杉野遥亮 「どうする家康」山田裕貴との名コンビ 「真逆のところにいる」

[ 2023年4月1日 09:00 ]

大河ドラマ「どうする家康」の榊原小平太(杉野遥亮)と本多平八郎(山田裕貴)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「どうする家康」で家康(松本潤)の家臣・榊原小平太を演じている俳優の杉野遥亮(27)がインタビューに応じた。

 ──山田裕貴さんが演じている本多平八郎とのコンビが光っています。

 「とてもいいコンビだと思います。2人は真逆で、柔と剛、攻めと守り、平八郎が出て行く時は小平太が後ろで見ていたり、逆に平八郎が下がる時は小平太が出て行ったりします。バランスが良くて、撮影していても、こういう関係こそがコンビなんだと思います」

 ──これまで山田さんとの共演は?

 「こんなに一緒にお芝居をするシーンがあるのは今回が初めてです。誕生日(9月18日)が同じなので、運命的なものも感じます」

 ──山田さんはどんな俳優ですか?

 「僕とは違うタイプで、小平太と平八郎のように真逆のところにいるかもしれません。血気盛んというか、前へ前へと出て行く精神があると思います。それがこの作品にもそのまま表れている気がします。一緒にお芝居をして、後でモニターで確認した時、面白い映像が撮れていると、縁を感じたりもします」

 ──2月19日放送の第7回で、小平太と平八郎が一向宗徒たちの踊りの中で声をかけた相手が家康の母(松嶋菜々子)らで驚く場面がコミカルで笑えました。

 「あの場面は、どうしたら面白くなるだろうかと山田さんと2人で考えました。笑わせようとすると、エゴが出てしまうので、難しいところもあるのですが、面白いものを作りたいという気持ちは山田さんと合致しています」

 ──山田さんとのコンビだからこそ、面白さが出るのでは?

 「そう思います。だから、このドラマはキャスティングが凄い!と思います」

 ──小平太をどのように演じているのでしょう?

 「第6回(2月12日放送)で、ほかの家臣たちの前に千切れ具足で出て行く場面がありました。小平太はひょうひょうとして、きてれつなキャラクターなんですが、僕自身は最初の頃の撮影だったので結構緊張していて、ほかのみんなが撮影に慣れてきている空間に出て行くのがちょっと怖かったんです。でも、考えてみれば、あの時の小平太もそのような恐れを抱いていたかもしれません。そういう部分をリンクさせながら、その時の自分と照らし合わせながら役を作っている感じです。小平太はその場の空気を感じながら生きている人だと思うので、その演じ方がマッチすると思います」

 ──撮影開始前に小平太のことを研究しましたか?

 「大方の史実を頭に入れた上で、細かいところまでは入れないようにしました。この作品は時代劇としてクリエーティブなところがあるので、史実を自分の中に入れすぎると、現場で堅くなって柔軟に演じられないと思いました。自分が現場で混乱しないように、消化不良で終わらないようにしました」

 ──ほかの作品でもそのような役作りを?

 「作品によって違います。役者は心で表現する仕事だと思っています。例えば、台本に『ここで泣く』と書いてあっても、必ずしも涙を流さなくていい。心で泣いていることが伝わればいい。その人物を知るという意味では、表面上のことより、その人の心、思うこと、感じることを理解することが大事だと思います」

 ──小平太の心を理解しましたか?

 「時間がかかりました。まだ不安なこともいっぱいありますが、絶対に揺るがないものはできました」

 ──現場で役者としての新たな発見はありますか?

 「いっぱいあります。すてきな環境でお芝居をさせてもらって、もっと頑張らなければ、と思います。現場で先輩の方々のあり方を見ていると、自分はまだまだで、もっと追求したいと思います」

 ──最後に、杉野さんのファンへのメッセージをお願いします。

 「小平太は現代の僕たちに通じるところがあります。特に、心の成長、人との関わりという部分は共感していただけると思います。ぜひご覧ください」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2023年4月1日のニュース