明暗この一手 里見に制空権渡さなかった徳田の▲8六金

[ 2022年8月19日 05:20 ]

編入試験第1局A図
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 里見香奈女流5冠(30)が18日、大阪・関西将棋会館で棋士編入試験5番勝負の第1局に臨み、試験官の先手・徳田拳士四段(24)に127手で敗れた。

 スポニチ本紙観戦記者の関口武史指導棋士五段は徳田の89手目▲8六金(A図)を印象的として挙げた。△8五桂、△9六香、△7六桂まで一手で封じ「制空権を渡さない、手厚い指し回し」と絶賛した。

 里見の「横軸」、徳田の「縦軸」の戦いとも表現した。振り飛車党の里見のとりわけ飛車に、横方向への動きを許さない。盤上に広く配した居飛車党・徳田の駒を縦方向へ全軍躍動させた。10手目にして2度の端歩突きで、広げた里見王の退路を活用させなかった。

 徳田は関口氏にとって小林健二九段門下の弟弟子。徳田が練習将棋を教わる、あるトップ棋士から「勉強量が桁違い」との逸話を聞いただけに、興味深く見守った。

 振り駒で先後が不明の開幕局と違い、里見が先手になる第2局。その切り替えに着目するという。

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2022年8月19日のニュース