5勝、オール2連対で優勝。2度目の参戦となる今節まで、からつを11節走って、5優出1優勝。着実に結果は出ている。

 「からつは乗り慣れている水面です。よく練習もさせてもらいました。全国で1番、場に合っている乗り方ができると思う。熱い思い、というわけじゃなく、感謝の気持ちで走っている感じの方が強いですね。久々の周年ですし当然、いいレースがしたいですよ」。

 3月1日終了の「G2からつMB大賞」にも参戦。「いまいちペラが仕上がらなかった」と予選敗退となったが、9走平均のSタイミングはコンマ10。地元で“らしさ”を魅せ、春時期の調整も再確認ができた。

 県東部の神崎市出身。近所には弥生時代の稲作文化を復元した日本最大とも呼ばれる吉野ケ里遺跡があった。「歴史公園の近くで、いつも遊んでました。実家近くの家は40軒のうち、30軒は“ミヤチ”姓ですが、まだ神崎市の出身選手は僕だけなんですよね。増えて欲しいし、何とか盛り上げていきたいんですよね」。

 ボート人気漫画「モンキーターン」を読んで興味を持った「邪馬台国」産の男は、6度目の受検でやまと学校(現ボートレーサー養成所)に合格。ボート王国の100期生として07年に覚えやすい登録番号「4445」の歴史は始まった。

 登番の一つの前「4444」は、同期の桐生順平。訓練生時代は毎日、整備訓練や2艇旋回などでいつも一緒だった。「順平とは1番、一緒にやったし僕にとっての、いい物差し、目標。いい刺激であり指針。一緒の斡旋になりたいと思うし一緒に走り続けたいと思う」。桐生は、17年末の住之江グランプリを初制覇し新世代の「王」となった。今節地元で一緒に走ることになる。宮地のカンフル剤は、横にいる。

 「スピード落とさず、抵抗なく回れるように仕上げる。回り足型に仕上げることを意識している」。得意なのは5コース戦。「そこは人並み以上だと思う」と自信はある。「地元にはお世話になっているので、結果を出したいですね」。“伝説”デビューから12年目。宮地はからつ水面に、次は歴史を刻みに行く。

◎武富智亮 1月からつ周年のリベンジを

 もう涙は、ない。“タケドミ物語”の続きを、自らの手と足で刻みに行く。武富は初のA1級となった今期、1月24〜29日のからつ周年に初出場。初日から3連勝と勢いづくと、予選を首位通過。準優も難なく逃げて地元G1初優出で、優勝戦1枠を手にした。

 「周回展示も問題ないと思ったが、あそこだけ…。異常なくらい、鳴いた」。

 出走開始ブザーの瞬間に相棒36号がまさかの異常回転。ピット離れで後手に回り、白カポックは3コース進入となった。インを2枠の新田雄史に取られ、コンマ17のSで捲りに行ったが新田は、同14の見事な踏み込みで1M抵抗。両艇は流れ、64周年覇者を4コースの前本泰和に拾われた。

 「終わってみれば捲り差しだったかなと。ただ、捲ると決めていた。“泣かない”と決めていたけど、ピットで佐賀の先輩たちが声をかけてくれたり、家に帰って妻が“よく頑張ったね”と言われたときは、かなり泣いてしまいました」。

 ただ悔し涙は一滴も無駄にはしなかった。続く平和島ルーキーシリーズ。イン戦速攻で通算2度目の優勝を飾ると翌節宮島一般戦ではオール3連対締め。3月1日終了の「G2からつMB大賞」では雪辱のインで2戦2勝。予選敗退となったが「1走1走への気持ちが変わった。弱気はなくなった。また、チャンスがある。大きいことは言えませんし“優勝します”とかではない。ただ、通用するように結果を残したい。走る限り、チャンスをつかみたいと思う」。2度目の地元周年へ、機は、熟した。

 ボートレーサーとしての目標に「SGカッパを着る」と記している。同じ103期の小野生奈や深谷知博に先に着られた。「刺激にはなるが、面白くない、悔しいって気持ちもある。結果を残して強い選手と戦いたいし、着たい」。地元G1覇者となればカッパ着用の道は開ける。色白、美肌の武富には似合うはずだ。 「どの場でも1、3、5コースはトップSを狙っています。特にからつでは負けたくはない。36号をもう一度引いて、リベンジ。気持ちは、折れませんよ」。武富は1月29日の忘れ物を取り戻し、勝って泣く。

◎総展望

 佐賀支部の総大将・深川真二が不在のシリーズということもあって、峰竜太(33=佐賀)に寄せられる期待は高まる。1月の64周年記念は準優で妨害失格。いかに平常心を保てるかが悲願達成へのカギを握りそうだ。

 対抗一番手には桐生順平(31=埼玉)の名前を挙げたい。例年春先のタイトル奪取が多いが、今年はまだ無冠。そろそろギアを上げてくるか。

 白井英治(41=山口)の安定感も光る。3月クラシックでは優勝戦1号艇で敗れはしたが、減量の効果は抜群。現行エンジンの調整法も完全に手の内に入れている。

64周年記念の覇者前本泰和(45=広島)は連覇を狙っての参戦。エンジン出しには定評があり、注目度の低いエンジンでも一変させることが少なくない。

 伏兵では当地相性がいい安達裕樹(35=三重)、パンチ力のある走りが魅力な坂元浩仁(32=愛知)、コース不問の走りが信条の前沢丈史(32=東京)の走りに注目したい。

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