車いすインフルエンサー・中嶋涼子さん イオンシネマの従業員の対応告発の一部を訂正

[ 2024年3月29日 14:57 ]

「イオンシネマシアタス調布」公式サイト(https://www.aeoncinema.com/cinema/chofu/)から

 車いすインフルエンサー・中嶋涼子さんが29日、自身のSNSを通じ、シネコン「イオンシネマ」に対する告発について一部内容を訂正し、改めて説明した。

 中嶋さんは多くのテレビ番組に出演し、YouTube、講演活動など幅広く活動している車いすインフルエンサー。15日、自身のX(旧ツイッター)に、イオンシネマで映画を観賞した際の出来事を投稿。これまでは「一人で見に行って映画館の人が手伝ってくれてた」が、この日は観賞後に従業員から「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえるとお互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか」と言われたとし、「なんでいきなりダメになるんだろう!悲しさを通り越して今は行き場のない怒りに変わってきた。その時に言い返せなかった自分にも腹が立つ。イオンシネマの社長と話し合いたい」と告発していた。

 これを受けてイオンエンターテイメントは「弊社従業員による不適切な対応に関するお詫び」と題した文書を発表。「お客さまは楽しみに当劇場にお越しいただいたにも関わらず、不適切な対応により大変不快なお思いをさせてしまいました。弊社の従業員への指導不足によるものと猛省しております」と謝罪し「従業員へのお客さま対応の教育再徹底と再発防止策を講じると共に、設備の改善を進め、お客さまの信頼回復に努めて参ります」としていた。

 この日、中嶋さんは「先日『イオンシネマ シアタス調布』のグランシアターでの出来事について書いたSNS投稿に関連し、様々な意見や誹謗中傷などが飛び交う中で、誤って伝わってしまっている部分もあるのでいくつか訂正させていただきます」と投稿。

 中嶋さんの説明は以下の通り。

後日改めてイオンシネマの方と直接お会いして、今後の映画館でのバリアフリー対応についてお話する機会をいただきました。イオンシネマさんにご了承を頂いた上で、その話し合いについてのご報告もさせていただきます。

投稿した文章では正確に伝わっていなかった点

【1】見たい作品がそのスクリーン(「グランシアター」)でしか上映していなかったこと

私は映画が大好きで、毎週のように映画館に通って映画を鑑賞しています。今回は、映画「52ヘルツのクジラたち」が観たかったのですが、「イオンシネマ シネタス調布」ではこの日、「グランシアター」と呼ばれる、足を上げて背もたれをリクライニングできる少しお値段の高い(一律3000円)タイプの劇場(スケリーン)でしか上映していなかったため、グランシアターで鑑賞しました。

【2】グランシアターでの鑑賞は初めてではなく、4回目だったこと

「イオンシネマシアタス調布」のグランシアターで映画鑑賞をしたのは今回が初めてではなく、4回目でした。2021年11月に初めてグランシアターで鑑賞した時も、観たかった映画がグランシアターでしか上映していませんでした。グランシアターには車椅子席がなく、また、一番アクセスしやすい座席まででも4段の階段があるため、この時は、もしグランシアターでの鑑賞が難しいようだったら、別の作品を観ようと思いながら、映画館に行きました。

無理かもしれない、という心配に反し、チケットを購入する際に、イオンシネマの方が「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてくださいました。そこで、車椅子を持ち上げて座席までの4段の階段を運んでもらえないかお願いしたところ、快諾してくださいました。車椅子から座席への移動は自力で行い、グランシアターで鑑賞することができました。

イオンシネマの方がお手伝いをしてくださったことで、グランシアターのとても快適なシートで鑑賞できたことがとても嬉しく、感謝の言葉を何度もお伝えしました。また、車椅子で生活する私は、どうしても足の血流が悪くなりやすく、むくみや冷えにいつも悩まされています。グランシアターは、足を上げた状態で映画を鑑賞することができ(写真参考)、むくみや冷えの防止にもなるため、とても助かります。
その後も2回、同じようにグランシアターで映画を鑑賞した経験がありました。

そして今回も、それまでと同様に、スタッフの方にお願いをして階段を持ち上げていただき映画を鑑賞しました。

【3】「今後はグランシアター以外の「劇場」で見て欲しい」と言われた際の「劇場」の意味を「映画館全体」と捉えている方がいらっしゃいますが、「グランシアター以外の劇場(スクリーン)」という意味であること

上映後、映画館の方に「今後はこの劇場以外で映画を観ていただいた方がお互いに安全だし気持ちが良いと思うのですが」と言われたことに対し、「劇場」の事を「イオンシネマ シアタス調布全体」と捉えている方がおられますが、「グランシアター以外の劇場(スクリーン)」という意味なので、映画館自体に来ないでくださいという対応ではなかった事をご理解ください。以後「スクリーン」と表記せていただきます。

・映画鑑賞後、劇場から出るためにスタッフの方に階段をサポートしていただいた後に突然、「今後はグランシアター以外の劇場で映画を観ていただいた方がお互いに安全だし気持ちが良いと思うのですが」と言われた事。

・「今回が初めてではなく、これまでも3回ほどサポートしていただき、鑑賞したことがあるのですが」とお伝えすると、「スタッフに確認したところそのような経験はないとのことです」と一方的に事実を否定されてしまったのが悲しかったこと。

・今までお互い合意のもとお手伝いしていただきグランシアターでしか上映していない作品も鑑賞できていたのに、突然今後は見られなくなってしまった理由をはっきり言ってもらえなかったこと。

これらが納得できず、今後はグランシアターでしか上映していない映画を見られなくなってしまった事がとても悲しくて、どうすればグランシアターでの鑑賞が可能になるか、何か方法はないのか、イオンシネマの方々とお互いにきちんと話し合える場ができれば良いなという気持ちで投稿をしました。

上記の点が、一部、誤解されて伝わってしまっており、伝える際の自分の言葉が足りなかったことについて、今後、もっと言葉を考えて表現していこうと反省いたしました。

イオンシネマとの話し合いについて

後日改めて「イオンシネマシアタス調布」にご連絡し、突然グランシアターでの鑑賞が不可能になった理由をお聞きしたいこと、今後の映画館でのバリアフリー対策についてお話ししたい事をお伝えしたところ、3月23日に、「イオンシネマシアタス調布」支配人、イオンシネマ営業本部長、イオンシネマ東京大井エリア営業マネージャーの皆様と、今回の出来事について直接お会いしてお話しする場を設けて頂きました。

主に次の内容について、お互いの意見を建設的にお話しすることができました。

【1】イオンシネマさんが3月16日に出された文章の中で「不適切な発言」と書かれた部分については、「お互い良い気持ちでいられる」という発言について、「一方的な言い方であり、社内でもこれは問題だと言う見解になった」とおっしゃっていました。

【2】グランシアターで「今までそのような(車椅子を持ち上げるお手伝いの)経験があるスタッフはいない」と伝えられた事については、事実確認をきちんとしない上での誤った発言だったと説明してくださいました。

【3】今回お手伝いしてくれたスタッフの方の中に危なさを感じた方がいた為、安全面を考えて今後はグランシアターで車椅子を持ち上げるという行為については軽率にはしない方がいいのかなという考えに至り、今後はグランシアター以外の別の劇場(スクリーン)で鑑賞して頂きたいという提案をしたという事でした。

その上で、イオンシネマさんが現在協議を進めてくれている対策としては、

【1】(運営面)グランシアターには車椅子席がないため、別の時間帯で、車椅子席のある他のスクリーンでも同じ作品を上映するなど、選択肢を増やすことで、誰もが観たい作品を観ることができるよう、対策を考えていらっしゃるとのことでした。

【2】(ソフト面/人員面)これまでサポートの基準を設けていなかった事で混乱を招いてしまった為、緊急時の避難が安全に行えることを踏まえ、車椅子ユーザーがどのようなサポートが必要か今後検討していくとのことです。また、友人や介護者など、サポートして頂ける方がいる場合は「イオンシネマ シアタス調布」のグランシアターでの鑑賞が可能ということです。

【4】(ハード面/設備面)今回の出来事を機に、設備の改善を進めている段階です、との説明がありました。「グランシアター」を導入しているイオンシネマは全国で6箇所あり、車椅子スペースのあるグランシアターもあるそうです。「イオンシネマ シアタス調布」でも、今後ハード面を改善する事で車椅子でもグランシアターに入れる構造にできないかを話し合ってくれているそうです。

全国のイオンシネマの中には、簡易スロープや電動昇降機での対応をしている場所もあるそうで、今回のことを機に「イオンシネマ シアタス調布」でもそのような設備導入を考えてくださるとのことです。

私からは、階段数段分ならば簡単に取りつけ・外しができる簡易スロープなども普及しているので、グランシアターをはじめ、段差のある既存の施設でも、車椅子ユーザーがより広くアクセスできるような仕組みにしていただけたらという願いをお伝えしました。

このように、運営面、人員面(ソフト面)、設備面(ハード面)から、車椅子の方だけでなく、それ以外の全ての方が、グランシアターやそれ以外のバリアのあるスクリーンで鑑賞できる環境を整えていけるよう検討を重ねている段階であると伝えてくれました。

私の思い

今まで映画館のバリアフリーについて訴える場所がなかったので、企業と直接話し合うことができて本当に嬉しかったです。
イオンシネマ側もこちらからの提案に対して、「今後の改善点が分かり話を聞けてよかった」と言ってくださり、お互いに望むことやできることなどを話し合えたと感じます。
今の段階では、グランシアターで一人で映画鑑賞することは難しいようですが、サポートしてくれる友人と一緒にグランシアターで鑑賞する、もしくは車椅子席のあるスクリーンで鑑賞するという方向で、これからも「イオンシネマ シアタス調布」に通わせて頂きたいとお伝えしました。

みんなと同じように、車椅子でも「見たい時に見たい映画館で見たい映画を鑑賞できる」場所ができたら嬉しいです。今回のお話し合いで、その場所に少しでも近づけていけていたらと願います。

このような機会を設けてくださったイオンシネマの方々に重ねて感謝いたします。長文になりましたが、最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

2024年3月29日 中嶋涼子

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