18歳・藤井聡太棋聖 171手で連勝 防衛&九段のダブル最年少記録に王手

[ 2021年6月19日 05:30 ]

第92期 棋聖戦第2局 ( 2021年6月18日    兵庫県洲本市 ホテルニューアワジ )

第2局に臨む藤井聡太棋聖(右)と渡辺明王将(日本将棋連盟提供)
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 自身初のタイトル防衛戦に臨む藤井聡太棋聖(18)=王位と2冠=が、渡辺明王将(37)=名人、棋王の3冠=を171手の大熱戦の末、下した。開幕連勝で史上最年少防衛と、タイトル獲得3期による史上最年少九段にダブル王手。第3局は7月3日、静岡県沼津市で行われる。

 65手目に17分使った藤井は、4時間の持ち時間が残り7分になった。以降、終局まで両者合わせて100手以上指すが失着がない。互角の中盤が長く続き、逆に胸中の苦悩を表すように長考を重ねた渡辺が、先に秒読みへ突入する。渡辺の投了を見届けた18歳は「一手一手が難しかった。バランスを取るのが難しく、苦しい展開が続いた」と熱戦を総括した。

 記録の申し子が、新たな栄光をつかもうとしている。7月3日の第3局で勝利すれば05年、渡辺が竜王2期で達成した21歳7カ月の史上最年少九段を18歳11カ月と3年近く更新する。

 藤井は昨年獲得した棋聖、王位に続くタイトル3期目での昇段。プロを示す四段昇段後、異例の早さで昇段を重ねてきた。棋聖、王位を獲得し、タイトル2期で八段に。ところが「棋聖」や「王位」「2冠」とは呼ばれても、自身初めて「八段」と段位で名乗る機会がないまま九段昇段へ王手をかけている。また、7月19日で19歳の誕生日を迎える藤井は、18歳最後の1日となる前日18日、地元名古屋での第4局までに防衛すれば、屋敷伸之九段の史上最年少防衛19歳7日も更新する。

 前日の対局場検分。「先手で作戦が選べる立場。自分らしさが出せれば」と藤井は意気込みを語った。番勝負の第1局は振り駒だが、第2局以降は先手後手が決まっている。後手では戦型選択を相手に委ねる傾向にあったが、先手番が巡って相掛かりへ誘導した。

 結果より内容重視の王道スタイル。飛車先の歩を突き合った5手目。角頭を支える金上がりに意思を示した。相掛かりは、後手番で21勝5敗と計26局の採用例があったが、先手では4局目。それも全て今年に入ってからで4戦4勝とした。新境地開拓の成果を第2局にぶつけ成果を得た。

 防衛と九段。史上最年少での偉業を前に「スコアのことは意識せず、迎えられたらと思う」。指し手同様の落ち着きが言葉にも宿っていた。

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