羽生九段 大逆転2勝!「生きた心地がしなかった」175手の激戦制し、豊島竜王と並びトップ

[ 2020年10月15日 05:30 ]

第70期王将戦 挑戦者決定リーグ

終盤の大逆転で佐藤九段を下し、2連勝でトップに並んだ羽生九段(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負で渡辺明王将(36)の対戦者を決める挑戦者決定リーグは14日、東京都渋谷区の将棋会館で1局を行い、羽生善治九段(50)が終盤の大逆転で佐藤天彦九段(32)を下した。リーグ成績は羽生が2戦2勝で豊島将之竜王(30)と並びトップ。佐藤は3戦全敗となり、挑戦権獲得の可能性が消滅した。

 これを羽生マジックと呼ばずしてなんと呼ぶ。175手の激闘を終えた永世7冠の顔は真っ赤だ。「ずっと負けなんじゃないかと思って…最後も生きた心地がしなかった…詰んでもおかしくない…分からなかったです」。土俵際で喉輪を食らい、身を反り返しながら徳俵の剣が峰に足を残し続ける大ピンチをしのぎきった羽生の肩がわずかに震えている。

 角交換の滑り出し。21手目までは両者とも消費時間ゼロ、つまり互いの読み筋だ。予定調和が崩れたのは羽生の25手目[先]5六角。トレードしたばかりの角を再び盤上に放つ際には互いににらみ合う同じ筋に置くことが多いのだが、このケースはいわゆる筋違いの角だ。「ちょっとやってみたい形だったですが」。用意した作戦は応手をひねる佐藤に50分を使わせてポイントを稼いだように見えながら、28手目[後]7五歩と突かれて以降は「どうなっているか分からない。いい勝負のように見えたが」と疑心暗鬼のまま中盤へ突入していく。

 自身の左辺に大駒を並べて迫力ある攻めを展開しかけたものの、意外にも空振り気味。一進一退の72手目[後]4五角には「応接を誤り、はっきり負けにしたと思う」と観念したという。

 終盤の入り口からは佐藤の猛攻に対し受け一方。敗戦までは時間の問題かと思われた。だが109手目[先]5九銀と打った時点で5八の自王が金3枚、銀3枚に囲まれており、難攻不落な守りが完成していた。127手目で4九に金を寄ってさらに堅さは増す。攻撃のアヤが見つからず焦りのアタックを繰り返す佐藤を尻目に、141手目では一度左に寄った金が3九に戻って、なんと王の脱出口が開いた。一度最下段に逃げた王様は五段目まで安全に待避。その間に獲得した角を生かして相手王に迫る。2六に打った香も地味ながら強烈に効力を発揮し、気がつけば形勢は「必敗」から「必勝」に変わっていた。175手目[先]3五同王で、その右手は明らかに震動していた。空恐ろしい逆転劇だ。

 数ある羽生魔術の1ページに加えてもおかしくない名棋譜を残して、これで挑決リーグは2戦2勝。「厳しい勝負は続くと思います。全力を尽くしていきたい」と話す語尾は、まだかすかに震えていた。(我満 晴朗)

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