香川照之長男が猿之助代役 19歳市川團子、熱演にすすり泣きスタンディングオベーションも

[ 2023年5月21日 05:25 ]

東京・明治座の昼の部公演「不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―」に出演した市川團子(C)松竹
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 香川照之(57)の長男で歌舞伎俳優の市川團子(19)が20日、市川猿之助(47)の代役を務めた。東京・浜町の明治座で上演中の「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」の昼の部「不死鳥よ 波濤(はとう)を越えて―平家物語異聞―」に主演し、中1日の準備期間ながらノーミスで大役を全う。多くの観客が感動して涙を流し、歌舞伎では異例のスタンディングオベーションで若きスターの熱演が称えられた。

 物語のラスト。自刃した團子が不死鳥となって転生し、天へと羽ばたいた。その姿を中村鴈治郎(64)ら共演者が熱い視線で見守りながら閉幕。満員の客席にはすすり泣く声が響き、終演後も約7分ほど拍手が鳴りやまなかった。

 平家の武将・平知盛が、壇ノ浦の戦いで敗れた後も生き延びて大陸に渡ったという物語。歌劇と歌舞伎が融合した舞台で、歌唱シーン、立ち回り、宙乗りなどを盛り込んだ約2時間15分の長丁場だ。

 当初は猿之助が演じていた。18日はやむなく中止となったが、公演の継続を目指し澤瀉(おもだか)屋のホープである團子に白羽の矢が立てられた。演出に関わっていた関係者によると、通しで稽古を行ったのは前日19日の昼のみ。團子は夜の部にも出演しており、少ない時間で台本を頭に叩き込んだという。

 作中には衣装も約10着ほど登場するため、團子の体に合わせるために猿之助が使用していたものを急ピッチで仕立て直した。同じ関係者は公演を見届け「團子さんの熱演は想像以上の出来でした。後世に語り継がれる舞台になった」と言葉を詰まらせた。

 猿之助はかねて「自分の体が元気なうちに後世に芸を伝えていきたい」と語っていた。その指導を受け、未来の澤瀉屋を担う存在として期待されていたのが團子で、思わぬ形でその役割を担うことになった。一門の危機を救うべく28日の千秋楽まで重責を背負っていく。

 ◇市川 團子(いちかわ・だんこ、本名香川政明=かがわ・まさあき)2004年(平16)1月16日生まれ、東京都出身の19歳。12年に東京・新橋演舞場の「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」で市川團子を名乗り初舞台。13年に国立劇場の「春興鏡獅子」の胡蝶役で国立劇場賞特別賞を受賞。

 ≪猿之助と重なる面影≫市川團子と市川中車(香川照之)親子の後援会に入っている60代女性が観劇に訪れ「團子さんを初舞台の時から見ていたので感無量でした。こんなに大きな役を堂々とやられて、涙なしには見られませんでした」と感極まった様子だった。本来は18日に観劇予定だったが中止となり、この日にチケットを振り替えた。「突然のことでショックです。でも團子さんの姿には猿之助さんの面影も重なりました」と目を潤ませた。

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