渡辺明王将「少しずつ損を」 棋聖戦連敗 何度も首ひねり…ジリジリ“消えた”持ち時間

[ 2021年6月19日 05:30 ]

第92期 棋聖戦 第2局 ( 2021年6月18日    兵庫県洲本市 ホテルニューアワジ )

感想戦に臨む渡辺明3冠(左)と藤井聡太棋聖(代表撮影)
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 コップの水を飲み干した渡辺が首をひねりながら投了の意思を示し、頭を下げた。「一つ返すことを目標にやっていきたい」。土俵際へ追い込まれた終局後、絞り出すように語った。開幕連敗は、藤井に史上最年少タイトルを許した1年前と同じ。全8冠中、最多の3冠を保持する第一人者は、自らの経験則に従い巻き返しを誓った。藤井が残り1時間を切った53手目時点で、渡辺は2時間17分あった。93手目まで居王だった藤井に対し、自王は金矢倉へ入城し、守備も万全だったはず。圧倒的な終盤力を持つ藤井に先行し、持ち時間でも優位に立って寄せ合いへ突入する。プラン通りの展開だったが、やはりリードは安全圏ではなかったのか、差し切られた。

 「互角かと思ってやっていた。やっているうちに少しずつ損をしていった」。落胆は大きいが、次は先手番。年明けから王将戦では永瀬拓矢王座(28)、棋王戦では糸谷哲郎八段(32)、名人戦では斎藤慎太郎八段(28)と年下の挑戦者を退けてきた。自身初の4冠へ、一戦必勝にしか活路はない。

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2021年6月19日のニュース