「ワンピース」最新作興収150億円突破 Adoの歌声に導かれ ウタ×名塚佳織“新時代”の歌姫誕生

[ 2022年9月22日 05:45 ]

興行収入150億円突破を記念して原作の尾田栄一郎氏が描き上げた中心キャラクター・ウタの手配書イラスト(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
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 人気アニメ映画シリーズの最新作「ONE PIECE FILM RED」が20日までに興行収入150億円を突破した。同作で話題となっているのが、中心キャラクター・ウタ。その声優を務める名塚佳織(37)に役作りなど、作品の魅力を高めた秘話を聞いた。(糸賀 日向子)

 「ONE PIECE…」は先月6日の公開以来、多くの観客が足を運ぶ大ヒット。名塚は「他の現場に行っても“おめでとう”と言ってくださる。身近な人も見てくださり、うれしいです」とはにかんだ。

 原作の尾田栄一郎氏が総合プロデュースを務めた最新作で、ウタはシリーズ初登場。人気キャラクター赤髪のシャンクスの娘で、世界を歌で幸せにしたいという信念を持つ歌姫だ。歌唱キャストAdoが歌う主題歌「新時代」は「Apple Music」チャートで全世界1位を獲得。作品も公開から7週間連続で週末興行ランキング1位と社会現象となっている。

 その大役を名塚はオーディションで勝ち取った。合格の一報は電話で受けた。自分も好きな国民的アニメへの出演決定に「あまりに驚き過ぎて、電話を切って2、3時間後くらいに(実感が)じわじわ湧きました」と振り返る。

 しかし、喜ぶ間もなく数日後には原作の尾田氏が作成したウタについての資料が手元に届いた。幼少期から現在までのイラスト付きの年表や他のキャラクターとの関係性など、ウタの人生分のエピソードが詰め込まれたもの。綿密な役作りがスタートした。

 「思っていたよりかわいらしい配色で驚きました。一方で、セリフからは信念の強さを感じたので、その印象をミックスさせようと考えました」

 そのアイデアをさらに後押ししたのが、収録前に聴いたウタの歌唱キャストAdoの歌声だ。「凄くパワフルで、私自身と比べて音圧や呼吸が深い印象。その圧の強さが私が最初セリフから受けた印象にも近かったので、そこに波長を合わせていきました」

 結果、ウタを見るために映画をリピートする観客も続出するほどのチャーミングなキャラクターを確立。映画関係者は「名塚さんが声優としてキャラクターの心情などの側面、そしてAdoさんが歌唱の側面に魅力を与えたことが大ヒットの一因」と絶賛した。

 収録は主人公モンキー・D・ルフィ役の田中真弓(67)、赤髪のシャンクス役の池田秀一(72)と実施。「同じ時間を共有して同じ空気を吸って同じ絵を見て同じ空間に生きることを改めて教えていただいた」と振り返る。

 レジェンド2人が生み出した現場の雰囲気もまた、大ヒットの一因といえそうだ。「自分も真弓さんや池田さんのように後輩に緊張はさせないけど緊張感がある現場にすることを心がけて良い作品を作っていきたい」。声優界では地位を築いている名塚が誰もが知る存在へ大きな一歩を踏み出した。

 《公開から46日間 動員も1000万人超え》8月6日に封切られた映画は公開から46日間で1076万4822人を動員、興行収入150億円を突破した。配給の東映が21日に発表した。総合プロデュースした尾田氏からは今回の映画でヒロインを務めた歌姫ウタを描いた突破記念の特別ビジュアルが寄せられた。果たしてどこまで数字を伸ばすか注目される。

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