昭和の大名人も舌巻く藤井王将の強さ「こんなに早くトップに立つなんて、信じ難い」中原誠16世名人語る

[ 2023年3月12日 16:52 ]

笑顔を見せる中原十六世名人(撮影・藤山 由理)
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 藤井と羽生の世紀の一戦を見届けた昭和の大名人、中原誠16世名人(75)は舌を巻いた。白熱のタイトル戦を制した藤井は、王将を初防衛。「デビューからこんなに早くトップに立つなんて、信じ難い」とうなった。

 これまで本紙は2度、藤井について中原に話を聞いた。20年7月の初タイトル獲得では「最強はちょっと褒めすぎ」としていたが、昨年2月の王将初戴冠の際には「間違いなく現役最強」とコメント。そして今回、ついに“トップ”という言葉が飛び出した。「若いパワーにあふれて、思わぬ手を指してくる。凄いとしか言い様がありません」と深くうなずいた。

 デビュー29連勝を皮切りに快進撃を続ける藤井だが、まだ20歳。「このタイミングで32歳上の羽生さんと対局できたのは大きなこと。学ぶことも多かったのでは」と話した。豊富な将棋の経験値に加え、タイトル戦に出る棋士としての盤外での立ち居振る舞い。中原自身も20代の時、24歳上の大山康晴15世名人との対局を重ねながら、棋士としての姿勢を身につけたそうだ。「これからの人生において、大きな財産になると思う」。タイトル防衛以上に意味のある勝負なのかもしれない。

 中原と藤井は55歳差で、もはや孫世代。一息つく間もなく、藤井は棋王戦、名人戦と過密な対局日程が続く。「大好きな電車にでも乗って、ぼんやりする時間を作ってほしい」とねぎらった。 (小田切 葉月)

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