「流行感冒」本木雅弘“警戒撮影”に不安もスペイン風邪の教訓に「進んで参加」「小さな希望の光を感じて」

[ 2021年4月5日 11:45 ]

特集ドラマ「流行感冒」の主演を務める本木雅弘(C)NHK
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 俳優の本木雅弘(55)が主演を務めるNHKの特集ドラマ「流行感冒」は10日(後9・00~10・13)、BSプレミアムで放送される。

 原作は、今から約100年前に全世界を未知なる恐怖に陥れた「スペイン風邪(スペインインフルエンザ)」の流行をテーマにした“小説の神様”志賀直哉の同名短編小説。1919年(大8)に発表された。スペイン風邪は日本でも流行し、1918年(大7)から3年間で関東大震災の実に4倍に当たる約40万人の死者が出たという。当時と現代を重ね「今を生きる私たちへの希望と指針を与えるドラマとしたい」と制作。理性を失い、無闇に人間不信に陥った小説家の主人公・私(本木)が、人への信頼を取り戻し、日常に帰るまでの心理的な綾を描く。

 脚本は上演台本を手掛けた昨年の舞台「ゲルニカ」が“演劇界の芥川賞”と呼ばれる第65回岸田國士戯曲賞の最終候補作品に選ばれた劇作家の長田育恵氏、演出は連続テレビ小説「花子とアン」、「セカンドバージン」「永遠のニシパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎~」などで知られる柳川強氏が務めた。

 本木は「このドラマは100年前のスペイン風邪が流行した時代を描いています。感染の危険にさらされ、目に見えぬ恐怖に心を乱し、人間同士の信頼が揺らいでいく、今現在、世界中の方々が共鳴するであろうテーマです。人の世で同じことが繰り返される中、当時の様子からどのような教訓が得られるのか、大変興味が湧き、警戒態勢での撮影に不安がありながらも、進んで参加することを決めました」とオファーに対する心境。

 「感染対策上、本番直前まで互いにマスクが外せない撮影スタイルは何とも奇妙でしたが、カメラが回って初めて相手の表情が見えるので、芝居を新鮮に感じ取ることができたのは貴重な体験でした。余談ですが、スタッフの方々は終始マスクを外しませんので、皆さんの顔が覚えられませんでした(涙)」とコロナ禍における撮影を振り返った。

 「『流行感冒』という重苦しいタイトルではありますが、非常にささやかで、しかし、とても大切な人間愛に触れるストーリーです。自問と他者への共感を澄んだ眼差しですくい取っていく志賀さんの原作と同様に、思うままに動いていく人々の心の綾を感じさせてくれる脚本の、味わいある仕上がりにも惹きつけられ、妻役の安藤サクラさんをはじめ、共演者の皆さんの個性が役に見事にハマり、自然と物語に没入することができました」と手応え。

 「是非、多くの皆さんにご覧いただき、一家族の危うく滑稽な出来事を通して、どんな状況にとっても『人は人を愛おしいと思える力を持っている』そんな小さな希望の光のようなものを感じていただければ幸いです」と呼び掛けた。

 【あらすじ】小説家の私(本木雅弘)は、妻の春子(安藤サクラ)と4歳の娘・左枝子、2人の女中とともに都心を離れた静かな村で暮らしている。最初の子を生後すぐに亡くしたせいで、娘の健康に対して臆病なほど神経質である。時は、大正7年(1918年)秋。流行感冒(スペイン風邪)が流行り、感染者が増え始める中、女中の石(古川琴音)が、よりにもよって村人が大勢集まる旅役者の巡業公演を観に行ったのではないか、という疑惑が浮上する。私は石を問い詰めるが、石は行っていないと言う。疑念を拭えない私は石に厳しくあたり、左枝子に近づかないよう言いつけるが…。

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